スーファミ世代から見たJRPG史(第1回:ドラゴンクエスト編)
まえがき
3月ごろから始まったステイホーム期間中にはたくさんのゲームを遊びました。RPG(アクションRPGなども含む)に限っても
・『ドラゴンクエスト11S』(Switch)
・『ゼルダの伝説 Breath of the Wild』(Switch)
・『オクトパストラベラー』(Steam)
をプレイし、ここ2〜3年の積みゲーはかなり消化されました。
そこで、果たして自分はどれくらいの数のゲームタイトルを遊んでいるのだろうとふと思い、プレイ済みのRPGを棚卸しする目的も兼ねて、これまで遊んだ各RPGのシリーズを振り返ってみることにしました。レビューというよりは、発売されたときの世の中の反応ですとか他のタイトルとの歴史的なつながりを中心に書こうと思います。
第1回は、ドラゴンクエストシリーズについて書こうと思います。まずこのシリーズを書かないと他のシリーズを語れないほど、いわゆるJRPGの定義を良くも悪くも決定づけてしまったタイトルだと思うので。
僕は80年代前半生まれで、FC末期〜SFC世代と言えます。マリオ3はほぼリアルタイムに遊びましたが、さすがに小学校低学年にRPGは難しく、まともに遊んでいる風景としては、ドラクエ5やFF5くらいが最も古い思い出です。ですのでドラクエ1〜4はリアルタイムにあまりプレイしておらず、クリアしたのは大学生のときです。
リメイクや移植版を入れて良いならばほぼ全作プレイしていますが、10だけはMMORPGという敷居の高さ(偏見)を感じてプレイしていません。
ドラゴンクエスト (1986)
第1作からこの完成度は、週刊少年ジャンプのバックアップがあったとはいえ、とんでもないことだと思います。堀井雄二(ゲームデザイン&シナリオ)、鳥山明(キャラクターデザイン)、すぎやまこういち(音楽)の御三家が、現在まで30年以上主要スタッフとして活躍していることもゲーム業界では空前絶後でしょう。
ウルティマとウィザードリィから着想されたそうですが、堀井さんの日本向けアレンジが素晴らしいのだと思います。ラーメンを中国から輸入するかの如く。
こうして、RPGといえば「ドラクエみたいなゲーム」というJRPGのデファクトスタンダードが早くも確立してしまったとさ。
ドラゴンクエストII 悪霊の神々 (1987)
難しい・ロンダルキア・洞窟を抜けるとそこはザラキだったと、高難易度で知られますが僕は好きです。難しいから好きなのではなく、ロトの血を引く者たちのパーティの役割がはっきりしているのが好み。
サマルが弱いとよく言われるけれど、呪文をまったく使えない脳筋戦士のローレシアも大概だと思います。
Iが出て8ヶ月でIIが出ているのは、いまの時代から考えるとすごい。
ドラゴンクエストIII そして伝説へ… (1988)
ウィザードリィ的なキャラメイクシステムを導入して、JRPGの基本形がほぼ完成。勇者・戦士・僧侶・魔法使いのいわゆる「ゆせそま」の黄金パーティもここで確立。乱暴に言うと、RPG的には、4以降のドラクエはシステム上の大きな変化はしなくなります。
僕にとってはSFCのリメイク版もなじみ深いです。思い出補正ではなく現代で出しても通用するほど良いリメイクだと思います。
おそらくシリーズで一番人気なので、後のドラクエシリーズ自体もかなり3に引きずられている部分があると思います。
ドラゴンクエストIV 導かれし者たち (1990)
ドラクエ4になってようやくリアルタイムに友達の家でプレイした憶えがあります。しかしライアンの第1章以降はよく知らず……。
それでも、(主に夏休みに)ダイの大冒険のアニメをみる機会があったり、友達とドラクエごっこと称して戦士や魔法使いを演じる機会があった記憶があるので、ドラゴンクエストは小さい子供たちの中でもかなり人口に膾炙していたのでしょう。
ドラクエ4に特徴的な章ごとのオムニバス形式は、後の『ライブ・ア・ライブ』『サガ フロンティア』などでも見られますが、割と変化球なイメージがあるので、このような王道タイトルでは珍しいかもしれません。
ドラゴンクエストV 天空の花嫁 (1992)
親子三代にわたる大河ドラマ、結婚イベント、仲間モンスターと、魅力的な要素がたくさんで、ドラクエ3に次ぐ人気、もしかしたらそれ以上かもしれません。
