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緊急時、まずは「周囲に助けを求める」ことを基本としよう

■ 救命・応急処理のスキルの必要性


高齢者は肉体や認知力の低下から、急に転んで怪我をしたり、喉詰まりやむせ込みしたり、あるいは何の前触れもなく心停止ということもある。
介護職としては、このような事態を想定して住まいの環境整備に努めたり、平時から医療連携をするなどして事故を未然に防ぐ対策を講じている。

一方、一時的な措置として救命・応急処理に関するスキルを身に付けておくことも重要だ。
介護事業所や施設によっては、定期研修に取り入れたり、外部研修で修得する機会もあるだろう。

私の事業所でも、ペットボトルを活用した心臓マッサージのトレーニングを行うこともある。
ご興味のある方は「CRP ペットボトル トレーニング」で検索すれば出ると思うが、介護職の方々は座学で飽きる人が多いが、体を動かす研修なので楽しそうに取り組んでもらえる。

また、地域の救命講座に参加した介護職員の中には、実際に施設利用者が喉詰まりをした際、その講座を思い出して、対象者の背中から両腕を差し込み、握りこぶしでみぞおち周辺を圧迫する対処をした。
(現在もこの対処が有効なのかは別として、利用者は無事だった)

ひとまず救命・応急に関するスキル修得、およびトレーニングの機会はあっても損はないだろう。


■ 一人で何とかしようとする人たち


さて、このような救命スキルの研修を行うときや、ひやりはっと・事故等の状況報告を受けるたびに思うことがある。

それは、緊急事態の発生時、その場にいた介護者が「周囲に助けを求める」ということを忘れていることだ。

これは心臓マッサージのトレーニング時に顕著に見られるが、倒れている人を見かけて、「大丈夫ですか!?」と声をかけるところまでは良いものの、そのまま心臓マッサージを始める人は意外に少なくない。

事前に模範例を見せたり、周囲に人がいるという想定を伝えるも、いざ実技となると「救急車を呼んでもらう」「AEDを持ってきてもらう」という協力をすっ飛ばして、いきなり心臓マッサージに移ってしまうのだ。

これは救命の講座を何度か受けている人や緊急事態を経験した人にありがちで、自分が対応できるスキルや経験があるゆえに、自分だけで何度かしようとしてしまうのだ。

また、自分が直接行う手技に頭がいき過ぎているということも原因としてあるだろう。

もちろん、こういうことに気づいて修正していくことも研修やトレーニングの意義であるが、一人で何とかしようとすることは誰しもあるし、それは緊急時だけでなく日常でもよく見かける現象である。


■ まずは「周囲に助けを求める」のが基本


さて、緊急時における対応において、第一にすべきことは・・・

「周囲に助けを求めること」


・・・と念頭においていただきたい。
もちろん、これはケースバイケースであるが、基本的な考えとして覚えておいて損はないはずだ。

介護の仕事で言えば、確かに高齢者への介助はほぼマンツーマンであるが、多くの状況は外に出れば誰かいるし、介護施設においても他に職員がいる。スマホのアプリを活用して誰かと容易につながることはできる。

事態に対して直接対応することも大切だが、その前に「誰かを呼ぶ」「手伝ってもらう」「状況を伝える」「指示を仰ぐ」などの過程を入れることが重要である。

助けを求めて支援者が駆け付けることで、不安という孤独感を軽減することができる。また、仮に電話で状況を伝えるだけでも、他人に事態を説明するだけで冷静になれるという効果もある。

つまり、「周囲に助けを求める」という行動だけで、緊急時対応の効果を上げることができるのだ。


――― では、なぜ「周囲に助けを求める」をしない人がいるのか? 
それは緊急事態に限らず見受けられるわけだが、そのテーマについては長くなるので別な機会に投稿しようと思う。
また、その際には「周囲への助けの求め方」もお伝えできればと思う。

ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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