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あなたの職業、何??(驚愕のカウンセラーに遭遇した話) その3

 このあたりから、このヒト本当に大丈夫? と思うようになり、それまでは読み流していたブログの決めつけの内容に、いちいち引っかかるようになってしまった。
「アダルトチルドレンの人は、皆が好き、良い、というものをあえて嫌いになり、皆がなんでこんな人と、という人とつきあってしまいます」
 という一文にも。
 皆が好き、の例にディスニーランドや劇団四季がリストアップされていて、
「そんなことで、何が測れるの? 好き嫌いなんてその人の個人の好みでしょ?」
 と反論の気持ちがわいてきた。
 行間に、アダルトチルドレンの人はひねくれて育っているから、普通の人の感覚がわからず、皆が良いと言うものの価値がわからない、と言われているようで、とても悲しくなった。
 ブログには、具体的な有名出身校や新卒で入社した大手企業の名前も載せていて自慢をしているけれど、同時に起業したての頃のクライアントとのトラブルについてもたくさん書いてある。
 まだ学んでいないことが多かったのでいさかいになり、今は反省してそうならないように努力している、と言うためのエピソードではあるのだけれど、とても詳しく書いてあるので、ご本人が見たら絶対に自分のことだとわかるだろうから、さらされて本当にお気の毒だなと思った。どうして、こんなこと書けるのだろう。
 デリカシーが、全くない。
 幸せな家庭に育ったら、本当は悲しい思いをしている人に余裕を持って接することができると思うのだけれど、想像力や共感力がないと、平気でひどいことを言ってしまう人もいるのは事実。中平先生はまさに後者だった。
 このヒトは、カウンセラーになったから今は相談を受ける立場になったけれど、それまでは誰かに頼られたことは、あるのだろうか? そう思った私は、カウンセリングの合間に聞いてみた。
「先生は、学生時代や会社にいる時、誰かから相談を持ちかけられたりしたことありますか? 部活のキャプテンをやってたってブログにあったから、そういう上に立つような人には相談しにくいんじゃないかと思って」
 さも素朴な質問を装って、いきなり核心に迫った。
「ありますよ」
 自信たっぷり。
「ふだんは来ないけど、ここぞとばかりの時にね。恋愛相談とか」
 違うのでは? 部活を続けられないくらいの何かがあって、しかたなく報告という形で言わざるを得なかったのでは? ふだんの相談相手の人選からははずされていた可能性もある。だって、相談しても頓珍漢な答えが返ってくるような人には、声をかけない。カウンセリングの勉強をした後でさえ、この程度なのだから。

 この質問をしたあたり、つまり5回目くらいのカウンセリングの頃には、もう自分の症状を改善したい、というより、一体どうやったらこんなヒトができあがるんだろう? という好奇心の方が勝ってきてしまっていた。
 質問の答えに対してどう反応しようか迷い、少し黙っていると、中平先生の何かのスィッチが入ってしまったらしく、問わず語りにすごい勢いで話し始めた。
「僕は、アダルトチルドレンの人を呼びよせやすいらしくて、カウンセラーになるための講座に通っている時も、必ず前後左右にアダルトチルドレンの人が座っていて・・・」
 それは・・・、確率的に当然ではないのか? カウンセラーになる人の中には、苦しいから救われたい、または苦しい状況を抜け出せたから救ってあげたい、という人が多いのを知らないのだろうか。
 時折り、ブラッシュアップとしてカウンセラーになった後も通っていたとのことで、そういう時には、
「思わずそこでカウンセリングしちゃったりしてね」
 と。ああ、そうですか。自慢? その人、傷つかなかっただろうか、と余計な心配をしてしまう。
「この間なんか、キャバクラ行ったら、隣りに座ってきた女の子がアダルトチルドレンで」
 話の展開にびっくりしている私の変化などには全く気づかずに、
「そこでまたカウンセリングしてあげて。なんでこっちが金払ってるのにカウンセリングしないといけないんだ? ってアホらしくなって、それ以来キャバクラ行くの止めましたけどね」
 これ、クライアントに言うこと? 金払ってって…。さもしい。
 どういう経緯でキャバクラに行ったかは不明だけれど、自営業なんだから接待で行ったわけではないだろう。異業種交流会とか好きみたいだから、その会合の二次会か何かで? いずれにしても、ちょっと小馬鹿にしたような言い方と、そもそもこんな話をしていいかどうかの判断もつかないというのが、噴飯もので、そこで完全に信頼関係(ラポール)を失ってしまった。

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