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【読書感想】恋を知らない僕たちは

こんにちは!

『恋を知らない僕たちは』って漫画読んだことありますか?
アプリでコツコツ読み進めて、今日読み終わったのですが最高でした……!
6人の恋愛模様で、心理描写も丁寧で。
『思い、思われ、ふり、ふられ』が好きな人にはオススメできます!!

しろくまさんからそんなメールを受け取ったのは、妻と息子が散歩に出て、ココアでも淹れようかと一息ついた晩秋の昼下がりのことだった。
もちろん、『思い、思われ、ふり、ふられ』は大好きである。私はいずれ『咲坂伊緒という天才漫画家』というタイトルで大枚の記事を書きたいと思っているのだが、日々の忙しさにかまけ、あふれ出る思いに向き合うだけの時間が取れないことを言い訳にして先送りにしている。

咲坂作品の魅力を数えればキリがないが、その最大のものは「丁寧な心理描写」にあると言えるだろう。言葉を換えて言うと「すれ違いの作り方に違和感が小さい」のであって、もっとハッキリ言えば「主人公たちは鈍感(バカ)じゃない」ということである。

そうした大人をも唸らせる展開の妙は、マーガレットの旗手たる咲坂作品ゆえのクオリティなのかと思っていたら、なかなかどうして、アプリをDLし読み進めた『恋を知らない僕たちは』も、読者をグイグイと引きつけてくれる。以下、時系列に応じた感想を浚った後、総括的に感想を述べる。

ヒロインたち(汐崎泉、藤村小春、池澤瑞穂)

時系列

8-②現在

・汐崎泉
・藤村小春
・池澤瑞穂

下から順に好きです。

まだ英二の思惑が判然としないのがミステリ調になっている。
英二は、名前からして兄貴がいる?
藤村の「好きになるのに許可がいるの?」が非常に良かった。

おぉ~!!
下から順にという罠(笑)

英二の「本好き」って設定良いですよね。池澤さんはいかにも本好きそうな感じですけど、英二も本好きなのがすごい好きです。

私は小春ちゃん推しです😆

でも、分かりやすく英二→泉をミスリードしてきたけど、多分ちょっとひねって、英二→直彦とかなんだろうな

考察読むの面白いですね(笑)

11-③現在

「数学と同じではっきりしている」「はっきりさせたい性格の」池澤の矢印が確定して構成が決まったように見える。
ここまで直彦がずっと能天気なままになっているのが、ここにきてようやく英二と藤村の違和感に気づく。こいつが参戦しないと膠着状態が動かない。
泉は上っ面な感じで、転校が多いとこういう人格になりそうやなと思いつつ、闇は深そう。
藤村は池澤の言うように秘密の共有を続けるうちに英二に愛着を形成する可能性はありそう。

18-②現在

なんか過去編始まったのだが…
泉視点が埋められていく。

21-②現在

池澤がひたすらカッコいい。さすがワイの推しや。
太一が鼓舞した池澤が英二を鼓舞するにあたり、ライブの時のエピソードが使われるのは使い回し感もあるもののアツい。
きっとこうした特別なエピソードが一つでもあれば高校時代は輝きに満ちるよね。

輝きに満ちる高校時代……いいですね。部活やイベント最高ですね。

29-②現在

三党合意、からの英二告白。
おのおのがストレートな感情をぶつけ合うの、若いよね…かつ現実では小っ恥ずかしくてなかなかあり得ないので、おっさんからは二重のフィクションである。
海に来て風車が大量にあることから、舞台は東北地方?北海道だと思っていた。

私も北海道だと思ってました。
札幌あたりかなって勝手に思ってたのですが、けど確かに海にすぐ行けるって……どこなんでしょう?🤔

オロロンラインの風車沿いをツーリングしたことを懐かしく思い出したが、海水浴場併設は架空の場所かもね。
池澤が「地下鉄組」とか言ってるのでまあ札幌なのでしょう。

32-③現在

池澤は頑張ってるが、正直ノイズだな。英二と藤村が本線になってきている。ってか英二と藤村がこんなに言い合える仲になるとは。面白い。
あれ、「恋を知らない僕たち」って、英二と藤村では…?

おぉ~、かなり終盤に近づいてますね!!
同じ作者の『虹色デイズ』も読み進めているのですが、高校生活で恋愛していないので私にとってもフィクションですね……。
勉強と部活に時間を割きたかったので、恋愛に時間割いているのがフィクションだし、
3年になってから恋愛で進路に悩む描写に全く感情移入できないです(笑)

34-①現在

先生、こいつら、保健室でキスしてます!
なお、僕の頭の中の妻が「そんなことはあり得ない」と告げています。

保健室シチュエーション、漫画でよくありますけど、確かにそれは本当にあるー!?って感じしますよね(笑)
空き教室とかならありそうですけど(笑)

39話現在

良かった。
私西野カナのdarlingの歌詞が好きなので、(いつか聞いたあなたの好きな女優さんとは似ても似つかないのに私)等身大の恋を見つける物語が好ましく思える。
そしてエゴをぶつけることに尻込みする藤村に対し「楽しそうでいいじゃん」という英二のセリフも、起伏こそが愛だという(=病めるときも健やかなる時も)テーマを感じ取れる。
「なんかあっても藤村なら言ってくるだろうし」も良い。
というか英二に共感しない男はいない。あの「女の扱いに戸惑う」姿。思春期に入りいきなり"女子の扱い"に対する禁忌と義務を押し付けられ抑圧されて戸惑う童貞たちそのものの鏡像である。
甘えているようであるが、彼らを唱導する明確な規範を提示する世話役がいるととても楽だし、導かれさえすれば男たちはとても素直である。

