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【独断と偏見による本の要約】『「やりがいのある仕事」という幻想』森博嗣 〜仕事をすると偉いの?〜

「ウーマンリブ」というムーブメントが起きた時代があった。
色々な法律が整備されて、女性も社会進出がしやすい世の中になった。
女性も男性と同じ土俵で、自由に就職できるようになった。

だが実は、この時代の流れにはいくつかの疑問が隠れている。

まず、この時代の流れができる前の時代は、男性が会社で働き稼ぎ、女性が主婦として家を守るという分担がされていたが、そもそも主婦というのは社会へ出ていないのだろうか?(近所付き合い、町内会、ママ友、PTA、その他諸々・・・これらは社会ではないのか?)

そして、この男女平等な社会進出というのは「男性は仕事をしているから偉い」という認識をベースにしているからこそ生まれるのではないか?

本来であれば、仕事をしていてもしていなくても、男女が対等でなければならないことに変わりはない。
それなのに女性の社会進出が強く謳われたのは「仕事が人間の価値を決めるものだ」という社会的な認識が強かったからに他ならないだろう。

仕事をしているから偉いのか?

義務教育で習う歴史の授業から始めよう。
昔は王族や貴族の方が偉く、働いている人の身分はとても低かった。
職業とは別の「階級制度」という定規で、その人が偉いか否かは生まれた時から決まっていた。
偉い人は皆働かず、遊んでばかりいられた。

ところが、数100年前からそういった特権階級の人に社会が支配されるのは良くないという思想が生まれたと同時に、産業革命も起こり、金を稼いだ一部の一般階級の人たちによる「民主主義」が生まれた。

結果的には、一般階級の人たちの下克上が叶った時に「金を稼ぐものが偉い・強い」という考え方が社会に広まったのだ。

今でもこの考え方が事実上社会を支配しており「人間は仕事で価値が決まる」という現実が出来た。

忘れてはいけないのは、この考え方は大昔からあったというよりも、むしろ最近できたぽっと出の考え方だということだ。

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