岩壁音楽祭2022を開催しました
9/17(土)、3年ぶり2回目となる岩壁音楽祭を開催しました。
来てくれたみなさん、アーティスト、技術チーム、近隣の方々、関わってくれたすべての方々、本当にありがとうございます。
開催当日の様子、前回からの改善点、コロナ禍でのチケットの売れ行き。
そして、初回は数百万の赤字だった収支は果たしてどうだったのか。
今回は概要を紹介していきます。
当日は最高でした
台風14号の襲来などギリギリまで天候も心配でしたが、さすがは山に囲まれた山形県。台風の影響も受けず快晴!1日中気持ちのいい天気の中で開催することができました。
当日の様子をエリアごとに超簡単に紹介します。
CAVE 洞窟のクラブ
エントランスを通ってすぐ突き当たりにあるのがCAVE。
直方体の洞窟をクラブに見立て、レーザーでストイックに演出しています。
FOOD, PIXEL, OPEN, IMONI 拡大した休憩エリア
PIXELに名前は変わったけど前回から引き続き、音から離れてゆっくりできるエリア。
FOODエリアの出店で買ってきたご飯を食べながら休んだり。
来場者がキューブや天板などのパーツを自由に組み合わせ、それぞれの形で居心地のいいスペースを作ることができます。
そして2022年からの新エリア、OPENエリア。
同じようにキューブが設置され、さらにそのキューブでエリアの象徴となるオブジェが製作されています。
ここはエントランスのすぐ外にあるので、地元の方々も一緒にくつろいでいます。
WALL 岩壁に囲まれたライブステージ
会場の一番奥、トンネルを抜けた先にあるのがWALLエリア。
今回は、PIXELやOPENにも散りばめられているキューブをモチーフに、正方形のステージを観客が囲むような空間になっています。
ライブ中はこんな感じ。観客とアーティストとの一体感が生まれ、境界線が混ざり合っていくことを意図しています。
夜はこんな感じ。もうすぐライブ映像も公開されます!
2019からの運営の改善
そもそも岩壁音楽祭はフェスのプロでもない有志の会社員や学生が運営しています。
初開催の前回は、大成功ではありましたがその裏側はトラブルの連続。
私自身、そのトラブルの対応に追われてアクトをほとんど見られませんでした。
入念なマニュアルでリベンジ
自分でやりたいフェスを作っているのにアクト見れないなんてどうかしている!
前回の反省、そして、「今回は絶対にアクトを見る」という個人的な執念から、考えうる事態をできるだけシミュレーションし、マニュアルに落とし込みました。
一番の成長はここだったと思います。
前回は何かが起きてから「どうします???」と本部にスタッフが走り込んできて、誰がどう対応するかを考え、その度に (不測の事態なので) 頭が真っ白になり、対応し…を繰り返していました。
今回は運営メンバー全員で各エリアのオペレーションをレビューし、万全の状態で開催に臨みました。
想定してない何かが起きても、対応する人が決まっているので「毎回本部に負担がかかって全体が見えなくなる」というようなことは起きませんでした。
すごく当たり前のことですが、有志だとここがあやふやになりやすくもあり、一番大切です。
おかげでアクトいっぱい見れて私も幸せでした。
(近々、個人情報を落としたマニュアルをPDF公開します)
激増した学生クルー
上のnote記事でも触れていますが、岩壁音楽祭は「フェスに行きたいけどお金がない」「フェスの裏側をみたい」という学生スタッフの協力によって成り立っています (学生クルーと呼んでます)。
学生クルーはいわゆる "フェスボランティア" ではなく、シフトの空き時間がたくさんあり、その時間はゲストとしてフェスを存分に楽しんでいます。
そんな学生クルーは、シフトの時間も超楽しそう。
学生クルーは2019年は30人ほどだったのですが、今回は約90人に激増しました。
コロナ禍でほとんど当日まで会えなかったのに、みんな自発的に、臨機応変に助けてくれました。
きっと自分が知らないだけで、無数の事案に対応してくれていたに違いない…。
みんなありがとう!
