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現代の麻雀はイカれてる! -僕が考えたさいつよの麻雀ルール-
はじめに
念の為に書くが、筆者は麻雀をつまらないゲームであるとは認識していない。しかし、未完成であると主張している。まだまだ発展と調整の余地が、ゲームとして存在していると主張しているのである。
世界に広がる麻雀
世界にはさまざまな麻雀ルールが存在する。そして、往々にしてそれは複雑か、あるいは簡素すぎるものである。
中国麻雀は81も役が存在し、根本的に覚えていられない。アメリカ麻雀は毎年ルールブックを買わねばならず、論外である。ヨーロピアンクラシックは面倒なサイド計算を残している。台湾麻雀と哈爾濱麻雀は競技性がまるでなく、暇つぶしで遊べる程度のクオリティしかない。香港麻雀は誰も覚えていない。
では、日本麻雀はどうなのか?日本麻雀は、筆者の体感では、他の麻雀に比べて最も複雑なルールを有している運ゲーである。
日本麻雀の特徴
日本麻雀の最大の特徴は、守りのゲーム性である。その最大の原因は、別名である「立直麻雀」からわかる通り、立直と呼ばれる役にある。
立直
ご存知の通り、立直はプレイヤーがあと一歩で和了り形になっている状態を宣言する行為だ。このようにすることで、役をつけることができ、後述する裏ドラによる期待値の増加を望める。しばしば、これは日本麻雀最強の役とされる。しかし、これはノーリスクではない。牌を交換せずに和了を目指さなければならず、引いてきた牌が他のプレイヤーの和了り牌だとしても、捨てる牌を変えることができない。高いリスクと高い報酬をもたらす…とされるものが、立直である。
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日本麻雀は、役がなければ上がれないルールが一般的だ。どのような手牌でも立直を行えば上がれるようになる。しかし、この立直は特定状況下ではできない。ポン・チー・明カンといった、他プレイヤーから牌を奪う、いわゆる「鳴き」を行うと、立直が行えなくなる。
では、この立直宣言は、本当に高リスクなのだろうか。よく日本麻雀を遊ばれている、賢い読者にか気付けると思うが、この立直宣言はいうほど高リスクではない。現代日本麻雀において、立直が行われた際はオりて放銃するリスクを下げことが最も賢いとされる。ここで勝負に乗るには、十分高打点を目指せる手牌にできそうな一向聴以上の手である必要がある、としばしば言われる。つまり、立直をした時点で他のほとんどのプレイヤーは降りるのだ。あとはひたすら回避をするだけのゲームになりがちなのだ。
この状況を生み出すのは立直だけではない。その先にある「ドラ」及び「裏ドラ」にも責任がある。
ドラ・裏ドラ
ドラとは、一言で言えば、持っていると点数があがるボーナス牌のことである。かつては懸賞牌などと呼ばれたが、アメリカ麻雀における三元牌の呼称 "Dragons" が輸入され、ドラと呼ばれるようになった。なぜこの混同が行われたのかは非常に理解に苦しむ。このドラは、近いものが哈爾濱麻雀(旧満州で遊ばれる麻雀)にも存在し、宝牌と呼称されている。
日本麻雀において、このボーナス牌はどのように定まるのだろうか。
まず、日本麻雀136枚の牌を使用する。積まれた牌を時計回りに取って行った時に、その最後に残る7列2段の14枚、ここを王牌とよび、原則として手牌には持ってくることができない。
ドラと呼ばれるものは、このうちの1枚を表向きにすることで定まる。表向きにした牌の、同種の次番号の牌がドラである。この表向きにした牌をドラ表示牌と呼ぶ。
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このドラは、誰かが「カン」を宣言することで増加する。4枚同じ牌を集めることで、ドラ表示牌が増えるのだ。
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かつてはめくれた牌と同じ牌が、ボーナスを得られる牌だったが、インフレに伴い同じ牌から次の牌となった経緯があるらしい。そして、さらなるインフレとして増えたもの、それが裏ドラだ。
