食べちゃいけないと思うほど食べたくなるのはなぜ?
美容や健康に関しての知識が増えるにつれて、私たちの食への欲望には制約が生じてきます。
いくつもの「ダメ」とされる食材、罪深いほどに魅惑的な誘惑に引き寄せられる心理は、一体どこから来るのでしょうか?
そこには、人間の本能的な欲求と深く結びついた複雑な心の働きが隠されています。
人間の心理を知ってその対処法を知ると、今後の生活が送りやすくなるはずですよ。是非記事を読んでみてください。
ダメといわれるとつい・・・の体験談
私個人の体験でいうと、妊娠中の食事内容・食事量に関してはストレスを抱えていました。
万が一、赤ちゃんに何かあってはいけない!と感染症のリスクを防ぐために生ものやチーズは避け、ホルモン異常をきたさないように納豆の食べ過ぎなどには注意して食事内容を考えていました。
それに近年は妊娠中の体重の増加しすぎに関してはデメリットもわかっているだけにバランスよく食べる必要はあるけど食べ過ぎてはいけない・・・。と、量も内容も厳しい管理下にいたように感じます。
でも妊娠期間って約1年。
結構長いんですよね。
なので、「出産したらお寿司食べるぞー!お刺身食べるぞー!」「納豆ももっと食べたいな。」と産後の食生活を楽しみにしていました。
ところが、実際出産してみると自由なのに別に食べたくならないんですよね。
職業柄、体にいい栄養素や食事に関しては日々情報をアップデートしてお伝えしているつもりですが、「こういうものは控えましょうね」というものほど食べることを考えてしまいますよね、と患者さんと共感することもあります。
なんとなく自分の経験からも、人間ってダメって言われるほどそうしちゃうのよね、と思っていたので調べてみました。
”しろくま実験”でわかった 思考の皮肉なリバウンド効果
心理学界で広く知られている「シロクマ実験」は、1987年に心理学教授のダニエル・ウェグナー氏らによって発表されました。
被験者: 34人の学生
指示:
グループ1: 「5分間シロクマについて考える」→「シロクマについて考えない」
グループ2: 「5分間シロクマについて決して考えない」→「シロクマについて考える」
結果:
グループ1は、「考えないでください」と指示された後、シロクマについて考えるように指示されると、シロクマについてより多くのことを考えました。
グループ2は、「考えるように」と指示されたため、その後は考えないように指示されると、シロクマのことが頭に浮かぶことはありませんでした。
禁止されると、かえってシロクマのことが頭に浮かんでしまうようになったことがわかります。
これをウェグナー教授らは「皮肉過程理論(皮肉なリバウンド効果)」と呼んでいます。
皮肉な、というのは考えではいけないのに逆にそこに集中してしまう状況をうまく表現していますね。
つまり、私たちが避けたいことが、逆に私たちの意識に引っかかることがあるのです。
対処法は?
実はシロクマ実験には続きがあります。
シロクマについて考えそうになったら「赤いフォルクスワーゲン」についてだけ考えるように指示すると、皮肉なリバウンド効果が起こらないことが報告されています。
別のターゲットを作り、そこだけに意識を集中させることが有効だということです。
実際に食べ過ぎを防止するとしたら、
ポテトチップスが食べたくなったら、ナッツを片手分ほど食べてみるなど違うターゲットに意識と行動を移すとストレスなく過ごせるでしょう。
まとめ
私たちは本来、一般的に健康に悪いとされるものに対して、無意識のうちに心を奪われます。
実は、それら「ダメ」とされたものこそが、私たちにとって最も魅力的であり、堪え難い存在となるのです。
食べ物の甘さ、脂肪の美味しさ、老化をもたらす要素に対して私たちは魅了され、ついつい制約を破ってしまうのです。
人間は禁じられたものに触れることで、一時的な安らぎや喜びを感じ、「ダメ」が増えれば増えるほど、逆にその魅力に引き寄せられてしまうのです。
対策としては、
禁止されたものと違う別のターゲットを作り、そこに意識を集中させる方法が有効です。
この心理の奥深さに気づき、うまく対処することで、私たちにとって大いなる学びとなるのかもしれません。
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