教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その8
そうすると。
その度に行かれない口実を見つけなければいけない母は、
「あの子がこんなのを送ってくるから」
と彼のことを逆恨みし始めるのだ。
それは、濡れ衣というもの。
だったら相手が傷つかないような理由で、送ってもらうのを断れ。
「いつも送ってくれるけれど、私は合唱にあまり興味がないので・・・」
など言いようがあるだろう。それでも合唱を否定しているわけだけれど、義眼を見るのが嫌だ、よりはよほど傷つきは浅く済む。
心の中でいくら何を思おうとも、それは自由。誰も傷つかないから。けれど、口に出してしまったら、責任が伴う。
「娘に言っているだけだから、傷つく人なんていないでしょう」
母が言いそうな弁解。
その娘がズタズタに傷ついているのが、どうしてわからないのか。
本当に謎だ。
自分の母親が、こんなに醜い思考回路を持つ差別主義者だと何度も何度も思い知らされる私の気持ちを想像してみろ。
そもそも。
母は、
「人に対してひどいことを思っている人間」
と娘に思われても何ともないのだろうか。
人一倍周囲の目を気にするくせに、そのあたりの境界線がどこにあるのかわからない。
「うちの母は、平気で人を差別したり、陰で信じられないような悪口を言ってるんですよ」
私が、このようなことを母の知り合いに言わない、という保証はないのに。
まぁ、言ったところで、
「この娘は、妄想癖があって、人がそのつもりで言ったんじゃないことを悪い方悪い方に取るんですの」
と咄嗟に言い訳をして、体裁を保ちつつ、
「さっきなんであんなこと言うのよ!! 恥かいちゃったじゃないの!!」
と後でこっぴどく怒られるのが関の山。だから、私は、母の知り合いの前ではなるべく大人しい娘を演じている。
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