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人生最高の漫画「AKIRA」を語る

こんにちは!
株式会社LOCKER ROOMでWEBTOONのプロデューサーをしている久保田大地です。
僕が敬愛する作品の魅力言語化シーリーズの第二弾として、前回は大友克洋先生の「童夢」についての記事を書きました。
今回はその第三弾、満を辞してAKIRAについて熱弁したいと思います。


AKIRAとは?

大友克洋先生によって、1982年〜1990年の間「週刊ヤングマガジン」によって連載されたSF超大作です。
高校生の時に父の本棚で「童夢」に出会い、以来大友克洋の虜になった僕は程なくしてAKIRAにたどり着きます。ネットで思い切って全巻まとめて注文。手元にあの色とりどりの大判のマンガを手にした瞬間の高揚感、ページを捲った時の紙の香り、その感動は今も忘れられません。
ましてド世代の方々の熱狂度は凄まじかったでしょう。

AKIRAコミックス(読書メーターより)

舞台は2019年、東京を壊滅させた第三次世界大戦から復興中の大都市・ネオ東京。2020年に東京五輪を控えているという設定は、現実世界の2020年東京五輪を予言したと当時話題になりました。
また、マンガ連載中に著者大友克洋自身が監督を務めたアニメーション映画も公開され、その作画クオリティやBGMが世界に衝撃を与えました。
AKIRAの良さを一言で言うと、「とにかくカッコイイ」です。もう世界観・登場人物・コミックの装丁・タイトルのフォント、何もかもがカッコイイ。
まさに全世界の男子を虜にしたアイコンなのです。

文化、そして世界へ

文化を作り出したデザイン

AKIRAの凄さ、それは1エンタメ作品にとどまらず文化をも生み出してしまったこと。
今もなおその先進的で独特なデザインや世界観がファッション業界などに影響を与え続けています。その中でも特筆すべきはメカニックデザインでしょう。
みんな大好きな金田のバイクを始め、作中に出てくるバイクのデザインは時代を超越した革新的なデザインでした。

AKIRAより 金田のバイク

このバイク、現代で言うとビッグスクーターと類似した形状です。しかし、AKIRAが発表された1982年の2年後、1984年発売の最新スクーターのデザインがこちらです。

HONDA SPACY250FREEWAY

原付と大差ないデザインですね。
金田のバイクのような形状のビッグスクーターが発表されるのは1990年以降、なんとAKIRAで描かれたバイクのデザインが現実世界に影響を与え、それに寄せる形でビッグスクーターが開発されたのです。
そんなマンガ作品が他にあるでしょうか。逆に大友克洋がこのバイクのデザインを描かなかったら、今のビッグスクーターはどういうデザインになっていたのかが気になります。

海外で大ヒット

AKIRAのムーブメントは海を越え、世界に広がっていきます。
アメリカンコミックで有名なマーベル・コミックスによって、英語版が発売。アメリカのコミックの規格に合わせて左開きに改定され、そのサイバーパンクな世界観や緻密な設定が衝撃を与えたそうです。
さらに1988年制作のアニメ映画が今まであまり評価を受けていなかった日本のアニメの評価を底上げし、世界的トップクリエイター達に影響を与えます。
映画AKIRAは海外で「ジャパニメーション」と呼ばれ、名実ともに日本を代表するアニメ映画作品になりました。
スティーブン・スピルバーグが映画「レディープレイヤー1」の中で金田のバイクを登場させたり、Netflixの大人気シリーズ「ストレンジャーシングス」脚本監督のダッファー兄弟もAKIRAに多大な影響を受け、酷似した設定の超能力者をメインキャラクターにしていますね。

今でこそポケモンやワンピースにNARUTOなど、多くの日本産アニメやマンガ作品が世界的なキャラクターIPコンテンツとして名を轟かせていますが、その先駆けとなったのは間違いなくAKIRAだったのです。

最高にカッコイイAKIRAの名シーン3選

いくらでもカッコイイ名シーンが満載のAKIRAですが、ここからは完全に個人的に好きなシーンをランキング形式で発表します。

第3位 開いている扉をノックする金田

「AKIRA」コミックス1巻より

いきなりニッチなところで申し訳ないのですが、これが「開いている扉をノックする金田」です。たったこれだけなんですが、もうこれがカッコよくて・・・。
高校生で保健室の先生とデキているカリスマ不良少年金田ですが、こういうささやかな一挙手一投足でキャラクターの魅力は表現できるんだなぁと感心しました。このノックはいつかやってみたいですね。

第2位 静と動の東京壊滅シーン

「AKIRA」コミックス3巻より

AKIRAの代名詞とも言える、東京壊滅のシーン。
手書きで書き込まれた驚異的に緻密でダイナミックな一連のコマは迫力満点で、もちろんこれだけで名シーンなんですが、個人的にはこれが発生する直前のコマが注目ポイントです。

爆発の直前、のどかに会話をする家族と、爆発を間近で目撃している主要キャラクターがカットバックで描写されます。
クーデター発生のニュースを見て「クーデターってなァに」とお父さんに尋ねる子供や、爆発のことなど知らず学校が休みになったことを無邪気に喜ぶ子供。それらのコマの合間に、最悪の事態を食い止められなかった主要キャラの愕然とした表情が挟まるのです。絶望ですね。
この辺りの描写力が、大友克洋のいやらしさであり巧みさです。あまりにも残酷な静と動の対比技術が、パニックシーンのレベルを格段に高めているのです。

第1位 「山形ァ」

堂々の第1位はAKIRAファンなら誰もが知るあの名シーン。

「AKIRA」コミックス1巻より

超能力を手に入れておかしくなってしまった鉄雄が、友人の山形を殺す衝撃的な場面です。
このコマがあまりにも有名ですが、個人的にはその直後の「倒れた山形が持つ銃の引き金を引く金田」が最高です。

「AKIRA」コミックス1巻より

亡き友の意思を継ぐように山形が握る銃を構える金田ですが、その相手は誰よりも目をかけていたお酒馴染みの鉄雄。
表情が描かれていないのに、金田の苦渋と深い悲しみ、そして覚悟が感じられる名シーンでした。

AKIRAファンの方々、是非皆さんの中の名シーンも教えてください!

現在LOCKER ROOMではプロデューサー同士でWEBTOONを読んで分析会を実施しており、有名作品のインプットを習慣化し、物語の構造や登場人物について考察する時間を設けています。
LOCKER ROOMのオフィスにはAKIRAだけでなく大量の漫画があります。
気になった方は是非オフィスまで遊びに来てくださいね。

それではまた!



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