このドラの増加は、原則7枚2段のうち、上の段にしか関係しない。これを覆したものが裏ドラだ。立直を行ったプレイヤーは、下の段もドラ表示牌として扱える。つまり、立直を行ったプレイヤーだけドラの期待値が2倍になるのだ。これが、立直が最強の役と言われる所以の小さくない部分を構成している。
役とドラ
このイカれたドラシステムは、手役の価値を押し下げ、守りを優先するゲーム性に繋がった。同種の牌を1から9まで揃えることよりも、ドラを持つことの方が優先度が高くなるのだ。はっきり言って理解ができないし、これが中国人から「日本麻雀は運ゲーである」と言われる所以であるし、フランス大使館で大会が1度開かれるも2回目は音沙汰がない理由だ。
その上で、筆者は立直とドラでは、立直に大いなる問題があると考えている。現実に、ドラはゲームの興奮を高めているし、これは大きなドラマを生む。しかし立直はそういう意味ではネガティブだ。プレイヤーの態度を硬化させ、逃げと守りを進めてしまっている。
初心者に厳しすぎるルール
こういったプレイング上の問題以上に大きな問題がある。それは、あまりにもルールが多く、暗記する必要があるものが多すぎる上に、初心者はそもそも上がれないことも多いということだ。
「鳴き」は強そうなのにものすごく弱い
「鳴き」、つまり他のプレイヤーが捨てた牌を使って手を作る行為は、初心者にとって、最もわかりやすく興奮できるポイントである。しかしこれは大抵上がりに繋がらない。
多くの麻雀プレイヤーならばご存知の通り、鳴きは戦略的な一手だ。鳴いた結果手が公開されるとか、それによって他のプレイヤーに手を読まれやすくなるとか以上に、役に関する縛りが非常に広範だ。
一飜縛りと相性が悪すぎるこの調整が、初心者プレイヤーが和了を目指す上で大きな障壁となっている。
多すぎる暗記事項
振聴が、自分が捨てた牌では上がれないルールならどれほど良かったか。捨てた牌が含まれる待ちでは上がれない、というのは、あまりにも非直感的だ。それを理解するためにどれだけのプレイが必要なのか。
その上で、和了形を完成させるための役を揃える必要があり、それぞれの役の条件を理解し、暗記する必要があることが、とても面倒である。
また、日本麻雀には多くの暗黙のルールや習慣が存在する。これらを全て覚えることは初心者にとって一層の負担だ。例えば、ある特定の状況での牌の扱い方や、特定の役を狙う際の一般的な戦略など、経験を積むことでしか学べない知識が多すぎるのだ。
なぜ初心者に厳しいルールで、それでも広まっているのか
日本麻雀はもともと賭博としての側面が強く、複雑なルールを持って戦略的深みと興奮を提供することが求められてきた。雀荘に入るクレームによって複雑に制限が膨れ上がり、雀荘同士の差別化のために独自ルールが入り込んだ。
それでも現在日本麻雀が広まっているのは、主に雀魂とMリーグの功績である。また、各種媒体を通してマインドスポーツとして広まりつつある。これが多くの人々を引き付けている。これは喜ばしいことに見えるかもしれないが、ゲームの間口を広げているだけであって、日本麻雀そのものが持っている解決にはなっていない。
何度でも書くが、最も深刻な問題は、初心者が「ルールを覚えられない」「複雑なルールが理解できない」という理由でゲームを断念するケースが少なくないことだ。雀魂があってなお、こういったことが起こっている。これは、麻雀がボードゲームとしてのアクセシビリティを欠いていることを示している。楽しむ前にゲームを放棄する人が多いというのは、麻雀の普及にとって大きな損失である。
仮に今まで日本麻雀が存在しなかったとする。現代に麻雀が誰かに発明され、ゲームマーケット(ボードゲーム版コミックマーケット)に出品されたとして、これが全国的に広まるビジョンが描けるだろうか。描けなさそうと思った読者は、きっと筆者と同様の問題感を抱えていると思う。
総じて、日本麻雀はその独特のルールと戦略により、深い思考と計画を必要とするゲームである。しかし、その複雑さが新規プレイヤーの参入障壁となっている。この障壁を取り除いた、アクセスしやすいルールの導入が考慮されねばならないのだ。
ここまでが、筆者の問題意識である。
仮称: 鳴き立直麻雀
初心者に優しいルールへの提案
初心者が入りやすくし、日本麻雀らしさは残しつつ、賭け事由来の煩雑さを排除するための新しいルールを考えてみたい。以下にその提案を示す。
基本的な設計思想
