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#創作大賞2022
『羽根』商店街シリーズ第5話
「今、何時だか分かるかな」
応接用のテーブルをはさんで向かい側に座る相手に静かにそう問われて、僕は事務所の壁にかかった時計を見つめる。「時計は読めるかな」と追い打ちをかけるように続けられた質問に、小さな声で「はい…」と返事をした。
僕は社会不適合者だ。
約束の時間を大きく超えていることは分かる。なにしろ約束の時間に僕はまだ自宅にいたのだ。当たり前のことができない。失敗を繰り返すたび、自分の社
「今、何時だか分かるかな」
応接用のテーブルをはさんで向かい側に座る相手に静かにそう問われて、僕は事務所の壁にかかった時計を見つめる。「時計は読めるかな」と追い打ちをかけるように続けられた質問に、小さな声で「はい…」と返事をした。
僕は社会不適合者だ。
約束の時間を大きく超えていることは分かる。なにしろ約束の時間に僕はまだ自宅にいたのだ。当たり前のことができない。失敗を繰り返すたび、自分の社