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「指示どおり仕事をする」を考える

仕事は「指示を出す立場」と「指示を受ける立場」に分かれる。

業種によっては個々の思ったように動くスタイルもあるが、基本的には上司から部下へ指示を出して、部下は上司の指示を受けて仕事をする。

それに対して部下は上司の指示をカタチにする。この積み重ねにより事業目的を達成しようとするのが仕事の全体像だ。

しかし、上司の指示があっても成果というカタチが出ないこともある。
それは上司からの指示が機能しなかったからだ。

このような場合にありがちなのは、上司が部下に「どうして指示どおりに仕事をしなかった!」「指示どおりに仕事をしろ!」と怒鳴ることだ。

ここには4つの視点がある。

① 部下はスキル不足から指示どおりの仕事ができなかった

② 部下は上司の指示の意図を正確に汲み取れなかった

③ 部下が上司の指示を無視して独断で仕事をした

④ 単純に上司の指示が悪い


これらを眺めると、どれも共感いただけると思う。職場にはいずれかの人が必ず1人はいるだろう。

但し、これらは課題と対策が明確である。




まず、「① 部下はスキル不足から指示どおりの仕事ができなかった」は、上司が部下のスキルを正確に把握できていないことに問題がある。挑戦させたという言い方もあるだろうが、指示を出すということは相手がそれを実行可能なスキルを有していることが前提である。

そのため、それが実現不能にならないようにスキル修得をさせることが最優先である。「自分で調べて」「見て覚えて」という上司もいるかもしれないが、それが容易にできるほど現代はシンプルな社会ではない。せめて学習のポイントや指示を果たせるためのヒントくらいは、与えるべきである。

次に「② 部下は上司の指示の意図を正確に汲み取れなかった」は、これは部下が悪いように見えるが、どちらかと言えば上司と部下のコミュニケーション不足あるいは刷り合わせ不足の話である。
上司は「この指示で伝わったろう」と思っても、一方で部下が「たぶんこういうことを期待されているのだろう」ということをお互いに確認し合うことを省略してしまったからこそ起こる。

そのため、もっとお互いの指示のイメージを共通化できるように、具体的に話し合うしかない。完全な共通化は不可能であるが、詰めたコミュニケーションは必要だ。
「上司に話しかけにくい」「部下が何を考えているか分からない」という悩みを言うかもしれないが、本質的にコミュニケーションがとりにくいということは理由にならない。むしろ、不明点を話し合うというコミュニケーションを重ねるのが適切である。




「③ 部下が上司の指示を無視して独断で仕事をした」は問題である。

上司から指示を受けたのに「自分はこうしたほうが良いと思う」として、指示とは全くかけ離れたことをする人がいる。

それは承認欲求なのか自己表現なのか分からないが、指示をまったく受け付けないまま自分なりの成果を出してくる。

これは教育やコミュニケーションの話ではない。指示を受けた当人の問題だ。別に「言うことを聞いていればいい」と言うつもりはないが、それなりの思惑が何であれ、仕事で指示が出たならばその通りに遂行するのがプロである。

もしも指示に応じない・応じたくないならば、それは組織から出て行ったほうが良いと思う。仕事を組織やチームで遂行している場合、指示どおりに動かないというのは弊害しかない。

自分の思った通りに仕事がしたいならば、フリーランスや起業することを推奨する。




最後に「④ 単純に上司の指示が悪い」は、指示をすることが多い立場として耳が痛い。また、指示どおりの仕事を遂行しなかった要因を探ると、確かに伝え方が悪かったと反省することはある。

しかし、弁明させていただくと「指示を出す」というのは非常に難しい。

それはスタッフ1人1人の理解度やスキル、キャリアなどに合わせて伝え方を変える必要があるからだ。そうしないと、同じ作業指示書を見たとしても三者三葉の解釈をしかなねない。

それぞれが違った解釈で仕事を行うと、当然ながら求める成果は指示と異なるものになってしまう。だからこそ、指示を出す際には非常に注意を払い神経質になってしまうこともある。

また、指示の出し方や成果によっては「あいつの指示が悪いせいだ」と言われてしまうこともあるだろう。このような陰口に対して指示を出す立場がストレスを溜めて、結果として指示する立場を辞めるということもある。

「指示ならば誰でも出せる」と思っている方もいるかもしれないが、指示を出すということは責任を負うことである。好き勝手に「こうすればいいじゃん」と言う人がいるが、それは指示ではなく無責任な発言だと思ったほうがいい。




――― 「指示どおり仕事をする」とうのは難しい。

それは指示を出す側も指示を受ける側も同様である。

また、本記事では4つの理由をお伝えしたが、これらはその都度複合的に絡み合っているため、どれが要因とも言い難いことが多い。

そのため、指示がうまく機能しなかったときは「誰が悪い」というよりも、とっとと指示を出し直しするのが適切かつ効率的である。

誰もが指示なんて出すのが面倒、指示を受けるのは不自由、などと思うかもしれないが、総合的に見れば指示は必要だと思う。

となると後は、いかに指示を適切に取り扱うかという話になるのだろう。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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