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ああ、わかりあえない、と知った日。(義妹の人生にも思いをはせてみる) その22

 ところが、義母や志穂の優先順位はそこではないようだ。
「引きこもっていて心配していたけれど、そんな女性がいるなら安心ね」
 と義母。さらに、
「働いていない光くんを支えてくれるなんてずいぶん甲斐性のある人なのねぇ」
 と感心していたそうだ。
 そうであるなら良いけれど、義弟夫婦のお金をあてにしていたら、それがなくなった時点で光くんへの愛も冷めて醒しまうのでは? とそこも気になってしまう。
 そもそも。
 志穂は、大丈夫なのか? このような関係になってしまった場合、
「息子を奪った憎い女」
 と逆恨みしてしまう例をよく見ているけれど、広大が見たところ、男の子を抱っこしたりして仲良くしているようだ。
 それなら、良い。
 とにかくすべてうまく行くように事が運ぶのが、私の願い。
 とりわけ志穂は、今まで辛い思いをたくさんしてきただろうから、なんとかそのようなトラウマからは立ち直ってほしいし、縁切りされたのはかえって良かったのかもしれない。


 ただ。
 志穂は、自分で考え解決してしまわず、少しは周りの声に耳を傾けた方が、客観的に自分を見つめることができるのではないか。
 私は心ある何人かの人に、自分の気持ちを打ち明け、受けとめていただき、次のステップに行くことができた。人選はとても大切だけれど、一人で考えるのには限界がある。
 もちろん私だって、全然完璧ではないけれど、少なくても橙色のミカンをリンゴだと言うことは避けたい。
 もうそんなことに我慢しているほど、残りの人生が潤沢にあるわけではないのだから。ちょっとくらい大変でも、自分の中にもやもやを溜めたり、
「まぁ、良いか」
 となかったことにしたりすることは止めよう。
 一つそうやると、どんどんその方向に進んでしまうことを、私は自分の経験から痛いほどに知っているから。

こんなに長い文章を最後まで読んでくださり、本当にどうもありがとう。今苦しんでいる人がいたら、少しでも明るい希望が訪れますように・・・。
そうして、またアップしたら他のエッセイもぜひ読んでほしい。    



 

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