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女の子
ゆるやかに、そして確実に過ぎていく日々。
ずっと消えてくれないあの子の視線と、変わってしまった自分。
寂しそうな目でこっちを見ている女の子がいた。
その子と向き合い始めた、私の話。
痛みに弱くて、怖がりで、誰にも頼れなかった。小さな頃、先生が褒めてくれた「言葉」を頼りに、これまで生きてきた。
ずっと不安で、ずっと虚しくて、ずっとずっと羨ましかった。
私には何もなくって、それだけが誇りだった。
でも、いつの間にか向こう側に来ていた。いや、中間地点と言えるかもしれない。私が立っているのは、今居るはずのここは、本当はどこでもない。どこにもない。そんな場所だ。
中途半端に空気が薄くて、苦しい。ここが私にぴったりで、きっとこれからも生き続けなければならない世界だ。
誰かを愛して泣いてしまう私を見て、あの子はどう思うのだろう。
戻ってこいと、手を引くかな。
「結局お前もそっち側か」と、また泣くかな。
きらきらした景色に憧れ、そして馬鹿にしたこと。本当はこうなりたいと願ったことも、よく覚えている。根拠なんてどこにもない自信と、それに伴わない覚悟。ただ誰かに認められたかった欺瞞。
思えば、あの子の方が美しく見えて仕方ない。
正解を探して、どうにか特別であろうとしていたあの子は、きっと今の私より綺麗だった。そして孤独だった。だから、美しかった。
私は認めなければいけない。足りない言葉を必死で探して、結局抱きしめることしかできないとしても、過去の私自身を愛さなければいけない。体を震わせ、こっちを睨んでいるあの子を救うことでしか、私を愛することはできないのだから。
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