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【読書メモ】経済政策で人は死ぬか?

少し前にAfter COVID-19の世界というイベントが開催されました。

その中で西内さんが推薦していた以下の書籍を読みました。

タイトルが疑問形になっていますが、その答えはまさに死ぬということ、そうならないように国がどういう選択をするべきなのかを、各国の統計データを基に紐解いていきます。

ざっくりまとめ

・未曾有の経済危機に陥ろうとも、政府が正しい経済政策を選択すれば、国民の命と健康は守られる
・緊縮財政の道を選択(特に医療支出削減)した国はほとんどが悲惨な結果を招いている
・医療の世界では市場原理はうまく働かない(さかさま医療ケアの法則)
・積極的労働市場政策(ALMP)は鬱や自殺、失業率を下げる効果がある
・本当に考えなければいけないのは経済成長率ではなく、持続的な人間的回復である

読書メモ

GNPでは子供たちの健全な発育の促し、教育の質、遊びの楽しさを知ることはできない。詩の美しさも、結婚の絆の深さも、討論会で披露される知性も、公務員の誠実さも含まれていません。わたしたちの機知も、勇気も、知恵も、学識も、思いやりも、国への忠誠心も勘定には入っていません。要するにGNPという数字には全てが含まれているようでありながら、実は人生の価値を高めるものは含まれていないのです。

by ロバート・ケネディ

同じような金融危機に陥ったアイスランドとギリシャでIMFの提案を受け入れたかどうかで、危機を克服できたかどうかが完全に分かれてしまった。

結果的に、IMFが提案した緊縮策をはねのけたアイスランドは克服して、ギリシャではその後健康状態の悪化、公衆衛生危機、財政危機などに陥いることになり、IMFもついに失敗だったと認めざる得ない状況になってしまった。特にギリシャの章は、悲惨な状況が鮮明にかかれているのでかなり衝撃を受けた。

医療制度は市場原理によってとても非効率なものになってしまう。これは医療を受ける必要がある状況になることの予測の難しさと、思いの外高額になってしまう2つの点と、民間の保険会社の利益を上げることが矛盾しているためである。必要としている人が医療を受けられず、必要のない人ほど医療を受けやすくなるさかさま医療ケアの法則と呼ぶ状況が発生してしまう。

積極的労働市場政策(ALMP)は、不況のときにも効果がある。失業手当などの消極的労働市場政策では鬱や自殺のリスクを下げることはできない。家や仕事があるということが、人が生きる上でとても重要な要素であることを改めて実感した。

不況下での政策決定はどうあるべきか?

1.有害な方法はとらない
2.人々を職場に戻す
3.公衆衛生に投資する

経済を立て直すときに何が本当に回復が必要なものなのかをよく見失ってしまう。本当の回復が必要なのは経済成長率ではなく、持続的な人間的な回復である。


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