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2031年の社会福祉サービス

地方の首長たるもの超高齢社会である日本の福祉の実態を知り、
地方の福祉サービスの充実を図る必要がある。

今回は
「下流老人」-藤田孝典 を読み日本の高齢者のリアルを学ぼうと思う。
そこから得た知識を活かし、2031年の未来の社会副詞の形を模索していきたい。


下流老人とは

このインパクトのあるワードは著者の藤田氏の造語だ。
国の生活保護基準以下で暮らす高齢者達を指した言葉である。

まず、この「下流とはなんなのか」を考えてみることがスタートだろう。
これは一般的に定年後は旅行でもしながら悠々自適に老後ライフを送るというイメージ(上流)との対比で、つけられた名前だろう。

私もそんなイメージが漠然とあった。
実際に私の祖父母は友達と昼からカラオケに行ったり、ゲートボールに行ったり、卓球教室で汗を流し、押し花教室で仲間と談笑。
夏には国後島へ旅行(当時はフェリーで気軽に行けた)。
完全に上流の老後ライフを楽しんでいた。
実際にそんな生活を目の当たりにしていたので、
贅沢はできないにしろ生活保護で十分な生活を営めるんだろうなと何となしに思っていた。

下流老人など、一昔前の私ならば現役の時に頑張りが足りなかったのだから
そんなもの自己責任だろうと一蹴しそうなトピックだ。

しかし、見据える先が違うと、こうも思考の方法が変わるのかと自分でも驚いている。
人は変わる。


「超高齢社会」の実態


ここからは具体的な数字を元に、
高齢者が実際どのような状況に置かれているのか整理していきたい。

・生活保護受給世帯数
160万世帯(R3.1)-内50%が高齢者世帯

・相対貧困率(国の等価可処分所得の中央値の半分を下回る人数の割合)
15.7%(年収127万以下)

・健康寿命(大きな病気がなく健康でいられる年齢)
男女共におおよそ70代前半まで
つまり定年(60歳)後5~10年しか健康に暮らせない。

・65歳以上の人口-3617万人(28.7%)(R1)

・このままの人口減が続くと。2055年には人口が1億を切る。

上記の数字から見て取れる通り、悲惨だ

2025年には団塊の世代(約800万人)が後期高齢者になるため、
このままの制度だと医療費負担が現役世代に重くのしかかる。

出生率が下がり、寿命が伸びていく。
老人だらけの国になる➙現役世代の生活が圧迫されていく➙さらに子どもを産まなくなる➙生活に苦しくなると、生産性が落ち、投資に回すお金がなくなる。➙経済が冷え込む・・・

これはディストピアだろうか。。
一刻も早く行動に移さないといけないフェーズにいるのは間違いないだろう。

現在の社会福祉政策


・定年の引き上げ(そもそも定年は中国の陰陽五行説という考えに依拠したもので、定年が60歳というのはただの目安でしかない。)
-労働力の確保と年金受給年齢の引き上げ

・介護保険料負担増加(2017年より)
-現役世代からの保険料でまかなっている

・消費増税
-医療費の4割は税金で賄われている。

・障害年金・傷病手当金・高額療養費制度
-万が一病気になったときのセーフティーネット

・自治体レベルで行われているもの
コミュニティ形成やおしゃべり・くつろげる場を作る
認知症カフェなど、様々な取り組みがある。

シルバー人材活用以外は、ただの対症療法だと感じた。

もっと根本の原因に切り込む必要があるのではないだろうか。


2031年の社会福祉とは


2031年の未来にはこんなサービスや制度が生まれている、

国レベルでは
・働き手の減少により1人あたりの生産効率が求められた結果、様々なものの自動化が進み、生産性の高い仕事に従事する労働者が増加。

・コンビニやスーパーのレジ係が消滅し、品出しも最低限の人員で可能に。

ホワイトカラーの労働者が激減。企業は人件費を抑えられた分、優秀な人材育成やM&Aにより生産性をさらにアップ。

・世界のエイジングトレンドを先取りし、
いずれ自国の産業で外貨を稼ぐため、政府はロボット産業に注力。

・ユーサネイジア(安楽死)の法整備

自治体レベルだと
市町村統合により、各自治体の運営にかかるコストを削減。

健康寿命の延伸のためのサービスが充実。

-運動
運動習慣をつけることの重要さが広まり、出張トレーナーサービスが増加。
高齢者のデイサービスや老人ホームだけでだけでなく、会社の業務にはエクササイズの時間が設けられ、参加率はボーナスに影響する。

また住んでいる地区の運動イベントに10回参加すると、
マイナポイントが3000円もらえる等の施策の充実。

病院に大量に集う老人達は、待ち時間に10分間のウォーキングやエクササイズに参加するとファストパスがもらえ、早く診療を受けられる

-コミュニティの醸成
デイサービス保育所が流行し、保育園に預けられない現役世代の負担が軽減される。高齢者も若いエネルギーを得られ、コミュニティが活性化する。

ドッグセラピーやホースセラピーの実施
老人ホームや市役所、図書館などで犬や動物と触れ合う時間をつくる。
海外では導入が進んでいるが、日本では何故かあまり見ない。

何かのコミュニティに属しているということは精神的安定を生み、
健康寿命の延伸に効果がある
ことがわかっている。

シルバー人材の積極的活用
単純労働はシルバー人材のみ、または制限付きの雇用とすることで、必然的に若者が生産性の高い仕事につかざるを得なくなる状況をつくる。

空き家の活用で、若者の家賃負担減➙周囲の高齢者コミュニティに参加することを条件に家賃補助
 
現実的かどうかおいておくとしても、時間をかければその分だけ様々なアイデアが湧いてきそうだ。


まとめ


改めて現実を叩きつけられ、ショックを受けたのと同時に高齢化社会問題は避けることのできない問題であるとも感じた。

以前は人は国の宝なのだから、どんどん新たに生み出す方向に舵を切っていく必要を強く感じていた。
高齢者もこの国が沈んでいくのは見たくないはずだ。

なら我慢してもらうしかない
と単純に考えていたが、冷静にそんな訳にはいかないだろう。
人口の30%が高齢者の世界で、そこを無視して自治体運営ができるはずがない。
そして、自治体の選挙の投票率は明らかに60歳以上の票が多い。
 
お金のかからない方法で健康寿命を延伸し、QOLを向上させることはそんなに難しくないし、立候補する際は、高齢者政策をメインの柱の1つにしても良いくらいだ。
いや、そうしないと当選すらできないだろう。。。。
 
 
 
今回はここまで。
「下流老人」-藤田孝典
読み終わって今更気づいたのだが、
下流老人 一億総老後崩壊の衝撃
こちらが本編?というかメインのものらしい。
またの機会に読んでみようと思う。


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