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鳥が教えてくれたこと。それでも前を向いて生きるということ。

春休みに
息子が
モミジの木に
新しい巣箱を作り
設置しました。

その日のうちに
四十雀が入居。

せっせと
庭の
苔を運びこむ姿が
見られました。

すぐに
その様子を
写真や動画におさめ
外出中の息子に報告。

よっしゃー!

息子と喜び合ったのも
つかの間。  

それから
巣箱の周辺は
急に静かになり、
四十雀の出入りも
見られなくなりました。

他所へ行ったのかな…

さて、 
それから
しばらくして
今度は

「ポッポの声がした」

と主人が
私に教えてくれました。

ポッポとは
キジバトのことです。

昨年
我が家のヒイラギの木に
巣を作り
一羽巣立っていきました。 

あぁ、帰ってきたんだ…
おかえり、ポッポ…

私は
この日をずっと
待ち望んでいました。

キジバトは
その場所が気に入れば
翌年再び帰ってくる…

その言葉が 
ずっと心の奥に残っていて
来年もまた
我が家に巣を作ってくれたら
嬉しいなと
思っていたのです。

それから
私も
ポッポの声を耳にしたり
2羽仲良く
庭のモミジの木や
裏のヒイラギの木の中に
身を隠すポッポの姿を
目にするようになりました。

けれど、
いつの間にか
ポッポたちもまた
姿を見せなくなりました。

今年は
このまま誰も来ないのかな…

それから
ふた月ほど経ち
モミジの木々が 
緑の葉っぱで覆われた
6月のこと。

再び巣箱に出入りする
四十雀の姿を
目にするようになりました。

でも
巣を作っている
というよりは
巣箱に出たり入ったり
しているだけのようにも見えて。

4月のこともあって

あまり
期待しない方がいいかな…

そう思いました。

そんなある日のこと。

巣箱の中から
聞き覚えのある
小さな声が…。

なんと
いつの間にか
親鳥は卵を産んでいて
雛が孵っていたのです。

出たり入ったり
しているだけのように見えたのは
卵を温めている合間に
餌を食べに出かけている姿
だったのかもしれないし
あるいは
オスがメスに
餌を運んでいる姿
だったのかもしれません。

去年の写真を見て
驚いたのですが、
今年と去年の
子育ての開始時期が
ほぼ同じでした。

最初に
巣箱に偵察に来たのは
3月の終わりか
4月の始めでしたが
その時
モミジの葉は
まだ開いていなくて
木は裸同然で
巣箱も完全に
丸見えの状態でした。

でも
今は
葉が多い茂り
木全体が緑で覆われています。

他の鳥や動物から
狙われにくい
ということもあって
我が家の巣箱に
やって来る鳥たちは
この時期に
子育てをするのかなぁ…
そんなことを
思ったりしました。

さて、
雛鳥の声は
日毎に大きくなり
親鳥が
代わる代わる
忙しそうに
餌を運びこむ姿が
見られるように
なりました。

暑い中お疲れさま。

こうして
今年もまた
鳥との暮らしが
始まりました。

それは
私たちにとって
小さな喜びであり
幸せでもあって。

朝は
鳥の声で
目が覚めます。

どうして
あんな風に
ステキに歌えるのだろう…。

庭中に響き渡る
美しい鳴き声に
いつも
聞き入ってしまいます。

四十雀は
鳥の中でも
鳴き声の種類が
多い鳥と言われています。

私がはっきり
意味が分かるのは
警戒している時の
鳴き方ぐらいで。

それ以外にも
様々な鳴き方が
あるのですが、
それぞれに
一体どんな意味があるのかは
分かりません。

もし
鳥の言葉が分かったら
楽しいだろうな
と思います。

ある日
四十雀の巣箱の周りで
バサバサハッと
一際大きな羽音がしました。

あっ!ポッポ!

一瞬
四十雀のことが
心配になりましたが、
どうやら
大丈夫のようでした。

1羽のポッポは
トゥートゥル トゥトゥー
木の枝で
ご機嫌に鳴きはじめました。

右上と左下にいるのですが、分かりますか?

2羽は
10分程滞在した後
仲良く
飛び立っていきました。

ポッポがまた来てくれた!

私はポッポとの再会が
嬉しくてたまりませんでした。

また、いつでもおいでね!

心の中で
そう伝えました。

さて、
ある日を境に
四十雀の警戒が
いつもより激しくなり

随分警戒しているね。
どうしたんだろう…。

と主人と話していた
2、3日後のこと。

雛だ!

主人が言いました。

それは
何とも危なっかしい
飛び方でした。

その後
雛鳥の姿を
見失ってしまって。

親鳥は
随分と長い間
鳴き続けていましたが
あの雛鳥は
無事だったのでしょうか…。

その翌日には
巣箱の中は静かになり
親鳥の出入りも
なくなりました。

去年のように
タイミングよく
巣立ちの瞬間に
立ち合うことは
出来なかったのですが
おそらく
雛鳥は全て巣立ったのだと。
 
私たちに出来るのは、
雛鳥たちの無事を祈ること
それだけです。

我が家は
住宅地の中にありますが
そういう場所であっても
こうして 
庭の小さな自然の中で
鳥たちは 
命を宿し
日々の暮らしを営んでいます。

ただ、
その暮らしは
私たちのそれとは違って
いつも命がけです。

過去に
悲しい巣立ちも
目の当たりにしました。

この時
雛鳥たちは
巣立ち後間もなく
息絶えました。

それでもきっと
この後
親鳥は
全てを受け入れ
生きていったに違いなくて…。

そう。
どんなことが起こっても
前を向いて生きていく。

あの日
寒さに震えていた
雛鳥でさえ
最後の最後まで
残された力で飛ぼう
生きよう
としていたのです。

最後の
最後まで。

生きることを
諦めなかった…。

だから
私も、
あの子たちのことを
可哀想と
哀れんで終わりには
したくなかったのですね。

あの雛鳥だけでなく
自然界で生きている
鳥たちは
その生きる姿を通して
私たちに
大切なことを教えてくれます。

命の尊さを
生きることのすばらしさを
親の深い愛を
たくさんのことを…。

そのことに
心から
感謝したいと思います。

娘や愛犬
祖父母…
私にとって
大切な家族たちもまた
その死を通して
別れの悲しみだけではなく
たくさんの大切なものを
遺してくれました。

何か出来事が
起こった時に
それがどんなに
辛く悲しい出来事で 
あったとしても
そこから
『おかげで…』
を見つけて
その出来事に
感謝して生きていく…。

そうすることで
亡くなった後もなお
私たちは、
変わらずに
彼らと共に
生きていくことが
出来るのですね。

そう。
彼らと共に、
今という、
この瞬間を…。

さて、  
ここ数日
また
ポッポたちが
モミジの木に
やって来ています。

小枝を拾ってきて
簡単な巣らしきものを作り
いよいよ
そこに居座り始めました。

1羽は奥の巣の中に。もう1羽は巣箱の上に。

そうっと
静かに見守りながら
彼らとの暮らしを
楽しみたいと思います。








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