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はたらくって、言葉だ。

僕にとっては、学生団体と会社はどちらも「はたらく」組織でした。

とは言っても、学生団体と会社では活動の目的や雰囲気が大きく異なります。
所属するメンバーが変わるので、当たり前といえば当たり前かもしれません。

何よりも変化したのは、一緒に働くメンバーの年齢です。
両親より年上の方々とお仕事をすることも珍しくありません。
年齢が大きく異なれば、持っている価値観も大きく異なります。
同世代の中では常識であったことも、別の世代の人にとっては常識ではありません。

一方でメンバーが変わったとしても変わらない部分もあります。
どちらの組織でも、組織の目的を達成するために、メンバー一人一人がそれぞれの役割を持ち、行動していました。
この変わっていない部分、「複数の人々が共通の目的を持って行動すること」こそが「はたらく」ということなのではないかな、と思います。

組織を作るということ

学生団体も会社も、どちらも大勢の人々が所属する組織です。
ひとつの組織の中には様々なチームが存在します。

例えば、学生団体では各大学ごとに支部という組織をおいており、全国に70程度ありました。
私が所属していた支部にはメンバーが40人程度おり、支部の中には「セクション」と呼ばれる機能別のチームが8つありました。

今の会社には数万人〜数十万人の人が所属しています。
会社の中にはいくつもの事業が存在していて、その事業の中でも職種が分かれており、その職種をさらに細分化したチームが無数に存在します。

組織という概念はとても複雑ですし、組織が大きくなれば組織を維持するための仕事が生まれてきます。

それにも関わらず、どうして人は集団で動くのでしょうか。

『サピエンス全史』では、言語を獲得したことで、人間は集団行動をできるようになったとされています。
どういうことかというと、「想像上のもの = 虚構」を「言葉」によって共有し、共通認識を持てるようになったことで、集団や組織などの虚構の概念を扱えるようになったそうです。

確かに、学生団体や会社、その他の様々な組織も、実体としては存在しませんよね。

ただの虚構でしかないのに、複雑な組織をわざわざ作るのは、一人でできることは限られているからだと思います。
一人ではできないことを成し遂げるために、組織は存在すると思います。
組織の存在意義は一人ではできないことを成し遂げることだとも言えるかもしれなません。

1+1を2より大きくするには

1人でできることをやるだけなら、組織は必要ありません。
2人で組織を作って、2人がそれぞれ行動してできる程度のことだけをやるだけなら、その組織も必要ないかもしれません。
100人の組織でも、10,000人の組織でも同じことが言えると思います。

1+1を2より大きくするためには、どうしたら良いのでしょうか。

協力すること、お互いの強みを引き出すことが重要だと思います。
お互いの強みを引き出すためには、お互いの能力や特性を知り、知った上で目の前の作業を適切に分担することが必要です。

能力や特性といった概念も、実体のない虚構です。
これらの虚構を信じない限り、相手の強みを引き出すことはできず、ひいては1+1が2より大きくなることはありません。

ここでも、言葉による虚構が大切になってきます。

言葉がなければ、2人という最少単位の組織すらまともに機能しないことがわかります。
より大きな組織を考える場合は、言わずもがなです。

冒頭に書いた通り、「はたらく」ということが「複数の人々が共通の目的を持って行動すること」だとするならば、はたらくことと言葉は切り離せないことがわかります。

「働」という漢字

ここで、「働」という漢字を見ると、「人」を「動」かすという字で成り立っています。

遠回りをしましたが、「はたらく」ことはその漢字一文字に全て集約されていたことに気づきました。

人を動かし、人に動かされることが「はたらく」ことだと思います。
人を動かすためには、その人にどう動くかを伝える言葉が必要です。
人に動かされるためには、その人が自分にどう動いてほしいと思っているかを言葉で聞くことが必要です。

組織の中では、何かを成し遂げるために、1対1もしくは1対多の間でとてもたくさんの言葉が交わされます。
たくさんの言葉によって、組織が成り立っているとも言えるかもしれません。

自分の発する言葉、書く言葉のひとつひとつが今の組織を作り上げているとも言えるでしょう。

これからの日々は、ひとつひとつの言葉を大切にして過ごしたい。
はたらくことについて考えた結果、そんなことに思い至りました。

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