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アリババのビジネスモデルが面白い

 昨日まで「独身の日」セールということで、中国国内で1年間の中で最もECが盛り上がる数日間であったかと思います。毎年アリババグループ始めとする中国EC企業の、取扱高が話題となりニュースになりますが、今年はどうだったのでしょうか。

 今年は11月1日~11月11日と対象期間を例年よりも伸ばしていたのもあり、取扱高は4,982億元(日本円で約7兆7,000億円)を記録したようです。昨年2019年が2,684億元であったため、2倍近い伸びが今年はあったようです。

 昨日はサラっと楽天市場との規模を比較しましたが、アリババグループとはどのような企業グループなのか?をもう少し詳しく調べてみたいと思います。

▼昨日のnote▼

アリババグループ概要

 アリババは1999年に馬雲(ジャック・マー)が、企業間電子商取引をサポートする「阿里巴巴(Alibaba.com)」が祖業となり、2020年決算(2019年4月~2020年3月)では売上高は7兆5,000億円を上回る中国随一のインターネット企業となります。

 また昨日までの「独身の日」セールでの記録が話題となっておりますが、昨年度のアリババ・デジタル・エコシステム内の全マーチャントのGMV(流通総額)が1兆米ドル(7兆53億元、約106兆円)に達しています。楽天市場の昨年度GMV(流通総額)が約3.9兆円だったので、アリババの規模の大きさが圧倒的であることが良く分かるかと思います。

 日本だとアリババと聞いていも、最近だとQRコード決済のアリペイ?中国版Amazonだよね?といった程度の認知度かと思いますが、幅広くEC領域での事業展開をしており、中国版Amazonとは呼び難いビジネスモデルの構造があるようです。確かに中国No1のECであることに間違いないので、中国版Amazonと言えば理解しやすいのですが、まるでビジネスモデルが異なるので、そのあたりを理解しておく必要があるでしょう。

 それでは主要サービスを一つ一つ見ていきたいと思います。

Alibaba.com

 Alibaba.comは世界中の売り手・買い手をつなぐ、B2B型のグローバルオンラインマーケットプレイスとなります。

 こちらはアリババの祖業でもあるのですが、今でも東京ビッグサイトや幕張メッセなんかで見本市が開催され、世界中から商品やサービスが展示され、新しい商材を見つけようと買い手(バイヤー)が様々なブースを回っている光景を想像できるかと思います。正にその光景がそのままオンラインに移行したものが、Alibaba.comだと思ってください。(あくまでイメージです。また、今年はコロナで全く展示会も開催されていませんが・・・)

 もちろん日本の我々でも、Alibaba.com上で売り買いをすることができます。以下はAlibaba.comのトップページになります。

 パッと見た感じでは普通のECサイトのような感じなので、一つ商品をピックアップしてみましょう。

 ●ppleWacthと言わんばかりの模造品となりますが、なんとお一つ723円で最低発注数は3つとなるようです。中国杭州の小さな工場で生産されているようで、主に北米や東ヨーロッパを中心に取引が行われているみたいです。こういったサプライヤー企業の情報もある程度掲載されていますが、どこまで正確な情報なのかは私もわかりません。

 ●ppleWacthの模造品であることは置いといて、これまでのように小さな工場で生産されている商品は、なかなか販路を開拓することが難しかったのですが、Alibaba.comに掲載することで世界中のあらゆるバイヤーと繋がり、その商品を世界中に売ることが可能となっています。同じくバイヤー側も、世界中の商品に簡単にリーチすることができ、これまでの何倍も手軽に仕入れ業務を行うことが可能になったというわけです。ちなみに、私も会員登録すれば、この●ppleWatch的なものを仕入れる事が可能です。

 さらに手数料についても注目すべき点です。
 通常のマーケットプレイス型のECサイトだと、掲載料や売上手数料といったコストが出品者に課金されることが多くあるかと思います。ですが、Alibaba.comではそういった費用は全くかかりません。初期の出店費用がかかりますが、Alibaba.comでいくら商談が成立し売上が発生しようとも、手数料を取られることは無いようです。

 それではどこでアリババは収入を得ているのか?ということになりますが、各種の販売支援ツールを有償で提供しており、そこで売上をたてているということになります。分析ツールや売上管理、在庫管理といった商売を行う上では欠かせないシステムとなりますが、無くても何とかなる、あるいは自社で持っているものを使えば不要となりますが、これらを有償でアリババは出展者に提供しています。また、広告料を支払うことで、検索上位に来るような仕掛けにもなっているようです。

 (個人的見解)
 「販売手数料を取らない代わりに、分析ツールや売上管理システムなどは有償提供となる」について。確かにスモールビジネスである場合には無くても何とかなりますが、それなりに事業がスケールした時には必要になります。販売手数料を取るサービスである場合には、このようなツールは標準提供されていることが多いかと思っています。つまり、出展者側に要・不要の選択をさせることキモで、Alibaba.comの出展者の満足度を上げているのだろうか?

 つまりAlibaba.com上で何兆円と取引がなされようと、それが直接的に全てアリババグループの売上に繋がるという訳ではなく、あくまで広告料と各種の運営支援システムの利用料がアリババグループの売上になっているということなのが分かります。

 Alibaba.comだけでそれなりの文字数に達したので、明日に続きます。

(個人的所感)
 ●ppleWatchの模倣品ですが、あれを中国から仕入れて日本で売りさばく気は起きませんが、電子製品などを中心にかなりお安い価格でロット対応してもらえる出展企業が多かった印象です。中国輸入ビジネスと一時期流行っていた気がします。Alibaba.comを使えば本当に簡単に輸入販売事業が出来そうです。Amazonのマーケットプレイスや、楽天、メルカリなどでよく見かける中国の格安模倣製品はこういったルートで大量仕入れされて、転売されているのでしょうね。テントなんかもいくつか出品されていたので、アウトドア製品のラインナップでやれたら趣味と実益も兼ねて面白いかもな、と思いました。

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