「この人ったらね」で始まる毒矢。私の悪口を言い続ける母親の闇。その16
だから、島谷さんの怒りの源は、義母への嫌悪感ではないかと思っていたわけだ。そう言えば、2人が仲良く話している姿は一度も見たことがなかった。
「皆仲良くすれば良いのに・・・」
幼い私は、そんなふうに思っていたけれど、長い歴史の中で姑は嫁をいじめるもの、という共通認識は、21世紀になっても一向に消えていかない。
私は、まだ姑の立場にはなっていないけれど、とりあえず今は姑の暴言に耐える嫁という役割は、放棄できた。
これは。
実母と縁を切るよりは、かなり簡単だったと思う。以前は、傍若無人にふるまっていた義母は、
「稀沙さん、お忙しいのにすみません」
というように下出に出るほど関係性が変化している。要するに昔は、
「この人には何を言っても良い」
と舐められていたのだということを知る。
ところが私が強く出ると急に委縮し始めたので、相手の状況によってこんなにも態度を変える人なのだということもわかってしまったわけだ。
けれども、私を悪者にしたくてしかたがない母は、一筋縄ではいかない。何度言っても、私が傷ついていることが理解できず、真剣に訴えていることすら冗談としか受けとめられない。
そうして、いつもの、
「グフッ」
という曖昧な笑いを残し、話題を変えてしまうのだ。
だから私は、虐待されてきたことも、母が毒になる親であることも、一度も面と向かって言えたことがない。いつも、
「グフッ」
と笑って、はぐらかされてしまうからだ。
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