アメリカでカスタマーサービスとやりとりする際の十箇条
アメリカ生活できってもきれないのはカスタマーサービスとの電話やチャットのやり取り。やれ請求書が間違っている、やれ届いた品物が来ない、やれネットワークがつながらない、などオペミスやトラブルにあふれるアメリカ。そういう「困った事案が発生した際の第一相談窓口」がカスタマーサービスである。
これが強い味方のように見えるが、実際に問い合わせて見ると、サービス精神に欠くし、確認して折り返すと言いながら折り返しの連絡はないし、タライ回しにされる度に一から説明が求められるしで、良い思いをしたという人は少ないのではないか。とかく日本のハイタッチサービスに慣れていると、折り返しの連絡がないだけで、「ありえない!」と怒り心頭だ。
カスタマーサービスの問い合わせに、時に怒り、時に失望し、時に途方に暮れた私も、慣れてきたこともあり、必要なサポートをスムーズに得ることができるようになった。その要点を一言で言えば、短い時間の中でもカスタマーサービスの担当と良好な人間関係を築き、「今日は沢山の電話を受けてきたが、この人の助けになりたい」と思ってもらうよう、彼らのマインドシェアをとることだ。本エントリーでは、私の経験を下に、カスタマーサービスとのやり取りをスムーズにする10箇条を共有したい。
1. 感情を横に置き、問題にフォーカスする
請求金額が異なっていたり、指定日に品物が届かない時に発生する感情は怒りや失望である。別にその感情を覚えるなとは言わないが、その感情を担当者にぶつけても、多くの場合はうまくいかない。「どーなってんだ、ごるぁ!」という感情をそっと横に置き、何が問題で、その問題によりどう困っており、解決に至らないとどうなってしまうのか、という事実を整理し、きちんと説明することが大事だ。日本語訛の発音で、怒りにまかせて英語で怒鳴ったところで、何一つ好転しない。
2. 敬意をもって接する
カスタマーサービスというのは決して人気職業ではない。大体の担当者は薄給であり、一日に100件を超える電話を受け、そして怒鳴りつけられることが多い職業だ。電話口で怒鳴られまくっているうちに、お客様の問題を解決してサポートしたい、という気持ちが吹き飛んでしまった人は少くないはずだ。相手を自分の怒りやイライラをぶつけるはけ口として見るのではなく、一生懸命仕事をしている一人の人間として見て、敬意を持って接することが、相手から親身なサポートをえるための入り口だ。
3. 出だしが肝心、明くフレンドリーに接する
担当につながると大体、「Hi, this is Mike with AT&T, how can I help you today?」みたいな感じで会話がスタートをする。まずは、喧嘩腰ではなく、
と、なるべくフレンドリーに、明く言うことが大事だ。これにより、まず「あぁ、怒鳴られなくて済む」と相手のガードが下げることができる。怒りのはけ口扱いされることが多いので、始めに友好的かつ敬意を込めて接することは、短いコミュニケーションの中で良好な人間関係を築くためにはとても大事なことだ。
4. 担当者の名前を適宜会話におりまぜる
こちらから説明をし、向こうが確認や質問をし、こちらがされにそれに答えるという会話のキャッチボールを担当とするわけだが、こちらが答える際に"Mike, good point"とか、"Yes, Mike"とか、とにかく相手の名前を呼ぶことから自分の発言を始めることは、会話に友好的な雰囲気を醸し出すためには大事だ。よい担当者の受け答えをよく聞いていると、必ず一回一回こちらの名前をおりまぜているのに気付くはずだ。また、これは対応が悪かったり、急にたらい回しされたとしても、「君の名前をきちんと覚えているからね」という牽制にもなる。
5. 怒らず助けを求め、その状況に共感をえる
一番やりたいことは、怒鳴って溜飲を下げることではなく、今の問題を解決することのはず。なので、今自分がどのように困っているのかをきちんと説明し、その困った状況に共感をしてもらうことが大事だ。共感をえるのに多少の感情の吐露はあってもよいかもしれないが、怒鳴っては共感はえられない。また、
というようなことを言って、ちょいちょい彼らのサポートに感謝を示すことも大事だ。根は困った人を助けたい人たちなんだ、という相手への信頼が、共感をえて、より良いサポートを引き出す重要な鍵だ。
6. 相手が営業行為に及んだ際は受け流す
カスタマーサービスの人たちは、追加並びに特別なサービスを営業することも仕事のうちに入っていることが多い。たまに、助けを求めて電話をしているのに、そっちのけで新しいサービスの提案をされる場合がある。そういう時も「ふざけんな!問題解決が先だろう!」という感情はおいておき、
みたいな感じで受け流すことが大事だ。カスタマーサービスの人間も、多くは営業が好きではないけど、義務としてやらないといけないのだ。なので、既に案内済みであった、ということがログに残せればよいので、さらっと上記のように受け流すことが肝要だ。
7. 顧客満足度調査に協力する
顧客満足度調査のスコアというのは、カスタマーサービス部署の担当の評価としてとても大事なものだ。雲行きが怪しくなると低いスコアを避けるために、急に別担当者に回されることもあるくらいだ(腹の底からむかつくが、、、)。もし、相手の親身なサポートで無事問題が解決に至った場合は、
というように、心の底からお礼をいった上で、顧客満足度調査に協力する姿勢をみせると良い。良いサービスをすれば、心の底から感謝されるという成功体験が、カスタマーサービスの質全体の向上に繋がるはずだ。
8. 良い担当者にあたったら連絡先を聞いてしまう
カスタマーサービスは当たり外れが大きい。良好な人間関係を構築しようとベストを尽くしても、ダメな担当はまったくダメということもあるので、当たりをひいたら、連絡先を教えてもらい、直接その担当者に連絡できるように
という感じで聞いてみると良い。正直、教えてくれないケースもかなりあるが、駄目元でも聞く価値は十分にある。
9. 電話の終わり際には内容を記録する
何月何日に、どの担当と話をして、どんなフォローをすることになったのかという点を最後に記録することはとても大事だ。カスタマーサービスに電話をすると某かのフォローが必要になることが多い。が、残念ながらそのフォローがこちらの期待通りに遂行されないケースもあり、その場合は再度電話をしないといけない。なので、電話の終わり際でこちらも疲れているのだが、下記のような確認をすることは、振り出しに戻ることを避けるために非常に大事だ。
上記のような確認を終わり際にしていれば、スムーズに前回問い合わせの終わった状態に戻りやすくなる。フォローの電話のはずが、振り出しに戻って初めから説明を強いられた経験をした人は少なくないはずだ。追加の手間と不要なストレスを避けるために、面倒でもきちんと記録をとろう。そして、次の問い合わせを下記のように始めればスムーズに進むはずだ。
10. 最終手段はRetention Department
上記のような手を尽くしても、あたった相手が悪いとどうしても物事が前に進まない。これは最終手段であるが、今の担当者ではもうお手上げ状態になったら、
とお願いする手がある。この部署は文字通り顧客離れを防ぐための最後の砦であるため、熟練の手練が出てくることが多い。いつも「Retention Departmentでてこい!」だと要注意顧客リストにのってしまう恐れもあるので、これは最後の手段であることは強調しておきたい。
以上、私のアメリカ生活での経験、並びに様々な友人からもらったアドバイスに基づいて、カスタマーサービスとやりとりする際の十箇条を記載してみた。まとめとして、目次を再掲しておく。Good Luck!
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