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書きかけのノートが、私を救ってくれた

私の引き出しにはたくさんの書きかけノートがある。英語の勉強、お金の出納、人生計画、仕事の記録…。何かをはじめる時、張り切ってノートをおろすのだけれど、いつもガソリンが切れてしまうから、途中まで使われた中途半端なノートばかりがたまっていく。

まだ使えるからもったいなくて捨てられない。でも全く別の内容を書きたくはない。そんな継続できない上に頑固な自分があまり好きではなかった。

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2020年のお盆休みは、精神衛生のためにもずっと実家で過ごしている。ここ数ヶ月でぐちゃぐちゃになった頭の中をまとめたいから新しいノートをおろそう…と勉強机を漁っていたら、自己分析2と書かれたキティちゃんのノートが出てきた。就活の時に使っていたようだが、もう5年は前なので全く記憶がない。

なんだか緊張しながらページをめくると、友人や知り合いから聞いた私の長所と短所が書かれていた。「うわぁ…こんなことしてたんだ」と過去の自分に驚きながら読み進める。中学や高校の友人、バイト先の先輩など、今も付き合いのある大切な人達からの評価は10ページにも渡っていた。その後のページはまっさらだったけど。

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大体の評価は、長所が「周りへの気遣いができる」「人の気持ちや物事をよく考える」「分け隔てなく中立」、短所が「周囲の顔色を伺いすぎている」「自己評価の低さ」「のめり込むと周りが見えない」、こんなものだった。

今も事あるごとに「自信持って!」「気にしすぎだよ」と言われるので、この長所と短所はほとんど変わっていないだろう。自分がどんな人間なのか、そして自己分析に協力してくれた周りの人の暖かさを改めて思い知って、ちょっと泣いた。

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さて、最近頭の中がぐちゃぐちゃになっているのは考える時間が増えたからだ。どこにも出られない自粛の日々は、何にも打ち込めず現実を忘れさせてくれない。キャリアや働き方、人生の過ごし方について、本当にこのままで良いのかと、再考せざるを得なかった。

その中で、自分がどんな人間なのか、何をしたいのか、強みは何なのか、考えれば考えるほどに分からなくなっていた。自分でも引くほどのネガティブさと、先の見えなさが相まって、プラス思考のことがあまり頭に浮かばなくなっていた。

書きかけの自己分析2ノートは、そんな私を救ってくれた。私が考えても分からなかった強みや弱みがたっぷり書かれている。そしてこれは周囲からの評価だから、もう事実なのだ。私にも良いところはあるし、直せるかもしれない悪いところもある。

「新しいノートから始めなくても良いの、まだまだ真っ白なページがあるから、このノートの続きから考えれば良いのよ!」表紙のキティちゃんに言われているようだ。いくらノートを新しくしようとも、私たちの人生はいつだって続きからだった。

ちなみにどんなに探しても自己分析1ノートは出てこない。書き終わったから捨ててしまったのかな。そうであれば、書きかけだから5年越しにこのノートを見られたんだ。私はこの自己分析2ノートで、ぐちゃぐちゃの頭の中をまとめることに決めた。