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#7 運命の当日編 - 経験ゼロからフェス「岩壁音楽祭」を立ち上げるまで

5月に立ち上げたフェス「岩壁音楽祭」について、未経験者がフェスを開催することのリアルな内情を連載していきます。

いよいよ当日についてです。フェス当日の運営って何をやってるのかを紹介。さらには来年の「岩壁音楽祭2020」に向けた動きについても公開していきます。

なお、連載はすべてこちらにまとめています。“オープンソースなフェス”として連載し、来年以降も継続していきます。

当日の情景

「岩壁にはこんなパフォーマンスが合うはずだ」ってアガりながら準備をしてきていよいよ迎えた当日。
いざ実現するとやっぱり最高すぎてめちゃくちゃに感動してしまった。

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言葉を尽くす必要のない最高のパフォーマンス。
しかし自分はステージをほとんど見られていません。

これまで何回か当日の様子については触れてきて、映像や写真を交えながら「こんなことやったぞ」みたいに語ってましたが、そうした映像や写真の裏側では無数のトラブルが発生していました。

朝から晩までトラブルしかない

1日中岩場をシャトルランし続けるぐらいトラブルが頻発していて膝が壊れるかと思いました。当日の夢のような光景に興奮してアドレナリンがどばどば出てたので何とかなりましたが、次回以降はブラッシュアップしていきたい。
トラブルは挙げたらキリがないのでいくつかピックアップします。

・砂埃&熱中症対策
当日は快晴で最高だったのですが、気温が30度近くあり熱中症がかなりあぶない。加えて洞窟の中は通気性があまり良くなく、みんな踊ると砂埃が舞ってかなり空気が悪くなります。「試しに洞窟でみんなで踊ってみる」みたいな余裕のなかった運営の盲点でした。

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対策としてはジョーロでひたすら水を撒き続けていました。めちゃめちゃ原始的。まさかジョーロでひたすら水を撒き続ける人が必要とは...。「1日中ジョーロでひたすら水を撒く係」とか事前に思いつきませんよね。

・入場規制 / 退場誘導
実はライブ中は一部で入場規制を行っていました。
アーティストライブエリアの構造はこんな風になっていて、出入口が1つしかないし、奥には池がある。

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つまり、どんどん人を入れてしまうと「パンクして奥の人が池に落ちちゃう」「何かあった時 出入口で転倒など二次災害が起きる」のようなリスクがありました。これは事前に想定できていたので、出入口でカウントして一定人数に達したら入場規制を敷くことで打ち合わせ済みでした。

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また、出入口のトンネル内は坂になっていてかなり危ない。ライブ終了後は人が押しよせて将棋倒しにならないよう、少しずつ人を流していく退場誘導も行いました

・帰りのシャトルバス足りない問題
「岩壁音楽祭2019」は土曜日の開催。なので土曜はフェスを夜まで楽しんで山形に一泊、翌日日曜は板そばと山形牛でお腹を満たしたあと温泉につかりながら「岩壁、最高だったね~」とか話してみんなまったり帰るんだろうなあと考えていました。
そうでない日帰りの人が最終新幹線(21:00発)に間に合うように、タイムテーブルでは20:00以降をDJにして「残りたい人は残って踊る」という空間づくりにしていました。

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タイムテーブルと合わせてシャトルバスの時刻表を組み、19:00から定期便の時刻表を組みます。「だいたいが宿泊者で、それ以外の日帰りの人は終電を意識して20:00までに徐々に帰るだろう」という見立てです。

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この見立てが完全に甘かった。実際にはライブ終了後の20:00に帰宅者が殺到。ギリギリまで会場で楽しんでくれた数百人の観客たちが会場エントランスになだれ込み、これを整列待機させて東京行き最終の新幹線に乗り遅れないように全員を送り届けなくてはいけない
タクシー会社には事前に待機してもらうように頼んでおいたのですが、田舎なのでこの地域にはタクシーはなんと3台しかないという。
これとシャトル用のマイクロバス2台で全員をさばき切れるのか...
しかも安全面に配慮して退場誘導しながら少しずつ人を流していたため、最終新幹線に急ぐ観客の中では「全然出られないけど帰れるのか?」という焦りと混乱が広がっていました。

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結果、気合いでさばき切りました。東京行き新幹線に乗る人だけを別で待機させて優先乗車させ、最大限の効率でシャトルバスとタクシーでピストン輸送。とはいえ本当にギリギリで、間に合ったのも結果論でしかなく、運営的にかなり良くなかったなと反省しています。(「え?自分、帰れなかったんだが?」という人がいたらごめんなさい)
2020はもっとスムーズに帰れるようにします。

そしてフェスは幕を閉じ

目まぐるしい当日の夢のような時間はあっという間に過ぎて、翌日はすぐに撤去です。ステージとか眺めながらみんなで語らいたい気分ですが、レンタルしているものを早く返さないと超過料金をとられてしまうという痛すぎる現実があるのでせっせとバラしていきます。

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設営は3日も要したのに撤去は1日もかからず、嘘みたいにすぐ終わってしまう。重低音が鳴り響いていた洞窟も無音だと時が止まってしまったみたいな感覚。「まじで夢だったのか?」という気持ちに。

いや、夢ではないし音もめちゃめちゃ鳴っていたので会場近隣の方々に重ねてお礼の挨拶に伺います。22:00くらいまで音を出していたし、一番近い民家は会場の目の前。協力してくれたことへの感謝、不便をかけたことへの申し訳なさ、本当に迷惑がなかったかという心配の気持ちで当日からずっと心がいっぱいでした。余韻にひたっている場合じゃない。

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警察・消防の方からも聞きましたが、クレームは1件もなかったそうです。クレームどころか、「若い人たちでもっとこの地域を盛り上げてください」というあったかい言葉をたくさん頂きました。
「#2 最初にやったこと編」でもふれたように、10周ほど挨拶回りして皆さん好意的に考えてくれていたようです。高畠町の皆さん、本当にありがとうございました。

岩壁音楽祭のこれから

という感じで初開催の「岩壁音楽祭2019」は幕を閉じました。
最後まで読んでくれた方、嬉しいです。ありがとうございます。

この連載は、「意外とやってみるとできるよ」っていうことを伝えたくて書きました。人の背中を押すような内容にしたく、話もシンプルに編集してロジカルにまとめています。フェス運営のトリセツというよりは、こんなんでもなんとかなるんだなって思ってもらえれば本望です。

この時代、情報はいくらでも手に入るし、便利なサービスも次から次に出てくる。
でも実際に目の前の生活が面白くなるかどうかは依然として一人一人の手に委ねられていると思ってます。
そして、意外とやってみるとできます。
フェスでもなんでも、色んなチャレンジが各地に広がっていってほしい。
岩壁音楽祭メンバーにできそうなことがあれば何でも相談してください。

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そして岩壁音楽祭はこれからも続いていきます。
「岩壁音楽祭2020」の第1弾リリースは来月、年明けの1月を予定。絶賛準備中です。

「岩壁音楽祭2020」についても引き続き公開していきます。
「2019」はすべて終わってから3か月経ってやっと振り返っていますが、「2020」はオンゴーイングでそのときやっている内容とか考えていることをどんどん発信していきます。

“オープンソースなフェス”として今度はプロセスもリアルタイムで連載し、今後も継続していきます。
そして「岩壁音楽祭2020」でお待ちしてます。


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