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ゆめいっぱい

夏になると思い出す記憶の一つ。
小学校の夏休み、エアコンの効いたリビングで見ていた昔のちびまる子ちゃん。

小学生時代の夏休みの記憶なんてほとんどないのだけれど、それほど毎日ぼんやりと過ごしていたのだと思う。
夏休みといえど両親は仕事で家にいないし、宿題をコツコツとやるタイプでもないのでただひたすらひ暇をしていたのだろう。
当時、ケーブルテレビを契約していた我が家ではカートゥネットワークやらディズニーチャンネルやらアニマックスやらが自由に見れて、クラスの女の子たちがめちゃモテ委員長にハマっている時代に私は桜蘭高校ホスト部にハマっていたので全然話が合わなかった。
夏休みは普段は学校に行っていて見れない時間帯の放送を見ることができるのが嬉しかった。
当時のリアルタイムのアニメというより、昔放送していたアニメの再放送が流れていて、アニマル横町や学園アリスなどをよく見ていた。
なかでも一番お気に入りだったのが昔のちびまる子ちゃんだ。
OPもEDも絵柄も私が知っているちびまる子ちゃんとは違くて、レトロで新鮮だった。ストーリーも今よりも少し古い感じだったと思う。近所に駄菓子屋すら存在しない平成生まれの私にはピンとこない部分も多かったけれど、どこか懐かしい感じがしてすごく好きだった。
EDの『走れ正直者』を初めて聞いた時なんか、歌詞のあまりのトンチキさにお姉ちゃんと大笑いした記憶がある。
大学生になって、さくらももこのエッセイを読みだしてからも思ったけれど、私はさくらももこのユーモアがとても好きだ。ユーモアの中にも、心の芯まで響くものが確かにある。

外の暑さが遮断された家に引きこもって、お菓子やアイスを食べながらちびまる子ちゃんを見ていたあの時間が今でもたまらなく愛おしい。
大人になった今、長期の夏休みなんてものはないけれど、今だに昔のちびまる子ちゃんを見たり『ゆめいっぱい』を耳にすると、一瞬で夏休みの特別なわくわく感が蘇ってくる。
一瞬であの日の懐かしいリビングへ戻ることができる。

《忘れてた宝物見つけたよ 切り取った時間の片隅》だ。
本当に。


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