39話、いいですよねー!!
英二が恋心に気づく~お好み焼き~小春も恋心認めるまでの一連の流れ、大好きです😊
小春が、自分の嫌な部分しか見せてないから好きになってもらえるわけないって思ってて、けどその素を見せた状態を好きになってくれたんだよ英二は! だから飾らなくていいんだよ!! 良かったね~~~🥳
それが良い恋愛だと私は思うよ!
と、私は小春に感情移入して読んでました😆
等身大の恋、いいですよね……😊

完結しました。
残りは甘甘展開を余韻として、ラストカップルでうまくまとめたね。

おぉ~! 完結しましたか!!
付き合ってからも10巻くらい続けて欲しかったです😭🥺
『ふりふら』もそうですが、恋愛を通じて変わっていく姿って本当に好きで、英二の変化も小春の変化も、尊いですほんと。続きが欲しい~~😭

総括

ヒロイン三人が並んだ画像を妻に見せて、「ワイの推しどれやと思う?」と問うと、秒で当てられた。(”あんた検定5級の問題やな。ツンデレっぽい子を選べばええんやろ”)

序盤で、英二→直彦という深読みをしているが、ごく単純に英二→泉の長期間にわたり暖められすぎて蠱毒化した恋をどのように超克するか、というのが前半(Aパート)のテーマとなっていた。

そのため、A-①英二と藤村の付き合ってるフリという関係性と、A-②池澤から英二への矢印(及びこれに随伴して太一から池澤への矢印)が導入される。

それぞれに見所があり、A-①は時系列にも書いたが、藤村の「許可が要るの?」という強固な意志と、英二からのフリの申し出を即座に判断し応諾するしたたかさが描写される。
結果的に直彦の鋼のメンタルに跳ね返されて不調になるものの、泉が早いタイミングで転入(参戦)しなければ、一定の成果を揚げるルートもあったように感じられた。

次にA-②は不憫な太一の視点を挟みながら、なぜだか自分に介入してくる無礼千万な男、英二に対して池澤が関心を持ち、やがて恋に落ちるという展開である。
この作者はしばしばキャラクターの頬を染めさせるのだが、泉や藤村のそれと違い、クールな池澤の頬が染まるのは反則的にかわいい。
そして「はっきりさせたい性格」ゆえに何事か画策している英二のことを深く知ろうとするのだが、だれも何も教えてくれないという壁を乗り越えるため、「恋をしている」という立場を認めることとなる。

そしてAパートのコーダは、文化祭における英二から泉への衝動的キスによってようやく訪れる。泉にも、直彦にも、藤村にも心配と哀れみと軽蔑の混ざった眼差しを向けられるクソダサ少年相原英二。
蠱毒化した恋を解呪するには、自尊心を真っ二つにしつつ、これまでの独り善がりを対話を通じてぶつけていくしかない。とても正しい青春プロセスである。
そして風車の見える海水浴場において雰囲気を作りながら、泉への告白を通じて、英二の恋は悲しくも爽やかに供養される。

後半(Bパート)は、B-①元カレとの痛々しい関係性を再開した藤村へと関与を強める英二から始まる。
このあとの流れを考えると藤村の方も直彦にしっかりと告白してもらい、玉砕してもらわないといけないので、このあたりの藤村は泉にも一方的に感情をぶつけ、杉くんというストーカー紛いのクラスメイトにも付きまとわれてドン底である。

そしてBー②こうした藤村との距離感を図りかねる英二に対しアプローチすることで結果的に助言しているのが池澤である。英二の新しい恋の相手、最右翼として周りから支援されつつ、「わたしももう少し頑張ってみたい」と実にけなげなのだが、英二の気持ちは決して絆されない。
ここ(33話)だけは英二に共感できないというか、いや池澤めっちゃかわいいし好きって言ってくれてるんだから多少絆されろよと思うのだが、絆されたらそれはそれで失礼とか思ってるんだな。それも分かるよ。
そして、「可愛げなんて求めているの?」とグイグイ来るなかで、池澤は英二にとって決定的に重要なキーワード「何でも言い合える関係」を導入する役回りを持つことになる。
これによって英二は藤村への気持ちに向き合うことになり、保健室の(問題の)シーンへといざなわれることとなる。
池澤推しのおじさんとしては残念至極なのだが、独立不羈に見えた彼女が、英二と並び立つのではなく、英二の輝く背中をこそ見たいと思ってしまった時点で、すでに負けヒロインになることは決まってしまっていたのだ。

野郎ども(相原英二、別所直彦、瀬波太一)

さて、ここまで『恋を知らない僕たちは』のコア主人公である英二を中心として物語の構造を分析してきたが、若干の消化不良を感じている。
それは直彦と泉の役割は何だったのか?ということである。
もちろん英二の蠱毒化した恋の客体ではあるのだが、あまりにも客体過ぎはしなかっただろうか?
Aパートでは、直彦による英二への友情が良かったものの、直彦の気持ちは戯画的な苛立ちに留まり、泉との関係性を再考するきっかけにはなり得なかった。(そのことは英二の哀れさを増幅する効果を持ちはした。)
そしてBパートに至っては、英二と藤村の気持ちを翻訳するための媒介へとまで脱落していた感がある。
すなわち物語を通じて彼らは「変化し、成長する」青春物語を一向に演じていないのである。だからラストのクリスマスでデートする云々の話を聞いていても、「あ、そういえばこいつらもデートとかするんだな」という白けた感情にならなかっただろうか。このあたりはしろくまさんと再議論して、成果があればまた追記したいと思う。

余談

この記事のタイトル、『鉄の女じゃない方の木春菊』(マーガレット・サッチャーじゃない方のマーガレット)にしようと思ったのですが、流石に意味不明なので止めました。
でも、ここに書いて供養しておきます。

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