やっとNotionをいい感じに使えるようになった
万能アプリNotion。みなさん使っていますか?
Notionが登場したときには「マークダウンだし、やりたいこと全部できそうだし、すごい!」とか思っていたのですが、なかなか使いこなすことができませんでした。具体的には…
Evernoteの代わりに使おうとメモとWebクリップを移行したものの、新しくメモを作るのが億劫で使わなくなり、Evernoteを使い続けることに。
メモノートにToDoリストを埋め込んでみたものの、いろんなところに散らかって挫折。Remember the milkに移行。
仕事を管理するためのプロジェクトの一覧や、商談管理表、旅費管理表をGoogleスプレッドシートから移行してみたが、集計や整理の方法がわからず挫折。
という感じで、上手く使うことができませんでした。唯一複数のプロジェクトを管理するためのガントチャート(タイムライン)だけを利用していて、有料プランに入ったのに使っているページは一つだけというさみしい状態になっていました。
LinkedInで上手く使っている方の投稿を読んで、もう一回やってみようと思い立ってわーっとやってみたところ、ようやくいい感じの運用にたどり着くことができました。
特に、日々確認したいタスクや予定、プロジェクトなどのページをつくって、ビジネス活動全体の動きをダッシュボードで確認できるようになったのが大きいです。こんな感じです。
ということで、久々にnoteを開いてまとめてみます。もしかすると私のようにフリーランス・個人事業主で情報管理に困っている方がいらしたら、役に立つかもしれません。
Notionで何をやろうとしたか
Notionを使う前は、主に仕事の管理のために以下のようなツールを使っていました。よくいえばマルチベンダー、悪くいえばバラバラですね。そして、Notionは一つのページしか利用していませんでした。
メモ: EvernoteとUpNoteとGoogleドキュメントに分散
予定表: Google カレンダー
タスク管理: Remember the Milk
プロジェクト管理(中期タスク): Notion
稼働工数管理(作業量): Google スプレッドシート
一覧系の管理: Google スプレッドシート(商談、旅費などの管理)
ファイル置き場: Google Drive
オフィススイーツ: Google WorkspaceとMicrosoft 365を併用
使うツールがバラバラであっても大きな問題はなかったのですが、次のような不満がありました。
まずは、Google スプレッドシートなどスマホから見るのが面倒なものが含まれていたことです。基本的にパソコンで仕事をしているのですが、ちょっとスマホで見たいときにストレスがありました。
ツールによって見え方が異なる問題もあり、かならずしも好みのUXでないツールもありました。その結果、ツールによってアクセス頻度に差が出て来て、見落とすことがありました。また、情報が分散していることで、今後生成AIの恩恵を受けにくくなるかもしれないと懸念したこともあります。
これらの問題を解決すべくNotion利用に再チャレンジしたわけです。
今の状態
以上の問題を背景に「なるべくNotionに寄せてみる」ことにチャレンジ。
なるべくというのがポイントで、無理に統合しない緩さをもってやってみたところ、次のようになりました。
メモ: Notion
予定表: Notionカレンダー中心(Google カレンダーも使う)
タスク管理:Notion
プロジェクト管理(中期タスク): Notion
稼働工数管理(作業量): Notion
一覧系の管理: Notion
ファイル置き場: Google Drive
オフィススイーツ: Google WorkspaceとMicrosoft 365を併用
ダッシュボード: Notion 【新規】
結果として予定表、メモ、タスク管理、プロジェクト管理、稼働工数管理、一覧系(商談や旅費の管理)をNotionに移行することができました。さらに、冒頭に示したビジネス活動を一つのページで俯瞰できるダッシュボードも作ることができました。これで見落としを減らすことができます。
その一方で、PDFやWord、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、パワーポイントなどのファイルはNotionに持ってきていません。
今のところこの形で上手く運用ができています。仕事を始めるときにはまずNotionのダッシュボードとメールを確認する、というシンプルなアクションになり、とてもすっきりしました。
ではどうやってこのように改善したのか解説してみます。
何から手を付けたのか
まずやったのはお勉強です。
Notionの入門書や解説本を何冊か買って、ざっと読みました。Webにもいろいろ情報はあるのですが、やれることを把握するのは大切だと思ってのことです。読んだのはこちらの3冊。
「Notionライフハック」は、今一度Notionの楽しい感覚を得るために読みました。いろいろな応用例が載っていて楽しい本です。
「はじめるNotion」は基本機能を分かりやすく網羅しているのが便利で、一気呵成に読みました。
そして、「Notionプロジェクト管理完全入門」は自分がやりたかったことをまさに書いている本でしたので、大いに参考にしました。
作戦
本は参考にはなりますが、天下り的にテンプレートを使っても手に馴染みにくいものです。そこで、本を読んで知識が整ったところで、自分自身の作戦を考えて実行していきました。まとめると以下の4点になります。
メモやタスク、管理系など、すべてのページをデータベースで管理する。
案件管理データベースを中心において、メモ・タスク・各種管理表をリレーションで紐づける。
共通プロパティとして「ビジネスカテゴリ」データベースを作り、リレーションで参照する。
ロールアップでピボットテーブルやグループ集計をする代わりに、チャートの集計機能を活用する。
それぞれ簡単に解説します。
1. データベースでページを管理
サイドメニューの適当な場所で「+」ボタンを押すると簡単にページを作ることができますが、これをやるとメモやタスクのページが散らかってしまって収拾がつかなくなってしまいます。
この問題の解決方法としては、タグをうまく設計してページにタグ付けしていく方法と、データベースを作ってページを管理する方法があると思います。
