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03|少年心


耽溺 | 2019

Title|耽溺
Date Created | 2019
Art Supplies|モノタイプ印刷
Size| 508×610mm

Concept|
グラスから溢れる液体は人の容量。
溢れた液体は白く煙のように消えていく。
人はいつの時代も気が付けば溺れている。

Explanation|
大学生になって版画を専攻し、何度目かの制作物でした。
今まではペンでしか描いてこなかった私が版画に魅せられるとは思いもしていなかった。
本来版画というのは何度でも印刷できるように版を作り、その版に対して紙を押し当て、複製ができる技法だ。皆様の身近な物で心当たりがあるのは木版画やハンコのような物だろうか。
しかし、この作品は一点ものなのだ。
モノタイプという言葉の意味は一点ものという意味になる。
技法として詳しく説明すると、
透明な大きいアクリル板にローラーやハケなどを用いて、インクを乗せていく。その乗ったインクに対して、割り箸やガソリンなどで削ったり、インクを溶かしていく。(版画のインクはガソリンで溶けます。)
そして、その上に紙を置いてプレス機にて圧力をかけていく。
その間約5分程度のものです。そのため即興性と偶然性が重なり奇跡的な色の重なり合いや、滲みが表現できたのです。この作品は今後の制作活動において様々なところで活躍してくれました。このお話を聞いてあまり凝った作品ではないのだなと思う方もいると思います。もちろん凝った作品ではないかもしれませんが、ある意味本当の意味でのセンスを試されているような新しい感覚でした。
ちなみにこの作品を制作した時は19歳で、お酒も飲んだことのない年でした。しかし、そんな私からみて大人とはお酒に溺れる人が多い印象だったため、即興ではあるもののお酒をモチーフにしてみようと思いました。その大人の姿形。見る人によっては汚く、はしたない、そんな人間に映ると思います。それでもお酒を飲む場所であるBARはいまだにおしゃれな人と空間なのだと私は思っています。要はその人の容量に見合ったお酒を嗜むことがおしゃれな大人になれるヒントなのかもしれませんね。
話が長くなりましたがきっと大学生なりに大人に憧れがあったのだと思います。今では大人で学生に憧れていますが…
まあ、それが人生であり順番だと思います。なんにせよ人それぞれの容量は決まっているので皆様もお酒はほどほどに。
それではまた明日。

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