清瀬・丸栄ベーカリー|懐かしさこみ上げるパン屋にて隠れた"名パン"発掘
「おいしいパン買ってきたよ」という母の声に引き寄せられて出会ったのが丸栄ベーカリーのパンでした。
丸栄ベーカリーは、わたしにとって「昔から知ってはいるけどよく知らない」どっちつかずな距離感のパン屋です。幼い頃、店前を通るたびにちらっと横目で見ていた程度。いわゆる顔見知りどまり。
丸栄ベーカリーを運んできてくれた母をきっかけに、当時の何気ない記憶がよみがえります。「おいしいパン」という言葉に半信半疑のまま食べてみれば、すっかり丸栄のパンの虜になっていました。
今では焼きあがる時間を狙って購入する、わが家リピートのパンがあります。
丸栄ベーカリー(丸栄のパン)
清瀬駅からまっすぐ続く通りを抜けて五差路を渡ると、あずき色のテント屋根がトレードマークの丸栄ベーカリーがみえてきます。
駅から少し離れた場所にありますが、学校や病院が集まるエリアなので人通りが多く、わたしもよく通っていた道です。幼少期から丸栄ベーカリーの存在を知っており、当時は特別パンに興味がなく「昔のパン屋さんがあるな」と思う程度。大人になってからは生活圏が変わり、すっかり忘れていました。
丸栄ベーカリーを思い出すきっかけになったのは、母が手土産に持ってきてくれた「フレッシュブレッド」です。
フレッシュブレッドに一途なわが家
丸栄ベーカリーの「フレッシュブレッド」とは、一般的にデニッシュブレッドと呼ばれるパンです。菓子パン、総菜パンが丸栄ベーカリーで人気を集めるなか、それらには目もくれず、フレッシュブレッドばかりリピートしています。
焼きたてを購入するのが母のこだわり。できたてほやほやのフレッシュブレッドは、袋ではなく紙に包まれた状態で渡されます。
「フレッシュブレッド」は、生地にバターが練り込まれているプレーンタイプです。
塩味と旨みのシンプルな味わいだからこそ、表面のパリッとした香ばしさが引き立ちます。
わが家で「豆のパン」と呼んでいるのが「大納言フレッシュ」。普通の小豆ではなく、大納言がゴロゴロと入っていて、豆の印象が強いデニッシュブレッドです。
両手でわしづかみにして大胆にパンを割くと、なかから鮮やかな緑色がお目見え。おそらく抹茶かなと思いますが、ほとんど主張しません。
大納言がもつ素材の甘さとバターの塩味がちょうどいいバランスです。ふわっとしっとり、もっちりした生地。バターをたくさん使ってるんだろうなと感じる、コクたっぷりでリッチな食感ですが、くどくないのでひと山ぺろりと食べられちゃいます。
こちらは「メープルフレッシュ」と「チョコチップフレッシュブレッド」です。
この日のメープルフレッシュは、焼きが強かったのかダークブラウンに色づいていますが、いつもはプレーンのフレッシュブレッドに近い明るい焼き色をしています。
ちなみにフレッシュブレッドのサイズは、横20×縦9×高さ9cmほど。どっしりとしていてボリュームがあります。
4種類のフレッシュブレッドがあるなか、特に焼きたての香りにうっとりするのが「メープルフレッシュ」です。
プレーンの「フレッシュブレッド」や、豆がごろごろ入った「大納言フレッシュ」とくらべると、バター感が控えめ。バターとメープルの組み合わせは甘じょっぱくなりそうですが、それほど塩味を感じずまろやかな甘さです。
表面にちりりばめられたチョコチップ、なかにたっぷりチョコが練り込まれた「チョコチップフレッシュブレッド」。
ミルクチョコレートのような甘さではなく、ほんのりビターな味わいです。一部こげていても、ほろ苦さがスパイスになってちょうどいい。
焼きたては、ふわふわ・しっとりとした生地に、とろっとしたチョコが染みてまさに食べごろです。
ひっきりなしに地元民が訪れるこれぞ「街パン」
数年ぶりに訪れたところ、なくなってしまったお店や新しくできた住宅などで周辺の様子ががらっと変わっていました。変わりゆく景色のなかで、唯一記憶にある姿のままだったのが丸栄ベーカリー。これぞ地域に根ざすパン屋「街パン」ですね。
4種類あるフレッシュブレッドのうち特におすすめなのは、2つ目に紹介した「大納言フレッシュ」と、3つ目の「メープルフレッシュ」です。家族にも聞いてみたところ満場一致でした。
母曰く、フレッシュブレッドの焼き上がりは12~13時頃とのこと。ちなみに土曜日の焼き上がり時間なので、平日は異なるかもしれません。丸栄ベーカリーのフレッシュブレッドは、わが家イチオシの隠れた"名パン"です。
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