「麻雀らしい」偶然性と頭脳戦を楽しむゲームとして、初心者が入りやすく、しかし戦略的な深さは保持することを目指す。複雑な計算や覚えるべきルールを簡素化し、すべてのプレイヤーが楽しめるようにする。
主たる特徴
槓の強化: 槓を行った際の利益を増やし、攻撃的なプレイを奨励する。
カンドラの選択性: プレイヤーが自分の捨て牌からカンドラを選べるようにし、戦略的な選択肢を増やす。
聴牌宣言の必須化: 鳴きがあっても立直ができるようにし、よりダイナミックなゲーム展開を可能にする。
点数計算の簡素化: より理解しやすい点数計算方法を採用し、初心者でも迅速にゲームに参加できるようにする。
以下に、より詳細なルールを記す。
点数計算
対局中に参照する場合は、このページをご参照あれ。点数フローチャートを採用しているため、初心者でも簡単にできる採点フローチャートが存在する。使用実績も5回ほど。
本ルールは、基本点×役点という計算方式を採用する。基本点は以下のように算出する。
底点 +400点
全プレイヤーで最初に上がる +200点
自分のカン1つにつき +200点
自分のドラ1つにつき +200点
自分のポンおよびチー1つにつき -200点
他家の聴牌1人につき +200点
ここに役点(翻)を乗算して、1人が払う点数が導き出される。なお、0役点の場合は×0.5とする。
ツモ上がりの場合は、すべてのプレイヤーが上がり者に計算の点数を支払うが、ロン上がりの場合は、放銃者がそれを1人で負うものとする。この計算は、算数ができない高卒の声優志望の妹でも理解できた。間違いなく、初心者でも容易に計算できるだろう。
試合進行
前提として、場風という概念は存在しないことをご承知願いたい。4ラウンド(局)1ゲーム(荘)を基本とする。ゲームの準備は以下のように進む。
スタートプレイヤーを決定する
風牌(東西南北の牌)を4種類1枚ずつ混ぜる。
混ぜた人以外が1枚取り、混ぜた人は残り1枚を受け取る。
全員がこれを公開し、手元に置く。
東を持っているプレイヤーがこのゲーム最初のスタートプレイヤーである。東を手に入れたプレイヤーから南西北を渡し直す。
壁を構築する
先ほど受け取った風牌を脇に置く。
萬子・筒子・索子・残りの風牌・花牌を全て裏向きにして混ぜる。
十分に混ぜたら、17列2段の棒を4本作る。
各プレイヤーが、自分の目の前にこれを1本置く。これを壁と呼ぶ。
ここまでで、おおよそ以下のような図が作れれば成功である。
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初期牌を作る
自分の目の前にある壁の右から12枚を、自分の手元に持ってくる。
脇に置いた自分の風牌(東西南北のいずれか)を加えて、13枚にする。
自分が不要だと思う牌を3枚選び、左のプレイヤーへ同時に回す。
ラウンド開始からラウンド終了まで
スタートプレイヤーは、自分の目の前にある壁の一番右の1枚を、手牌に加える。
スタートプレイヤーは、手牌から1枚、ドラ表示エリアに置く。
右隣のプレイヤーは、スタートプレイヤーの前にある壁の一番右の1枚を、手牌に加える。
手牌に牌が加わったプレイヤーは、不要な牌を捨て牌エリアに置く。
以下3と4を繰り返す。
2あるいは4の段階で、残り1枚で上がれる状態になった場合、捨て牌エリアに置く牌を横向きにしてもよい(横向きにしなければ上がることはできない)。横向きにした場合、「立直(リーチ)」と宣言する。
自分の上がり牌を誰かが捨てたか、自分で引いた場合、「あがり」と宣言し、手牌を伏せる。
山がなくなるか、全員があがるまで対戦を続ける(3人上がった時に山が8枚以上ある場合、最後の1人は残り8回だけ牌を引くことができる)。
出来上がった手牌の点数を比較し、最も点数が高い人が勝者とする。
勝者に、その点数分得点を支払う。
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ゲーム終了
スタートプレイヤーの右隣のプレイヤーが、次のラウンドのスタートプレイヤーになる。
壁の構築からラウンド終了までを4回行い、最後に最も得点が高いプレイヤーがこのゲームの勝者となる。
「鳴き」について
ポン・チーを行うと点数が下がるため、推奨されない。その上で、自らの手牌の完成を早くする行為であるため、バランスを見て行わねばならない。同時に、早ければいいわけでもないため、じっくりと手作りを行うことを推奨する。