仲間モンスターも、『女神転生』のような前例はあるのでこの作品が元祖というわけではないのですが、堀井さんのドラクエ向きの味付けが絶妙なんですよね。当時の僕も、女神転生自体は知っていましたが大人向きのゲームという印象だったので。
ドラゴンクエストVI 幻の大地 (1995)
不遇の作品という印象があります。まず出た時期がSFC末期と少し遅かったのと、それまでにFF5、FF6が出ていてFFの勢いが凄まじかったので、少し影が薄いイメージです。ドラクエ5より数字上は売れているのですが、そういう気はしません。
チュンソフトが製作に参加しなくなったせいか、少し手触りが違う感じもします。もちろん完成度は高くグラフィックは大幅に進化してはいますが。
ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち (2000)
これまた不遇の作品だと思います。まず出た時期がPS末期と少し遅かったのと、それまでにFF7、FF8が出ていて(以下略)。
JRPGは、2000年前後が最も1周クリアまでに掛かる時間が多い時期で、この作品も例に漏れずかなりの数の石版集めが必要になります。
街ごとに個別のシナリオがあって、それぞれは相互にあまり関連しないという、ドラゴンクエストシリーズのストーリー傾向が最も色濃く反映された作品だと思います。そして割合暗い話が多いことも。
ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君 (2004)
ドラクエ11が出るまでは、8が2000年以降の最高傑作と言われることが多かったように思います。現代のRPGのお手本になるようなグラフィックで、開発したレベルファイブの技術力の高さが大きかったのだと思います。
上の表を見ると分かる通り、僕は6〜8をあまり評価しておらず、どれもあいにく発売から少し経ってからプレイしたのでグラフィック的に見劣りしてしまったのと、強力な特技に対して呪文が冷遇されていたんですよね、この時期は。魔法使いというジョブが好きな僕にとってこれは痛い。
ドラゴンクエストIX 星空の守り人 (2009)
最も売れたドラゴンクエストですが叩かれることも多いという、不遇のタイトル。サンディがガングロギャルでドラクエの中世ファンタジーの世界観がーとか言われますが、そもそもドラクエ2のパスワード曲はアイドルソングのタイアップですし、装備品はあぶない水着ですから。
リアルタイムでプレイしないと体験が難しい、オンラインやすれ違い通信の面白さも再評価を難しくしている原因になっていますね。対面で4人で集まっての協力プレイはまさにドラクエごっこで、ほかのゲームでは得られない貴重な体験でした。
現行機でのオンライン対応版のリメイクが望まれますが、相当手を入れないと難しいでしょう。
ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて (2017)
PS4と3DSのまったく違うハードで2本作ってしまったという恐ろしいタイトル。これが商業的に可能なJRPGはドラクエとポケモンくらいだと思います。ドラクエは、そのとき最も普及しているゲームハードで出るという法則があるので、今回もそれは踏襲されました。
僕がプレイしたのはSwitchのドラクエ11Sで、これは僕にとっては文句なしにドラクエ史上最高傑作。もちろんグラフィックやストーリーはPS4版に引き続き高水準。オーケストラ音源も追加されてサウンドも死角なし。
さらに、これまで、ドラクエは完成度高くて万人向けだよねという印象だったのですが、Switch版で追加された「すべての敵が強い」縛りが絶妙なバランス。アトラスのRPGかな?という具合に死ぬので、スカラなどの補助魔法が必須。パーティがこのままでは持たないのでラリホーで一発逆転立て直しを図るしかないとか、そういうやっかいな局面はドラクエ2でもなかった気がします。
いまプレイするなら?
文句なしにドラクエ11(できればSwitch版の11S)の一択だと思います。これまでのシリーズの総決算的なところはありますが、未プレイでも問題ないと思います。
それ以外の選択肢となると、つまり現行機を持っていない人向けということになるので、スマホで出ているほかの作品でしょうか。僕の好みは4ですが、どれも完成度高いので、キャラの絵が気に入ったものを買うのでも良いと思います。
ここから先は
¥ 100
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?