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満を持して書く弟のこと。(ある意味私より被害者)その38

 ちょっと違う例だけれど、母は少しでも私に落ち度があると、徹底的に責めこんでくるので、希望や将来のことについて口にすることができなかったのだ。
 小学3年生の頃、我が家のマヨネーズは「キューピー」だった。その頃「味の素」のマヨネーズが新発売されたのかもしれない、母に、
「買って」
 とねだった。その時は、割とすんなり買ってくれたのだけれど、ずっと「キューピー」を食べ慣れていたせいか、
「思っていた味と違う~」
 と言って、2~3回使った後、食べなくなってしまった。
 けれども、人の味覚は変わるもの。
 小学6年の調理実習の時、同じ班のクラスメイトが「味の素」のマヨネーズを持ってきた。5、6人で班を作り、手分けして食材を持ち寄るシステムだったと思う。メニューは、「コールスロー」か何か。もっともその当時は、「キャベツの千切りサラダ」などという名前だったと思う。
 その時に口にした「味の素」のマヨネーズは、とてもまろやかでおいしかった。


 再び、
「味の素のマヨネーズ買って」
 と母に頼んだ。
 すると。
 キッときつい目で睨まれ、
「何よ! 前買ってやった時、まずいって残したじゃないのよ!!」
 とすごまれた。
 そこまで言われるほど、私はひどいことをしたのか? 子どもに対する物言いではない。言葉の端々に憎しみと悪意がこもっていた。
 母は、そのマヨネーズを捨てたのかもしれない。食べ物を大事にするという祖母からの教えを破らざるを得なくて、私を逆恨みしたのか。
 捨てなくても、たとえばポテトサラダの時に使うとか色々と工夫をすることはできたはず。2,3年前のことなのに、まだ根に持っているようで、二度と買ってはくれなかった。
 私は、中学、高校になっても何回か頼んでみたけれど、なんという執念。その度にきついトーンで同じ恨みを言って私を責めたてるのだった。
 これはもう、嫌がらせ。
 たった一度、しかも10歳にもならないうちのできごとを、こんなに後々までいわれては、怖くて大口など叩けやしないのだ。


 

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