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服装のスタンス

この猛暑なので、仕事で出かけるとき以外の外出時は、基本的にTシャツと短パンでほっつき歩いている。
ちなみに、35歳である。服装だけなら、でっかい子どもだ。

会社勤めをしていた頃、会社でもTシャツと短パンでいることが許されるときがあった。
出版社かつ雑誌編集部に配属されていたので、校了がキツくなってきて会社に泊まった翌日は、昼間に近くの銭湯に行き、Tシャツと短パンになってそのまま夜の校了作業にとりかかる、ということが度々あった。
まだ喫煙者だったので、夜も深まって会社にあまり人もいなくなった時間帯、喫煙室で一服していたら、おしゃれなスーツとネクタイ&革靴でビシッと決めた別部署の先輩編集者が、自分をチラッと見て笑った。
「君、30代になってもその格好をしていたら、尊敬するよ」

35歳になった。既に会社を辞めて独立しているが、それにしたって、延々とTシャツと短パン姿で、腹をボリボリかきながらうろついている。
あの人は、尊敬してくれるだろうか。くれないに違いない。

(文)

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「この頃、カオリが身の回りを構わなくなったオバサンの世界に入っているような気がして、まだ、おしゃれも忘れない女性でいて欲しくて、Cャネル香水を。」と、先日の誕生日に送られてきた母からの荷物の中に、Cャネルの香水が入っていた。

私は香水より、同梱されていたお煎餅やスルメイカの方が嬉しかったりする人間になってしまった。(母よ、ごめんね。)

母が心配している通り、最近の私の服装は着飾るより、実用的なリラックスかつ動きやすいものに偏っている。20代の頃はスキニーパンツも、一番高くて9センチのヒールも履いていたけど、結婚してからはコンタクトレンズもやめ、もっぱらスニーカー&大容量のリュックである。
目には負担がかからないし、歩いても疲れないし(疲れるけど)、手持ちの物が増えたら仕舞えば良い。利便性に尽きる。
ワンピースや、オーバーサイズのTシャツは、締め付け感がなくて最高である。体の緩みも隠せる…いや、意識しないでいられる、という方が私には正しいかもしれない。

先日にあった展示の搬出の際、年下の作家の友だちがいつもと違う雰囲気のスカートで来ていたので、「今日かわいいね」と言うと、彼女は「(搬出前に)彼と会ってたんです…//////」と照れくさそうに答えた。(かわいい)

その気持ちが、とても尊いと思った。

(カ)

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