インテークについて③

インテーク面接について、いやそれに限ったことでは無いかもしれませんが、カウンセリングにおける自分の佇まいというものは、クライエントにかなりの影響を及ぼしていると感じています。とりわけインテークでは、丁寧に意識しています。

わかりやすいところで言うと、手や足の位置がまず一つです。足を組んでいる時と、足が開かれている時、相対的な印象によって受け取られ方は変わりますが、腕組み、脚組みは拒絶を暗に示唆し得ます。そうした意味で、カウンセラーも、足を組まず、手は膝の上にゆったりと置いたり、ジェスチャーに用いたりなど、ごく自然な動きを行うようにしています。

また、目の動き。相手の様子を観察しようと凝視しすぎると、相手にプレッシャーを当然与えます。視界を面で見るように、印象を周辺視野を含めて感じ取る。相対的なクライエントの動きや佇まいを、大まかなニュアンスで感じ取る。

また、姿勢。こちらが背筋を伸ばしすぎていても、形式ばった雰囲気を作りやすい。かといって猫背になるという意味でもなく、可能であれば脱力をする。どうしてもカウンセラーも、話に集中すると無意識に力がこもりがちです。筋弛緩のように、力がこもっていると気づいたときには、息を吐くことに集中し、体全体の脱力を促す。他にもいろいろありますが、また改めてまとめてみたいと思います。

私自身がこれだけ姿勢に気をつけるようにしているのは、一つに相談という枠組みの中で、カウンセラーのコントロールしきれていない姿勢部分が、クライエントに意図せぬところで、何らかの影響を与えるということを防ぎたいためです。

これは、相談室の構造や枠組みの考え方と同じです。安定した条件を整えることで、カウンセリングの場の土台を安定したものとして保つということ。

また、こちらの構えによるクライエントの緊張緩和を狙っている側面もあります。ミラーニューロンやAポリヴェーガル理論の話を読んでいると、人間は社会性動物として、相手の様子や感情に意識が出どうしようもなく反応してしまうようです。パッと出典が思い出せませんが、反応しないようにしたとしても、例えば刺激に対する反応時間が若干速まるなど、神経伝達のレベルで影響を与え合うようです。セッションのようなものでしょう。

これは逆に言えば、カウンセラーの安定した落ち着きがある佇まい、またいわゆる自己一致した姿勢や構えと言うものは、おそらくクライエントにも伝わり、安心感や安定感、また受容される感覚を伝達し得るものなのだと考えられます。

このように、カウンセラー側が、まず姿勢のレベルで力を抜き、可能な範囲で安定したコントロールを行うと言う事は、クライエントの安心感にも寄与される事と考えられます。

また、矛盾するような話ですが、「コントロールをした上で、コントロールしない」という姿勢も非常に重要だと思われます。不自由があるからこそ自由を得られる。枠があるからこそ自分をそこに込められる。枠組みがあってこそ、自身の安定を得られる。

そして安定した上で、自身の感情表出や思考のフィードバック等を、より取捨選択しやすく、伝え返しやすくなるのだと感じています。

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