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デザイン力の3段階モデル

デザイナーのデザイン力という概念について。
私が普段考えているモデルについて書いてみます。
正解があるものではないので、あくまで個人の視点です。


デザイナーの3つの能力

現代のデザイナーの能力は

  1. 最適化力

  2. 創造力

  3. 革新力

と整理しています。
おそらく多くのデザイナーが列挙した順で能力を身につけて行き、この順で身につける難易度が上がります。そのためこれらの能力をそのままレベル1~3と捉えています。
デザイナーはプロジェクトによって、求められる能力が変わります。デザイナーをアサインする担当は、プロジェクトで必要な能力を考えて、適切なデザイナーをチームに入れなければなりません。

デザインといってもUIから空間、サービスまで様々な領域がありますが、どの領域のデザイナーでも同様の考え方ができるかと思います。

デザイン力の3段階モデルフレームワーク

レベル1 「最適化力」

どの領域のデザインワークでも、基本となる能力が「最適化力」です。
既にあるセオリーやメソッド、デザインガイドラインなどに合わせて、最適な調整をしたアウトプットを出す能力です。

今日のモバイルアプリケーションのUIデザインの仕事の大半や電化製品のスタイリングのマイナーチェンジなどで必要とされるのはこの能力です。

世の中にすでにある前例やガイドラインを参考にしながら、ロジカルにデザインするアプローチであり、学びやすいためデザイナーが最初に身につける能力で、すべての基本となる力です。解決すべき課題や要点を把握したり整理するのもこの能力の一部です。「守破離」の守です。

レベル2「創造力」

任意の領域のデザインワークがある程度安定感を持って「最適化」出来るようになった先に身につけることが多いのが「創造力」です。
その領域では強い新規性がある表現や、今までなかったコンセプトや解釈、競合とは頭ひとつ抜けるような価値を作り出すような能力です。
製品として成り立たせる以上に独創性や強いブランドイメージ、世の中を驚かせるようなインパクトなどの強いクリエイティビティを生み出す力です。

どんな仕事でも前例や、関係者の思い込み(バイアス)があるので、周りの人の想定を超えるような表現やアイデアを考えて、さらにそれを実現まで持っていくのはすごく難しい仕事です。独創的なアイデアを出すだけでも難しいのですが、それを関係者へプレゼンテーションをして、合意を取り付けたり、既存の商売の仕方や、そのデザイン領域でのセオリーを覆してでも実現まで漕ぎ着けるような実行力も必要です。「作家性がある」といわれるデザイナーはこの「創造力」に秀でている人が多い印象です。

ブランドもUIもかっこいい新アプリ、電化製品のフラッグシップモデル、指名買いしたくなる新コスメブランドなど、一般的に「クリエイティブ」といわれて憧れたりするプロジェクトを生み出しているのはこの能力を備えたデザイナーです。対象となる製品やサービスの周辺に今まで見られなかった価値観や表現や概念を「創造」する能力です。「守破離」の破です。

レベル3「革新力」

「最適化力」と「創造力」を備えた上で、新しいカテゴリーや事業を発明してしまったり、世の中に新しいライフスタイルを植え付けてしまうようなデザインを考案し実現まで持っていける能力が「革新力」です。

「創造力」が「表現」の範囲であるとすれば「革新力」は関連する「構造」まで範囲が及ぶ能力です。「革新力」を備えたデザイナーは、社会システムや商売の構造に影響を与えるレベルのサービスやプロダクトを考案し、具体的な全体設計が論じれるレベルのデザイナーです。企業の収益の柱となった製品開発や事業開発を経験したデザイナー、スタートアップの創業からグロースまでを経験したデザイナー、複数のデザインコンサルファームでリーダークラスを経験したデザイナー等が「革新力」を備えたデザイナーの代表格です。

このレベルはデザイン領域の知識だけではなく、広範囲なビジネス知識と人生経験が必要なため、キャリア数年のデザイナーにはいません。しかもこのレベルを求められる仕事自体が世の中に多くないため、レベル3を発揮・経験できるデザイナーは希少です。レベル3のデザイナーはレベル1も2も自身で多く経験しているので、どのようなプロジェクトもそつなくこなすことができるため、チームにいれば多くの課題を解決に導いてくれます。またこのレベルのデザイナーは部門間や組織間、企業間のコミュニケーションをハンドリングすることに長けている場合も多く、全社をあげての新規事業やブランディング、広告キャンペーン、都市開発などデザイナーという領域をはみ出した上でプロジェクトを先導するのも得意です。このレベルのデザイナーは経営コンサルタントとしての側面も持つ場合が多く、複数の企業のアドバイザーを務めているケースも多く見られます。

クラフト力とプロジェクトマネジメント力

デザイナーは元々かたちをつくる職人としての側面が強かったため「クラフト力」こそがコアスキルでした。しかし、デザイナーが他職種と連携する機会が多くなった現在ではクラフト力と並んで「プロジェクトマネジメント力」がコアスキルになりました。クラフト力が「何かを作り上げる能力」だとすれば、プロジェクトマネジメント力は「何かを作るための状況を整える能力」といえます。このスキルには他者とのコミュニケーションスキルやプレゼンテーション能力、チームマネジメント能力も含まれます。今回の定義では後半にいくに従ってプロジェクトマネジメント力の割合が増える構造になっています。

必要なデザイン能力を意識する

プロジェクトに「デザイナーが必要だ」となった際に、どのレベルの能力が必要なのかを経営者、マネジメントサイドがしっかりと考える必要があります
便宜上レベルという書き方・捉え方をしていますが、全ての能力が優劣なく価値のある能力です。デザイナー側も自分が従事するプロジェクトにおいて、価値が高い能力はどれなのか、自身がこれから成長するために伸ばしていくとよい能力はどれなのかを意識すると、より納得できる仕事をしていけだろうと思います。

色んな人の「デザイン観」

色んなゲストをお呼びしてるポッドキャストをやっているのですが、そこで「デザイン力」「デザイン観」について話題が上がることが多かったので整理してみました。最新回でもデザイナーのキャリアパスについて多くの話題が出ましたので是非聞いてみてください。フォローしていただいたり、感想をコメントしていただけるとかなり嬉しいです!

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