今できること、今しかできないこと、自分達しかできないこと
私は、東京銀座でライブハウスをしている経営者です。 世の中が変化したからこそ、『今できること、今しかできないこと、自分達しかできないこと』を改めて考えて行動を起こすことにしました。
noteはその思いを綴る場所としています。
Campfireにおいてクラファン チャレンジ中です。よろしくお願いします。
はじまった爆発的拡大
今このライブハウスを再開しても、感染リスクの不安を抱えての営業となる事は避けられないだろう。
どんなに感染症対策をしても、感染リスクはゼロにはならない。絶対大丈夫だと胸を張ってお客様をお招きは出来ない。
だが映像ならば絶対にゼロだ。
確かにメンバー間での感染リスクはどうしてもゼロにはならない。メンバー間のお互いの気遣いと、信頼の上で出来る限りの配慮をしていくしか無い。
その中で、今出来る事、今しか出来ないこと、自分達にしか出来ないこと。それを探した。
街から人が消えた
当ライブハウス「F」は、東京都銀座に位置するライブハウスだ。
大体の人達は銀座にライブハウスのイメージはないだろう。だが長年営業している老舗や、有名なライブハウスも多数存在しているのだ。
「F」はオープンからようやく3年の新参者だった。メンバーは業界では珍しく、経営者である私も含め、10代〜30代で構成されていた。
集客が中々うまくいかず借金もかさむ中、何度閉店を考えたことか。それでも首の皮一枚で繋げて、ようやく赤字が出なくなってきた矢先のことだった。コロナ感染症によるパンデミックが世界を襲った。
銀座というのは、土地柄サラリーマンのお客様が中心の街である。「F」に訪れるお客様も、皆が知っている有名企業の方たちが多く、そのようなしっかりした会社では感染対策は完璧なところばかりだった。つまり完全テレワーク、そして飲み会禁止令。街から人は消え去った。
追い打ちをかける緊急事態宣言
3月下旬、近隣からもコロナ感染クラスターが出始めたと、仲の良いご近所さん達から伝わって来た。それを聞き、私はすぐにお店を休業する事を決めた。
正直に言うと、私は最初そこまで心配はしていなかった。きっと続いても三ヶ月くらいのもので、それが過ぎたらみんな自粛にも耐えられず、人出はすぐに戻るだろう。そして年末には、今年は大変だったねー!と沢山の人が一緒の時間を過ごしにやって来るものと思っていたのだ。
皮肉な話ではあるが、苦難の多い年、暗いニュースの多い年ほど、それを吹き飛ばしたいという心理なのだろうか、人々は集まり、年末は賑わうのだ。
だが今年ばかりは当てはまりそうにもない。
私が不安を感じ始めたのは、たわいも無い事に「F」を休業して一ヶ月ほど後のことだった。
ずっと多忙な毎日を走り抜けてきたのだ。緊急事態宣言も長い休暇だと思ってゆっくりしよう。
最初は楽観的でいたものの、人というのは弱いもので、閉じ籠って一人でいると、考えがマイナスにしか働かない。誰に会うこともないので永遠に自分の中でループしてしまうのだ。私は呆気なく鬱っぽくなった。
人は一人ではいられないもの。改めて痛感した体験だった。
とは言ってもプレッシャーにはある程度耐性がある。今までにも仰天するような出来事は何度もあった。
こんな時は行動あるのみ。いつも足元を見て進んできた。どんなに無理に思える事も、少しづつでも前進していれば見える景色も変わるものだ。
この間でも出来る事、今出来る事をと思い、YouTubeで動画の配信をした。毎日アップし、毎日更新した。何もせずにいられなかった。でも私は気付いていた。
うちの売りは参加型エンターテイメントだ。お客様が共に一緒にステージで歌ったり、奏でたり、共感して頂き、新しい音楽の楽しみを見出してもらう。まさに生きたライブを体感してもらう事に最高の価値のあるライブハウスだ。そしてそれは、コロナ時代にはこの上なく不利だった。
そんなうちが無観客ライブをしたところで、そこに価値を感じてくれる顧客ではないことは明白だった。つまり全てが白紙になったのだ。
今こそ、新しいチャレンジを
何かを変えなければいけない。そう考えている時、一本の電話がかかって来た。
先日うちのライブハウスに訪れた、私と歳の近い東北のお味噌屋さんの2代目の方で、彼はとても優秀な人物だった。3.11の震災をアイデアで乗り切った経験の持ち主でもあった。
彼は私の毎日配信していたYouTubeを見てくれていて、頑張っているから応援したいと電話をくれたのだった。そして、大きなヒントをくれたのだ。
『今コロナで困っている人が沢山いる。あなたが扱っているものは音楽だから。色んな人に元気を与えたり、役に立つ事ができる。もっと必要としている人達もきっといるはずだよ』と。
私はハッとした。自分の周りしか見えていなかった。私達がする事で、今の世の中の役に立てる事が他にもあるはずだ!
そう思ってすぐにあるストーリーを思いついた。
それが、音楽でコロナ大魔王と戦うというテンポルバートのストーリーだった。
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