ちなみに、開催後に学生クルーにアンケートをとったところ「コロナで人と会えない学生生活で、初めての青春になった」という意見がたくさんあり、胸が熱くなりました。
帰宅ラッシュはどうだったのか
2019年の一番のトラブルが、終電を目がけて帰宅者が集中する帰宅ラッシュでした。
1時間に1本しかない在来線や、新幹線に乗りたい日帰りの人たちを、少ないシャトルバスで一気にさばかなければならず。。。正直トラウマです。
事前にやれる対策はやりきりました。
とはいえ、例えばキャパの半数が一気に押し寄せたら… 対処し切れる自信はありません。
タクシー会社の協力といえど、3社合わせて10台あるかないか。地方都市のリアルです。
20:30会場発のシャトルバスが東京行き新幹線に間に合う最終です。
【18:30】少し押して始まったOmega Sapien。大いに盛り上がり、アンコール。
【19:10】アクト終了し、転換へ。最初のラッシュが来るかと思いきや… そこまでは来ず。
一部はCAVEのtamanaramenに行ったり、そのままWALLに残って The Sacred Murmurs (ermhoi + 小林うてな) を待つ人も結構いる… やはり最終バスに集中してしまうか。
事前に打ち合わせたアナウンスをWALLステージの担当者がマイクで呼びかけます。
【19:40】The Sacred Murmurs のアクトが始まりました。そして運命の20:00台に突入。本部、エントランス、ロータリー、バス、すべてのスタッフに誘導の準備を呼びかけて全員で構えます。
………しかし、脳裏に焼き付いたあの帰宅ラッシュはいつまで経っても来ません。来るのはゆるやかな人の流れのみ。2019年に参加していない運営メンバーはみんな拍子抜けしています。
何が起きているかわからず、WALLの様子を見に行きました。
そこでは今日1日ずっとスタンディングだった観客が全員地面に座ってハープの音色に包まれていました。思わず私も着席。岩肌、地盤から直に体に伝わってくる心地いい振動。最高のアクト…。
そしてちらほら、各々のタイミングでゆっくり立ち上がり、帰路につく人々。ていうかみんな恍惚の表情すぎて全くラッシュ感がない。
なるほど、切れ目の曖昧なアンビエントは帰宅タイミングにぴったりでした。
こうして岩壁音楽祭2022の帰宅ラッシュはハープの力によって鎮められたのでした。
そして収支は…
その後も大きなトラブルもなく、岩壁音楽祭2022は無事終了しました。開催から5日たって役場の方とお話ししましたが、事故やクレームもなかったそうです。本当によかった。
さあ、収支はどうだったのか。
まずは収入の大部分を占めるチケット売り上げの推移を公開します。
コロナ第n波と重なったり、チケットの売れ行きは全く予想がつかず、今年も胃が痛かったです。が、結果、チケットは前売りで完売して万々歳でした。
また、今回はチケットシステムをzaikoに一本化したため、チケット購入者の属性も一括で見ることができました。
昨今のフェスでは比較的珍しい、来場者の約半数が25歳以下というかなり若いフェスとなりました。
岩壁として若い人に向けたフェスの場を目指していたので、この時点で開催前から大成功という気持ち。
山形の外れにある秘境に、若いエネルギーが集結する1日となりました。
トータルどうだったのか
開催終了後も撤収が続き、経費の洗い出しが終わったのはつい先日。
さて、気になる収支はというと、
黒字でした〜〜〜!!!悲願!!
岩壁2022の大きな目標は、数百万の赤字だった2019から、せめてトントンに持っていくことでした。
2019にはなかったコロナ対策、そんな中での国外アーティスト招致への初挑戦、そして、若い人に向けたフェスにすること、などなど、黒字化の逆風となるような数々のチャレンジを重ねました。
画像ではかなり計画値に近いように見えますが、実情は実績のいろんなセクションで予算オーバーしまくっています。
それでも収支を持ち直した要因として、大きかったのはドリンクでした。
幸い晴天に恵まれ、ドリンクが想定の1.5倍ほど売れてくれました。休憩できるエリアを広げたことも、間接的に売上に貢献しているようでした。
とはいえ天気は当日になってみないとわからない、再現性のないギャンブル要素です。本当にラッキーでした。
これを言っては元も子もないですが、運営メンバーの給料 (人件費) は出ていないので、事業としてみれば依然 大赤字です。
でも、岩壁音楽祭には誰ひとりとしてビジネスとして関わっていません。
行きたいフェスにチケットを買って参加するかのように、
自分たちの理想のフェスに参加するために、運営マニュアルを作り、フライヤーをデザインし、ブッキングを考え、ステージ資材を運び、行政とやりとりし、撤収・ゴミ拾いをする。
自分たちが持っているお金に限らない様々なものを出し合って、理想のフェスのチケットを買っているようなものなのです。
この活動は、内情をオープンにしていくことでどんどん仲間を増やしてきました。
岩壁音楽祭2022は開催終了しましたが、"オープンソースなフェス" としては開催後のこれからがある意味で本番です。
今後、多種多様な運営メンバーが、それぞれの目線から内情を発信していきます。
こちらのマガジンに随時まとまっていきます。お楽しみに!