いわゆる明カン・暗カン・加カンを行うと、自らの捨て牌エリアから1枚、ドラ表示エリアへ移動することができる。また、カンを宣言すると手牌が1枚不足する。不足分は、中央の赤ドラまたは次に引く牌を手牌に加える形で補充する。
「あがり」に関する制限
聴牌時は必ず牌を横向きにして宣言する。これを行なっていなければ上がることはできない。同時に、聴牌を宣言したにも関わらず、終局時に聴牌していない場合は、4000点のペナルティを設ける。これは、そのラウンドの勝者に渡される。そのため、確実にあと一枚で上がれるという状況で聴牌宣言をすることが好ましい。
同時に、自分が一度捨てた牌で上がることはできない。これは、捨て牌エリアとドラ表示エリアの両方を参照する。どちらかに存在する牌では上がることができない。
花牌の使い方
通常の日本麻雀では、花牌を使用しないが、このルールでは使用する。花牌は、「花」と宣言しながら脇に置くことで、ドラを1枚持っていると見なすことができる。こうすると手牌が1枚不足するので、その分は通常の引きを兼ねて補充する。
また、各字牌の5枚目として使うことができる。例えば、白2枚と花1枚で、白3枚と見なしても良い。ただし、白1枚と花2枚で白3枚とはみなさない。
その他わかる人向けの調整
・食い替えを制限しない。
・上がる際の発声は、上がりであることがわかれば良い。
推奨はポン・ロンが誤認されないよう「上がり」または「フー」とする。 「ロン」は任意で用いても良いが、正式とはしない。
・場風の概念を削除
・食い下がりなし
・河底に対するポン・チーは認められる。その場合、交換された捨て牌が河底である。
・途中流局なし
採用している役
以下に、役を種類別にまとめている。種類の中では、最も高い1つが自動的に採用される。
絶門系統
絶一門: 1点
萬子・筒子・索子のうち、2種しか使わずに手を作る。(字牌可)絶二門: 3点
萬子・筒子・索子のうち、1種しか使わずに手を作る。(字牌可)純絶二門: 6点
萬子・筒子・索子のうち、1種しか使わずに手を作る。(字牌不可)絶三門: 12点(役満)
字牌だけで手を作る。
一気通貫
一気通貫: 3点
全て同じ色の1から9までを手に揃える。九連宝塔: 24点
全て同じ色の1と9を3枚ずつ、2から8を1枚ずつ揃えて上がる。
14枚目は同じ色ならばなんでも良い。
么九関連
断么九: 1点
1・9・字牌を使わずに手を作る。全帯幺九: 3点
全ての面子に1・9・字牌が含まれた手を作る。混老頭: 6点
1・9・字牌だけで手を完成させる。国士無双: 12点
1・9・字牌・花牌を全種類手に収める。面子がない特殊な形になる。清老頭: 24点
1・9だけで手を完成させる。
刻子関連
二暗刻: 1点
ポンせずに刻子を2つ作る。三暗刻: 6点
ポンせずに刻子を3つ作る。四暗刻: 12点
ポンせずに刻子を4つ作る。
順子関連
通二順: 1点
チーせずに色も数も同じである順子のペアを作る。双通二順: 24点
チーせずに色も数も同じである順子のペアを2つ作る。
槓子関連
槓子: 1点
槓子を作る。二槓子: 3点
槓子を2つ作る。三槓子: 6点
槓子を3つ作る。十八羅漢: 24点
槓子を4つ作る。
三元牌関連
一元: 1点
白・発・中のいずれかで刻子を作る。二元: 2点
白・発・中のいずれか2つで刻子を2つ作る。小三元: 6点
白・発・中のいずれか2つで刻子を作る。雀頭を残り1種類で作る。大三元: 12点
白・発・中全てで刻子を作る。
風牌関連
自風牌: 1点
ラウンド開始時に配られた自分の風牌で刻子を作る。三風刻: 3点
風牌の刻子を3つ作る。小四喜: 12点
風牌の刻子を3つ作る。雀頭を残り1種類で作る。大四喜: 24点
風牌全てで刻子る作る。
七対子関連
七対子: 3点
2枚組を7種類集める(4枚ある同じ牌を2枚ずつと見なしても良い)。大七星: 12点
字牌を7種類、各2枚ずつ集める(花牌は2枚持ちで1組とする)。
花牌関連
四華開嶺: 12点
花牌を4つ、テーブルの端に置く。
連続刻子関連
四連刻: 24点
同じ色の刻子を、連続した4つの数で作る。
三色関連
三色: 3点
全く同じ数の組み合わせを3種類の色で1つづつ作る。
順子か刻子かは問わない。
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