現代的にはタグでやるのが柔軟でよいと思うのですが、私の場合タグを縦横無尽に増やしてしまい、結果としてうまくいきませんでした。これはEvernoteを使っていたときも同じで、Evernoteでもタグは限られたものしか使わずノートブックで管理していました。
ということで、メモやタスクについても器としてのデータベースをつくり、そのアイテムとしてページを作るように統一しました。これで混乱が減りました。
その一方で、データベースを作るときにはできるだけ独立したページに作るようにし、インラインでは作らないようにしました。これはページの構造が複雑になってどこに何があるか分からなくなるのを防ぐためです。
実際、再チャレンジを始めてからデータベースがインライン、独立ページに縦横無尽に作ってしまって迷子になって、一度作り直すことになりました。
2. 案件管理データベースを中心に他を紐づけ
この作戦は「Notionプロジェクト管理完全入門」の4章に載っていた方法を参考にしたものです。各データベースをリレーションとロールアップで紐づけていくというアプローチでした。
私の場合ひとり事業なので、本で書かれているほど複雑にする必要はなく、メモやタスク、稼働工数がどの案件のものか分かれば十分です。ただし、法人向けのコンサルティングや研修ビジネスをやっている関係で、商談活動の足が長く、商談フェーズとプロジェクトフェーズが区別できるのが望ましい状況です。また、顧客案件以外にも、取材や新ビジネス検討などのマーケティング的な活動もあります。
そこで、頻繁に出入りがある商談活動を独立したデータベースで管理すべく、もともとGoogleスプレッドシートで管理していたものを移行しました。そして、その他の足の長い活動を「イニシアティブリスト」と名前を付けてまとめました。まとめるとこんな感じになりました。
商談・売上予定管理表
商談のステータス、仕事の概要、売上予定、仮スケジュールを管理。
イニシアティブリスト
ビジネス開発、マーケティング、プロジェクト(クライアントワーク)など足の長い活動を管理。
各活動について稼働工数を管理するデータベースを紐づけ。
これらをひとつのデータベースにまとめることもできるのですが、商談の方は売上の見通しを立てるためにも利用したかったので、別枠にしました。
そして、これらの案件管理データベースを中心に、メモ、タスク、稼働工数管理などのデータベースを紐づけることで、データを探しやすくしています。
これまでは、これらのメモが分散してしまっていたので、見通しを立てるのが面倒なことになっていました。これらをまとめてガントチャートやリストで見える化したことで、中期的な視点を持てるようになりました。
ところで、「イニシアティブ」という言葉はビジネスアナリシスのガイドラインであるBABOKから拝借しました。以下に定義を引用します。
ややこしい感じですが、「ビジネスの目的を持った様々な活動」と捉えてよいと思います。また、タスクのようにサクッと終わるものでもなさそうで、上にあげたビジネス開発やプロジェクトをまとめるのにぴったりでした。
3. 共通プロパティで各データベースのページ分類を共通化
ここまででほとんど目的を達成できたのですが、少し困ったことがありました。それは、商談やプロジェクトといった案件に必ずしも紐づかないメモやタスクの管理がうまくいかなかったということです。言い換えるとふんわりしたタスクやメモの管理方法に課題があったということですね。
これを解決するためにデータベース同士をガチガチにくっつけると実現が難しくなってしまいます。かといって適当にページを作っていくと、散らかって見る気がなくなってしまいます。タグで管理するにも、タグを無尽蔵に増やしてしまう癖によって上手くいきません。
そこで、ページをカテゴライズするためのプロパティを決め、それを「ビジネスカテゴリ」というデータベースに集約。各データベースから参照することで緩くつながりを持たせることにしました。
また、案件とページを紐づけた場合は、オートメーションを使って、なるべく自動的にカテゴリを引っ張ってくるようにしました。ここもガチガチにせず、遊びや抜けを許すようにしています。ちなみにビジネスカテゴリは以下のようなものになっていて、必ずしもすべてが共通でないものもありますが、その辺りも緩くということで。
個人的にはこの工夫がポイントだったと思います。今までNotionにトライして上手くいかなかった背景には、各データベースのカテゴリやタグをバラバラに作ってしまうという問題がありました。今回は主要なカテゴリを統一することでこれを回避しつつ、運用の負担を下げることに成功しました。
こうした設計思想は個人によって差が大きいと思いますので、あくまでご参考まで。
4. チャートの集計機能を活用
最後にネックになっていたのが、表計算的な機能の移行です。具体的には、商談・売上予定表と稼働工数の月ベースの集計や、取引先別の売上集計などなど。
これらの集計はExcelやGoogleスプレッドシートのピボットテーブルを使うと簡単に実装することができますが、Notionだとリレーションとロールアップと駆使してやりくりしなくてはなりません。
NotionでもRDBのJoinのような仕掛けがあれば簡単にできそうなのですが、レコードを追加するたびに紐づけしていかなくてはならないのが面倒で困っていました。また、ロールアップで合計を計算したときにセル値が左揃えになるのものイライラポイントで、わざわざ関数で参照しなおして右揃えにするのも億劫でした。
そこで注目したのがこの8月に登場したチャート機能(グラフ機能)です。データベースの設計を適切にしておけば、クロス集計やグループ集計的なことを簡単に行えます。結果はグラフになってしまいますが、それはそれで見やすいです。
このチャート機能のようなUIでクロス集計機能が実現されるとベターかなと思います。
まとめ
今回は私のNotionの使い方を紹介しました。フリーランスとしてのビジネス活動をマネジメントする上では十分な状態になっています。おかげで仕事はとてもしやすくなりましたが、生成AIの活用はまだこれからというところです。
また、Notionのデータベース設計は仕事のスタイルやビジネスモデルに大きく関係します。この先ビジネスの形が変わるとあっという間に変化しそうな気もしますね。