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教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その7

 また、
「〇〇くんの歯は、ちょうどこんな色してるのに虫歯が一本もなくて丈夫なのよね。こんな色してるのに」
 と茹でた黄色いトウモロコシを指して言う。
 これはほめ言葉か? いや違うだろう。
 ホワイトニングをすることが推奨されているのだから、トウモロコシのような黄色い歯は世間的には見苦しいと思われているのではないか。
 そんなことをわざわざ私に言ってくるのは、どうしてだろう。たまたまそこに茹でたトウモロコシがあって思いだしたにせよ、10歳くらいだった私は、トウモロコシが歯に見えてしまい、恐怖で食べにくくなってしまった。そこに思いを馳せることはできないのか。

 この話も、3~4回聞いたことがある。
「ある時廊下を歩いていた○○くんに、『こら! お腹にボールなんて入れてるんじゃないっ』って注意したら、『僕、胃拡張です!』って言われたの~。てっきりボール入れてるって思ってぇ」
 一人大爆笑しているけれど、ちゃんと謝ったのだろうか。だって、胃拡張は病気だろう。笑っている場合ではない。大人はストレスからなると言うけれど、相手は中学生。



 ボールを入れていると勘違いするほどお腹が膨らんでいるのだとしたら、教師として取るべき行動は他にあるのでは?
 それを帰宅して娘(私のこと)に面白おかしく話す神経が、まったく理解できない。

 私が高校生のころ、よく母宛てに合唱団からの封書が届いていた。
 半年に一度くらいの間隔で郵送されるそれは、定期演奏会のお知らせだった。
 ある時、
「これ嫌なんだよね~。卒業生が合唱団の指揮してるんだけど、その子片目見えなくて義眼なの。それ見るの嫌なんで・・・」
 私は、耳を疑った。
 そんなこと、娘に言うんじゃない! どういうつもりで言っているのだ。
 たしかに一度も出かけて行った形跡はないから、都度ウソをついて欠席しているのだろう。何回か断れば興味がないのだろう、とあきらめてお知らせを送るのを止める人もいると思うけれど、その卒業生は律儀にもずっと送り続けてきた。


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