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幅広い教養と深い専門知識、そして理系心をくすぐる楽しさ! #私を構成する5つのマンガ

#私を構成する5つのマンガ 」という企画に参加します。

けんすうさんはずいぶん昔から存じ上げているので、マンガサービス「アル」のことも知っていました。

今回、企画応募のために初めて利用してみましたが、好きな作品でタイトル画像が作れて、コマ画像の共有もできるなんてステキすぎる!
サイトをざっと巡ってみたところ数えきれないほどの作品が紹介されていて、現実世界に戻って来られなくなるような危うさすら感じます(笑)。

お題に関連してタイトルに挙げた5作品を、自身の受けた印象をもとに紹介していきます。
順番は付けられないので、初版発行順としました。

MASTERキートン 1988年

知識と知恵のつまった超有名シリーズです。
実家に一通り揃っていて、本がボロボロになるまで読んで育ちました。実家を出てから自分でも一式買いそろえて今でも繰り返し読む名作です。こんなに古い作品だったんですね。

主人公の平賀・キートン・太一は考古学者、軍隊出身(Master)、保険調査員(オプ)という主に3つの顔を持っています。それぞれの知識、経験をもって日本とイギリスを拠点に世界を渡る活躍が本当に幅広い!

基本的に1話完結で、主役キートンのほか、動物学者で酒と女性に弱い父親、聡明でしっかり者の娘、仕事仲間や学友などが物語の軸となって話が進みます。
人並外れたエキスパートながらどこか抜けてて人間味があり、親近感が湧く愛すべきキャラクターが大きな魅力です。
それぞれの話に登場する人物も出来事も、興奮したり共感したり考えさせられたりして飽きることがありません。

好きな話は山ほどあって選びきれないのですが、12巻収録の「靴とバイオリン」は老人と少女の交流を描いた名作です。キートンが端役ながら良い絡み方をしていて、物語の構成もとても好きです。

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いつかまた、あの美味しいフィッシュ&チップスを食べに行ける日を夢見つつ。

攻殻機動隊 1991年

士郎正宗氏による近未来サイバー作品!

大学時代、理系学部の学生の部屋にはだいたい置いてありました。
電脳化による情報戦とサイボーグ化の過激で緻密な作戦の数々、興奮せずにはいられません。
作品内で書ききれない設定が枠外に細かい文字でびっしり書き込まれていて、これも隅々まで読み込みまくりました。

映像化もされていますが、そのテーマの重さからかどうしても暗い未来になってしまって、ちょっと世界観が別物になってしまった印象でした。(あまり見ていません)

所々にあるユニークなシーンやコメディタッチの表現にクスリと笑ったりもして、私は圧倒的に原作派です。人間臭いフチコマたち好き!欲しい!

同じく士郎正宗氏の作品としてはアップルシードも有名です。あとドミニオン、ドミニオン2、ORIONなども面白いです。

ガタピシ車でいこう!! 2001年

車好き、それも車いじりが大好きな人にはたまらないシリーズ!

旧車レストアに人生をささげる、作者自身をモデルとした主人公とその仲間たちの愉快でダメっぽさ満載のシリーズです。

昔の車って構造がシンプルだから手を加えればいろんなカスタマイズができてしまったんですよね。穴開けたり色塗ったりパテ盛り試して失敗したり、色々やりました(笑)。

単行本に付いていたオリジナルステッカーは、トランクに貼り付けて目印にしています。絶対かぶらない自信がある!

作者の山本マサユキさんとは有り難いことにTwitterで相互フォローしていただいています。これからもよろしくお願いします!

鋼の錬金術師 2001年

漫画史に残る超名作と言って間違いないでしょう。

ファンタジー作品はその世界設定がどれほど確立しているかというのが面白さの基準の一つになるかと思いますが、「錬金術」が何なのかをすんなり受け入れられるくらい能力の概念がしっかり出来上がっていて、安心してのめり込んで読める作品です。

魂とは、命とは、生きるとは、という精神的テーマと、肉体の鍛錬や機械鎧(オートメイル)という物理的な面が見事にマッチしていて、全編にわたって躍動感のあるストーリーを楽しめます。

魅力的なキャラクターが勢ぞろいして、それぞれが自分の役割を担って葛藤しながらも一生懸命に生きる様も感情移入できるポイントです。

作者・荒川弘氏が農場育ちの経験から得た労働と命と大地との関わりがベースとしてあるのだろうと思います。
生き死にのリアルさの中にも、笑いあり涙あり、精いっぱい生き抜きたくなる作品です。

もやしもん 2004年

なぜか「菌」が肉眼で見える(しかも可愛くデフォルメされてて会話もできる)という特殊能力を持った主人公が、農業大学でエキセントリックなメンバーたちと大学生活を送る学園モノ?です。
そもそも理系って変人率が高いですが(笑)、特に農業系の異常性の高さ(誉め言葉)が際立った作品でとても愉快。

菌だけに、メインテーマは発酵。「かもすぞ」って言葉も流行りましたよね。発酵食品や酒造の歴史に至るまで、幅広い知識が詰め込まれた作品です。
主人公の師として登場する樹教授の、延々と続くウンチクも読みごたえがあって一回目を通すだけではとても理解しきれないくらいです。本当に面白い。

農業要素だけでもこれだけ濃いのに、女性キャラの衣装、特にゴスロリ衣装がまた緻密で細かい!こんな細部にまでひたすら時間をかける作者のこだわりにも脱帽です。

学びの道に終わりはなく、探求心に限界はない。最終話は感動しました。

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ちなみに第8巻はクラフトビールに関する一冊になっていてバイブルです。

共通する作品の魅力

今回紹介したどの作品も、その根底に幅広い専門性と膨大な情報、思想や哲学、体当たりで挑戦的なストーリー展開が魅力です。
そして時に冷酷で厳しい現実が背景にありながら、個性的なキャラクターたちが光っていること、コメディやユーモアで笑わせてくれるシーンが多数盛り込まれていることで親しみが湧きます。

知識欲、好奇心、学問への欲求、それだけだと堅苦しくなるところを、「漫画」という形態をとることでエンターテイメントとして手元に届けられてくるおかげで、まるでリアルな体験を得たかのように「私を構成するマンガ」となっています。

漫画はまさに今の時代の文化であり、知の源と言えます。

おまけ

今回選んだ5作品のほかに、候補となっていた漫画を紹介します。

■ アフター0

SF、化学、生物、植物、宗教、過去から近未来に至るまで様々な設定のストーリーがこれでもかと詰め込まれたショートショート短編集。
漫画界の星新一と謳われるのも納得です。作者どんだけ知見が広いの!

実は今回のテーマならダントツ1位くらいの勢いで大きな影響を受けている作品ですが、残念ながら「アル」のサービスにこの作品は見当たらなくて(続編のアフター0・NEOはあった)、タイトル画像を作る関係上、泣く泣く外しました。

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マニアックだからかな。誰か知る人がいたら語り合いたいです!

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まだまだ面白い漫画は数多く存在していて、果たして人生の時間が足りるだろうかって心配になるくらいです。アルはマンガサービスとしてすごく優れているので、逆にうっかりハマらないよう警戒中です(笑)。

絶対面白いことはわかっているけど手を出さないようにしている作品もあります。いつか来る老後の楽しみにできるよう、目は大切にしよう。
あるいはバトーみたいな義眼レンズもアリ。実用化されるといいな。


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