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戦略。

私は面倒くさがり屋の怠惰な人間だ。それ故に戦略をよく考える。戦略とは、戦いを略すことだ。孫氏の兵法に出てくる「戦わずして勝つ」がそれにあたる。

戦略を考えるようになったのは高校でバドミントンを始めてからだ。私は高校から始めた者同士では、1人を除いて、ほとんど負けたことがない。ただその1人はとんでもなく強かった。ちなみに、大学の頃に出会った友人である。

高校から始めた者同士だと、技術的な差はあまりないように思う。何で差をつけるかと言ったら、戦術であり、戦略だ。その差が大きい。例えば前半は、わざとスマッシュを決めさせるが、後半はしっかりとレシーブする。すると相手の心理的には、前半気持ち良く決まっていたショットが決まらなくなるという不快感を覚える。後半は体力的にもキツくなる頃で、頭で考える余裕は高校始めだと中々厳しく、どのショットを打とうか考えが回らない。大抵の場合、一辺倒な戦い方になってしまうのだ。そうなるとこっちのもの。私のお決まりのパターンのひとつは、後半逆転型である。

前半、相手になるべく多くのショットを打ってもらう。それぞれのショットの得意不得意、こちらが打った球に対しての反応。なるべく多くを目で見て、観察する。すると大抵、穴が見つかる。後半は徹底的にそこを詰める。相手は苦手なコースに球を振られる為、そこを意識するが、技術はそんな短時間で身につくものではない。自滅するのだ。

私は相手に自滅させる方法を考える。なぜなら、私が労力を使わずとも、相手が勝手に負けてくれるからだ。私が使う労力と言えば、徹底的な観察である。どこに穴があるかに集中する。ある程度の犠牲は厭わない。最後に勝てば良い。それが私なりの勝負の仕方だ。

相手の力を利用することで、自分の力を温存しておける。これは株式投資でも言えることだ。株式投資を長く続ける秘訣は意外とシンプルだと考えている。それは、株式と現金の「比率」を変えるだけだ。例えば、暴落時にポートフォリオのほぼ全てを株式で保有しているとしたら、資産の大半を失うリスクが高いが、現金であればどうだろうか。暴落した分だけ、既に、「儲かっている」と言える。本当に良いものを、安く買い叩けるチャンスだ。これも相手の力を利用しているひとつだ。なぜ、多くのファンドマネージャーはインデックスを上回れないのか。それは、「フルインベスト」でないと、利回りが下がってしまうからだ。現金比率を下げないと成績が悪くなる、という思い込みで、大抵の場合、レバレッジをかけて市場を動かしている。当然レバレッジは大きな儲けになる一方で、大きな損失にもなる。そういうゼロサムゲームが毎日のように市場では起こっている。そこを相手にしても仕方がない。資金力が違いすぎる。勝手にゼロサムゲームはしてもらえれば良い。私は、どうやって暴落時に市場平均を上回るパフォーマンスが出来るかを重要視している。そこそこの失敗をしたが、最近は投資哲学を元に、市場と向き合えている。その哲学は次回以降に書いてみたい。

株式市場は物理の力が働く。それだけではなく、生物、心理、宗教、地政、経済、数学、哲学、数え出したら止まらなくなるくらい様々な学問が絡んでいる。そんな市場は、コンプレックスになりがちな学歴が関係ない世界で、全員に等しくチャンスがある。就活を見ていると学歴フィルターは存在しているが、市場にそれは存在しない。学歴がある人が言うと、ごもっともに聞こえる話が、市場では全くの役立たずなんてことはザラにある。それくらい予測不能な場所であり、人間の醜態さと強欲さが噴き出されている場所なのだ。

勝負には戦略が必要だと考える。闇雲に手を出しても良いことはあまりない。冷静になって考え続けることが重要に思う。どれだけ窮地に立たされたとしても、思考は止めてはいけない。思考停止になれば、オッサン化はすぐだ。



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