「この先、戻れません」
飛行機を降りた。
ターンテーブルに流れてくる荷物を受け取って、
到着ロビーへ向かって歩いた。
最後の自動ドアに書かれていた言葉が、
心の真ん中をざわつかせた。
「この先、戻れません」
大丈夫だよ、この旅は、
震える足でも歩けるように、
勇気をくれた旅だったから。
そう、噛みしめて、
踏みしめた一歩目を、
私はきっと、
これからずっと、
お守りのように思い出す。
今までとは一緒じゃなかった一歩目の足音を。
忘れたくないと願った、
しっかり感じた心のざわつきを。
私はきっと、かならず、思い出す。
この言葉をスーツケースに詰め込んで、
この場所から、私は途立つ。
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