どこに行ってもどこにも行けないような、どこにいてもどこにでも行けるような
くどうはなえ
おしりについた白い粉を払うと、辺り一面にチャイムの音が鳴り響いた。
夕昏よりも、もう、真夜中のようだった。
甲州街道近くの団地。道の先で
トンネルに入るオレンジ色の強い光が見える。
コンビニエンスストアのやけに広い駐車場の中で
白い息をもくもくと上げながら喋っていたわたしたちは
誰ともなく手に持っていた菓子パンの袋を回収しはじめたのを合図に、
自転車の止め具に足をかけたり、ゴミ箱にゴミをつっこんだり、
ラケットバッグをしょったり、マフラーを巻きなおしたりしは