見出し画像

「世界ではじめてクリスマス」生徒さんと一緒に作った布絵本。

画像1

10年前にはじめてカルチャーセンターで「手縫いで作る布絵本教室」をはじめたとき「クリスマスの物語の布絵本が作りたいんです」と教室に尋ねて来られた生徒さんがいた。みどりさんというお名前のその方は、緑色のアクセサリーやお洋服やバックをとてもおしゃれに身につけた装いの、とても穏やかな方だ。いつも「出来の悪い生徒で、せんせー、ごめんなさいね」と鈴のような声で少し申し訳なさそうな笑顔でおっしゃる。そして今でもゆっくり布絵本を作り続けてくださっている。

このカルチャーセンターでは、3ヶ月に一冊の布絵本を作るというスタンスで進めている。全て私が考えた布絵本で、おもに拙著『ママの手作り布絵本』に載せている作品を作ってもらっているんだけど、たまに生徒さんのリクエストを聞くことがある。(「99 掛け算布絵本」も作った!)

4月に教室にいらっしゃってから、2作縫ってもらったところで、では、そろそろ作ってみますか?とみどりさんに言ってみた。

「私はクリスチャンではないので、いい加減な布絵本は作りたくないんです。ご協力いただけますか?」

布の厚さなど考えて、4枚、8ページの構成になる。表紙と裏表紙を除くと、お話の展開は6枚で進めていかなくてはならない。そこでみどりさんに各ページのコンセプトと、どのような絵にしたらいいか考えてもらうことにした。2人のお嬢さんがいらして、一緒にご相談されながら、6枚のページに入れる文字を決めてくださった。

1ページ「マリアへのおつげ」

2ページ「マリアとヨゼフのたび」

3ページ「ベツレヘムのまちのやどや」

4ページ「てんしとひつじかい」

5ページ「さんにんのはかせ」

6ページ「うまやのおたんじょう」

1ページには天使がマリアに百合の花を渡せるようにできます?

3ページの天使は星から外せるようにしましょうか。他のページでも天使が見守ってる感じにできますものね。

5ページの3人の博士も外せるようにして、6ページの馬小屋のところにかけるけるようにできますか?
星もはずせて流れるようにしましょう。

アドバイスをお聞きしたり、提案したり、私なりに色々調べながらデザインを考えていく。構図など下書きの段階でチェックしてもらって、OKが出たらトレースして、パソコンで型紙を作る。布を合わせるのが大変で、3人の博士の装いがどんな布を使ったらいいか一番苦労した。

そしてなんとかその年の12月に「世界ではじめてのクリスマス」の布絵本が完成したのだ。デザインが私で、監修が生徒さんご一家。

画像4

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

この布絵本は教会で大活躍していて、教会のお友達もみんなとても褒めてくださっているんです、とみどりさんがとても嬉しそうに教えてくれた。

そしてその後何人もの生徒さんが、この布絵本を縫っている。

今は亡き叔母も作ってくれた。本当はその布絵本を形見として欲しかったんだけど、一緒にお棺に入れて、叔母と共に天に召された。でも見送ってくださった方々に見てもらえて、そして褒めてもらえて、それでよかったのかもしれないね、とみんなで話した。

よろしければサポートを願いします!サポートは、手作りを広める活動に使わせていただきます!