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音声ガイドの美保さんを首からさげて、近江八幡でアートの旅を!

はじめに

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                                                                           photo by 有佐祐樹

ボーダレスアートミュージアムNO-MA企画、2019年9月21日から11月24日まで開催された「ちかくのたび」で、音声ガイドとして活躍した美保さん人形。このお人形が作品の説明をしてくれる。ん?とういうこと?そう思われた方は、どうぞ最後までお付き合いを。

去年この美保さん人形をひとりで20体作った。

そして今年は「ちかくのまち」という名前に変わって、9月19日から11月23日まで、再び美保さんがガイドしてくれる。

「ちかくのまち」って?

知覚にあるこのまちで、アートとであう。
「ちかくまち」は、近江八幡という町を舞台に、アーティストやサポーター、地域の方々などが参加し、みんなで作る芸術祭です。私たちの“知覚“を刺激してくれるアートや出来事との出会いが待っています。
歴史情緒残る旧市街地や、琵琶湖の内湖である西の湖のほとりに、10組のアーティストたちの作品を展示します。視覚に障害がある人の鑑賞サポートするツールを用意するほか、作品を深く味わうための関連イベントを実施します。
アート、福祉、地域がボーダレスに関わり合って成り立つ本芸術祭。決して遠くなく、あなたの近くにあるーー。 
                          ボーダレスアートミュージアムNO-MA   HPより


美保さん人形って?

この企画の出展アーティストの一人である、平野智之さんの作品の主人公として登場するキャラクターのひとり。それをぬいぐるみにした。
美保さんの体の中には、機械が入っていて、靴の裏をQRコードに当てると、イヤフォンから、作品の説明が流れる仕組みになっている。
アートは近江八幡の町中の数カ所に展示されていて、入場者は首から美保さんをぶらさげながら、近江八幡の町を歩くのだ。
去年私は美保さんと一緒に八幡山のロープウェイにも乗った。その時の写真を自己紹介のページに載せている。

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                                                              photo by 有佐祐樹

制作奮闘記

なんて美保さんは魅力的なんだろう!このお人形をみんな首からさげて、近江八幡の町を歩く、そして作品を彼女が解説してくれる、なんて楽しい企画なんだろう!ぬいぐるみが音声ガイドをしてくれるのは、多分今までにない企画なのではないか?

20体という数もさることながら、大変な仕事になるな、とは覚悟していた。でもどうしても私は美保さんを作りたかった。

試作として、機械を入れない状態で、二次元美保さんを三次元のぬいぐるみにした。まずはその作品が作者である平野さんが納得いくものでなくては、この企画は始まらない。平野さんが打ち合わせにいらした時、私は実家に帰省していた。担当から「すごく気に入ってくれてます。試作をプレゼントしてもいいですか?」という電話をもらった。もちろん即答OK。この上ない喜びだ。

実は大変なのは、次のステップだった。システムの機械は株式会社電気蜻蛉が担当された。私は渡された機械が美保さんのフォルムを保ちながら、重さに耐えうる作品に作り上げなければならない。数カ所ある展示会場を回りながら聴けるようにバッテリーをもたせるためには、ある程度の機械の大きさと厚みになってしまう。手元に届いた機械は、5cm角で厚さ3cm。そしてそれにQRコードを読み取る細長い機械が接続されている。担当から言われていたのが、「あくまで美保さんガイドは人なんです。機械的なものが見えないようにして欲しい」つまり、接続コードが見えるのはNG。

体に四角い機械を入れるとして、読み取りの機械はどこに入れる?平野さんが描いた物語の中で、美保さんの履いている「尖った靴」は象徴的なものらしく、靴の中に入れられないか?という提案をもらった。そして、もう一つ大事なのは、機械を取り出して洗えること。何しろ美保さんは布でできているから、秋といっても長い時間首からぶら下げて町を歩くと、汗やホコリで汚れてしまう。

靴に読み取りの機会が入るように、そしてそのコードが見えなようにカバーをして、なんとか一作目を作った。

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その後に判明したのが、バッテリーの機械が聞いていたのより1cm厚くなっていたのだ。体に入れる部分の作り直し。そして布が伸びる素材だったので、機械の重さで首が伸びてしまうのだ。これも対策を考えなくては。開催日が迫っている。これを20体!それもどれも平野さんが納得いく、綺麗な美保さんに仕上げなければ!

そしてもう一つ不安が生まれた。2ヶ月間、近江八幡の町を、美保さんは首からぶらさがって案内するんだよね?雨の日は?
レインコートを作った。もちろん20着。

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                      photo by 有佐祐樹

こうして開催日3日前に、20体の美保さんガイド人形を作り上げることができて、無事納品した。間に合うか不安で寝れない日もあったし、焦ってミシンの針が爪に刺さったこともあった。その頑張りの底力になってくれたのは、美保さんの生みの親である平野さんが、このお人形を本当に気に入ってくださったということがとても大きかった。

美保さんの生みの親である平野智之さんが「ちかくのたび」に来られた時のブログ

去年、平野さんが展示を見にこられたのは10月の後半だった。後日その様子が平野さんが所属されてるクラフト工房LaManoさんのブログに載ってますよという報告を受けて、ブログを拝見した。

平野さんの横にはいつも美保さんが写っていた。いつも大切にそばに置いてくれていた。私は嬉しくて、泣いてしまった。頑張って作って良かったと、心から思った。

この秋は、近江八幡でアートの旅を!

展示内容を説明しようかと思ったけれど、それは最初にリンクしてあるボーダレスアートミュージアムNO-MAのHPで。一味違ったアートが楽しめることは去年体験して心からお勧めできる。音声ガイドの美保さんに会いにきてくださることもさることながら、展示自体が素晴らしい!もちろん展示の中に、美保さんも登場する。

そして近江八幡は、ヴォーリズの趣のある建物が点在する、とても落ち着いた私も大好きな町並みだ。京都からJRの電車で40分。

動きにくいご時世だけど、ソーシャルディスタンスもちゃんととれて、ゆとりある時間が生まれると思う。

*このイベントは11月23日に終了しました。

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