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#2【シンガポール旅行】海外の映画館で怪物に再会した編

新婚旅行に行くにあたり当初から考えていたのが、海外の映画館を体験すること。
映画好きな夫がいるからこそ、最近では映画を観るためだけに県外に行くことも増え、旅行の楽しみ方が増えたと思う。日本だけでなく、海外の映画館の雰囲気とはどんなものなんだ!と興味が湧き、行ってみることにした。

最近観た映画と映画館についても記事にしていますので、興味のある方は是非。



話は戻り、今回シンガポールで行った映画館は、『The Projector』。


シネコン大手であるGolden Villageなどが都会的なショッピングモール内にあるのに対し、『The Projector』は、東南アジアの雰囲気満点のビル(ゴールデンマイルタワー)の5階にある。
調べて知ったが、ここはかつてゴールデン・シアターという映画館があったところだそう。1973年に開館し、当時は1500席以上を擁するシンガポール最大の映画館だったが、その後閉館し、その古い劇場をリノベーションして2015年にできたのが『The Projector』だ。

歩道橋から見たゴールデンマイルタワー
エレベーターで5階に


この映画館の魅力の1つは、とにかくレトロなビルの外観からは想像できない、おしゃれで欧米風なフロアだ。壁にはグラフィティやポスターが続き、アーティスティックな雰囲気がたまらない。夫は昔のポスターを見つけては興奮していたため、映画好きな人には最高の空間だろう。
また、待合にはカフェバーがあるため、お酒なんかを飲みながら映画までの時間を楽しむ地元の人々の雰囲気も素敵で、一緒の空間にいるだけでこっちが酔いそうだった。

おしゃれなグラフィティ
ポスターが一面に貼られている
映写機
フロアの雰囲気が良すぎる!
カフェバーでコーヒーを購入
トイレに行くまでの道も派手
トイレもポスターで溢れてる!


そしてもう1つの魅力は、シンガポール随一の独立系シアターであるため、アート系作品から娯楽大作まで新旧問わずに様々な作品を鑑賞できる点だ。旅行前に調べただけでも、話題作だけではないこだわったラインナップであることがよく分かり、日本や韓国などのアジア圏の作品や、アニメなどがスケジュールに常に組み込まれていた。

そして、今回鑑賞したのは是枝裕和監督の『怪物』。日本でも一度観ていたため、2回目の鑑賞であったが、内容も把握しているからこそ違った視点で見れて、更に面白く感じた。もちろん俳優は皆凄いのだが、子供たちの演技は何度観ても感服する。

MONSTER


だが、今回気になったのはシンガポールでの反応だ。自分が作った作品でもないのに、劇場に入る時にどれくらい入ってるんだろう?とか、見所のあるシーンは笑ってくれるのか?とか、ドキドキしてしまった。
しかし、私の心配なんてどこへやら、平日夜であるにも関わらず地元の若い人たちを中心に続々と入場。さらに驚いたのが、みんな結構会話をするし、映画中に声を出して反応するのだ。関係のない映画の予告を観て、大爆笑して友人と話す。映画の中で笑えるシーンでは笑い、驚きのシーンでは漏れた声が色んな場所から聞こえてくる。映画が終わったあと、エンドロールからすぐに感想を話し始める。話している内容の詳細はわからなくても楽しんで観れたということは伝わってきて、それを周りの人と共有できることで更に楽しさが膨らんでいるようだった。
そんな日本とは違った光景が新鮮で、でもこれこそ映画の楽しみ方かもしれないと感じ、この場所で観れて本当に良かったと思えた。

そういえば、映画を観ていて気になったのは、(シンガポールならではなのか)予告に英語の字幕がついていたこと。そして、怪物にも勿論字幕はついているのだが、英語と中国語の2種類だったこと。日本にいるだけでは知ることのできない、多民族国家だからこその体験をさせてもらったように思う。

GREEN ROOM
急斜面に座席が並んでいるのも味がある


シンガポールに(日本でいう名画座やミニシアターのような)こういった場所があり続けることで、シンガポール映画の発展に必ず繋がっていくと思う。
前回の記事でも書いたが、『ILO ILO』は本当に素晴らしい作品だ。こんな世界中の人々の心に残る作品が、色んな国で生まれることが楽しみで仕方ない。


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