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仕事は”動”と”静”の両方が大切であり、経営者は「孤独になる時間」が重要

運営している介護施設において新年度に入る手前で退職者が続いた。

それぞれの人生なので仕方がないが、求人募集をかけても応募はすぐに来るものではない時世において、いわゆる人手不足が続いている。

そこで私も現場入りする日数が増えている。別に現場での仕事は嫌いではないので問題ないし、これまで見えなかった現場の課題や施設職員の良い面など知れる良い機会になっている。

しかし、現場入りすることで経営や運営の仕事に支障をきたしつつあることは課題である。

実際、来客や面談の予定を組むものの、施設で体調不良や家庭の事情などで急な欠員が出ると現場入りせざるを得ない状況も結構ある。

新年度の前後は行政への申請や定期報告などの書類が色々あるし、職員の人事考課および昇給の検討、次年度の事業方針や資金繰りなど考えることも色々ある。

収支に関する数字や職員個々の評価、社内方針などの情報を現場に持ち込んで作業をするわけにはいかないし、クラウド上でデータ管理する手も試したが、現場入りしてしまえば介助や利用者との関りを優先するため仕事にならないと早々に諦めた。やはり、その環境に合わせた仕事に専念するべきなのだろう。

そのため、その日の現場対応が終わったら本部に戻ってデスクワークを行っている。自分の担当業務もそうだが、その日に発生した申し送りメモなどに目を通したり、メールに返信したりもする。

この手の雑務は翌日に持ち越さず、とっとと終わらせるのが吉だと思っているので、その日の仕事はその日のうちに片付ける。

――― と、別に大変自慢をしているわけでない。大変自慢なんて無駄だし、前向きに考えればやることがあることは良いことだと思う。

だが、人手不足とは言え現場入りする日数が増えるほどに、経営や運営などの事業の土台に係ることがおろそかになるのは本末転倒である。

そのため、現場入りしない日はガッツリとデスクワークに励む。〆切が定まっている申請書や提出書類などを片付けたり、職員のスキルアップのための研修を考えたり、現場で気づいた課題を整理したり、銀行の融資担当者や業者などと打ち合わせしたりする。

現場での仕事が「動」だとすれば、本部での仕事は「静」である。

デスクワークや関係者と打ち合わせをする日があると、介護の仕事は確かに現場中心であるが、やはり経営や運営という事業の土台を構築するための時間というのは必要だと改めて感じる。

介護現場という「動」の時間を過ごすと、どうしてもその日・その時という一時的な視点に囚われてしまいがちになる。これ自体は決して悪いことではないが、事業として視野が狭くなってしまう。

そこで「静」の時間が大切になる。事業全体を俯瞰して思考するとともに、「動」で得られた経験や課題に向き合うことで、その先の仕掛けを考える機会になる。

また、書類や事業のことだけでなく、自分自身を整理する機会にもなる。たぶん、経営者や管理職というのは、こういう「静」の時間を確保することが重要だと思う。

それは言い換えると「孤独になる」ことの重要性である。

経営者や管理職は孤独になる時間が必要だし、現場スタッフや職場内から理解されない視点で物事を見つめる機会が必要なのだ。


現場入りする機会が増えると、正直言って体力がキツいと思うことはある。

しかし、経営や運営サイドの立場として、こういう気づきが得られたことは貴重なことと言えるだろう。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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