見出し画像

社内転職は主体的に。でもそのきっかけは受け身でも構わない。

深夜になり人もまばらなオフィスの片隅で、平静を装いながら社内のポスティング案件を探す。気になった案件をシステム手帳に急いで書き留め、通勤電車でコソコソと手帳を開いて考える。
目に見えぬライバルと目の前の仕事に追われながら悩み続け、ついに募集案件に応募する。

これは、十数年前に私が体験した社内転職のひとコマです。

社内転職というのは、社内公募制度(ポスティング制度)を利用して、今とは全く異なる職場や職種にチャレンジすることを指します。

以下の記事のように今では随分メジャーになったようですが、2000年代前半にもそういった制度を持つ企業はありました。ただ、社内の受け止め方は随分違ったように思います。

社内公募制度を活用した転職はこれから活発になると思っています。
この記事では私の経験談を書いてみます。


セルフ・リスキリングとしての社内転職

さて、この社内公募制度ですが、どういう意図をもって設置され、どういう作戦のもとで会社が推進しているかというのは、各社の経営事情や人事戦略により異なると思います。離職防止、エンゲージメント向上、適正配置など様々でしょう。

そうした事情は脇に置き、ひとりの従業員としてこの制度と向き合う場合は、「活用できるものは活用しよう」というスタンスで臨むのがよいと思っています。自分のキャリアにとって前向きになるのであれば、積極的に活用してみればということです。

私の場合は、好奇心と学びの場を求めて応募しました。ひとことでいうと、セルフ・リスキリングと呼べそうなアクションで、過去の記事では次のように書いています。

実をいうと、MBAやMOTなどの取得を考えたこともありましたし、資格を取ってキャリアアップしようと考えたこともありました。しかし、いつも思い悩みながら選択する道はいつもきまっていて、「興味のある仕事に飛び込んでみて、実践と独学で学びつつ武器を拾いながら進む。」というものでした。ある意味、自らリスキリングを行ってきた(セルフ・リスキリング)と言えます。そして、幸運なことにその機会がたまたま会社の中にあったということになります。

引用元: 戦略的セルフ・リスキリングのすすめ。|武田邦敬|Kunihiro TAKEDA

実践的に新しい仕事を学び、武器を増やしたいと思っている方にとって、社内転職は強力な選択肢のひとつになるでしょう。

その決断は主体的に

ひとつの原則として、社内転職で受けるインパクトは自分で引き受ける覚悟が必要です。プラス・マイナスに関わらず。これがないと、アクションを起こした後に何かしら後悔することになってしまいます。

私の場合、異動した後に想定外のことが盛りだくさんで、新人にも劣る人になって悩みに悩んだ時期もありました。この騒動については以下の記事にも書いています。

しかし、その決断自体を後悔したことはありません。自分の可能性を間違いなく広げる決断だったと思います。

シンプルにいうと、社内転職の申し込みボタンを押すときには「自分が主体的に決めて押す」というのがよいと思います。

考えるきっかけは受け身でも構わない

その一方で、社内転職を考え始めるきっかけというのは、受け身でも構わないと考えています。

きっかけが受け身ってどういうことでしょうか?

そもそも、毎日の仕事が充実し、日々成長を感じているのであれば、社内にしろ社外にしろ「転職」という言葉すら浮かばないのではないかと思います。もしくは、忙しすぎて他のことが考えられない、という場合もありますね。

こういう状況で転職に目を向けるきっかけとなるのは、往々にして何らか外からの「刺激」を受けたときではないでしょうか。たとえば…

  • 忙しくも充実していたプロジェクトが終わってしまった。

  • 急に転勤を打診された。

  • 業績評価が想定よりも低かった。あるいは高かった。

  • 将来のキャリアパスを暗示された。

  • 新しい仕事がやってきたのだが、気乗りしなかった。

  • 働きすぎて体調を崩してしまった。

  • SNSで流れてきた新しいテクノロジーに興味を持った。

  • 転職サイトから飛んできたメールが気になった。

  • 同僚や上司が転職してしまった。

私の場合、社内転職を決断した背景には、入れ込んだプロジェクトの終焉が見えてきたことと、将来のキャリアパスを暗示されたことがきっかけでした。

考えてみると、こうした刺激というのは、常日頃から起きていることかもしれません。

例えば、SNSを見ることは多くの人にとって習慣になっているでしょうし、同僚の転職というのは昔よりも一般的なイベントになっています。

それが気になるというのは、自分が暗黙的に「そろそろ変わるときかも」と思っているからではないでしょうか。その自分の声を拾い上げてキャリアを考えるきっけにすることは前向きな話だと思います。

まずは職務経歴書を書いてみよう

管理職時代に、チームメンバーや同僚からキャリアについて相談されることが多々ありました。

  • こうした仕事をしたいのだがポストはないか。

  • 実はこういう仕事をやってみたいのだけど、社内にチャンスがない。

  • 今の職場やチームでやりにくいところがある。どうしたらよいか。

  • 自分の志向性にあうキャリアを作るにはどうしたらよいか。

これらに対して、社内転職というのはひとつの解決手段になりえます。もちろん、管理職としては自組織の中で活躍していただける道を探るのが最も重要なことです。しかし、その一方で、ひとりの同僚として、よりよいキャリアを共に探ることも管理職の役割ではないかと思います。

したがって、こうした相談を受け、その上で今とは違う道を目指そうとしている同僚に向けては、前向きなアドバイスをしてきました。それは、私の初めての上司がそういう方だったからです。

もし社内転職を考えている方で、しかも初めての転職活動である場合は、周囲に相談できる人がいなくて困っているかもしれません。そんなときは、以下のようなアクションを取ってみることをおすすめしています。

  • まずは職務経歴書を書いてみる。

  • 職務経歴書を書きながら自分の強みやユニークな経験を探す。

  • 転職サイトに登録してみて、飛んでくる案件のどれにひかれるか見てみる。(応募はしない)

  • 社外の人と話してみる。

  • 興味のある分野の本やWebサイトを探して読んでみる。

  • 気になった職種やポストがあったら、疑似的に体験できないか考えてみる。

  • 今の職場でやりたいことが他にないか考えてみる。

はじめての方には、まず職務経歴書を書いてみることからおすすめしてきました。それですべてが解決できるわけではありませんが、多くの方が何かしら新しい発見をしていたのを覚えています。

まとめ

社内転職というテーマで実体験をもとに記事を書きました。社内転職はリスキリングの手段のひとつであり、主体的に活用できればよい機会にもなり得るものだと思います。


この記事が参加している募集

転職してよかったこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?