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満を持して書く弟のこと。(ある意味私より被害者)その41

 え。
 じゃぁ、どうして思わせぶりに、習字部屋など作るのだ。
 まったくわからない。
 私はと言えば、
「そんなこと無理に決まってるじゃない」 
 と心の中で爆笑していた。
 意地が悪いと言われればそれまで。けれども、母の性格からして、愛する息子を奪った嫁とうまく行くことなど100%ありえない。
 そもそも。
 母は、直美さんや彼女の母親の悪口を、しょっちゅう私に吹きこんでいる。家柄がどうのこうの、離婚家庭だから躾がなっていない、など。直美さんのお母さんは下品にもダジャレばかり言ってくる、だの何から何まで気にいらないのだから、無理なのだ。


 披露宴の時、直美さんのお母さんは、直美さんの友達に囲まれて楽しそうに話していた。
「次は・・・○○○ね。違うか」
 と友人の名前を呼び捨てにしていた。私は、そんな冗談を飛ばせる仲になるほど、家に何度も来たりして気心が知れているのだな、と微笑ましく思ったものだ。
 我が家の場合は、私からは決して友達を招いたりはしなかった。どうしても来たい、という友人にはしかたなく来てもらったけれど、彼女が帰った後に必ず母がけなすので、それが一番嫌だった。
 高校時代も友達を駅まで見送って戻ってきた時、
「なぁ~に~、あれ! お葬式じゃないの~」
 と笑ってきた。
 友達は、人様の家に行くのできちんとしないと、と思ったらしく、お母さんのスーツを借りて着てきたというのに、この言い草。
 これ以降、私は友人を一度も家に招いていない。

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