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銀行系Payは何者なのか?今後、普及する可能性を考えてみた

以前、JPQRの記事を書いた時から気にはなっていたのですが、なんとなく通り過ぎていました。JPQRのHPに、JPQR対応のスマホ決済ブランドロゴが並べられていましたが、何かお気づきにならないでしょうか。

ほくほくPay?YOKA/Pay?OKI Pay?

響きからしてあそこの地方限定のペイメントですよね、となんとなく気にはかけていたのですが、正直スルーしていました。いつの間に、こんなにもPayが増えていたのだろうか。

そんな中、本日も日経新聞では、大手地銀の地元貢献型キャッシュレスサービスということで、とりあげられていました。

今回は銀行が展開している、銀行系Payが何者なのかと、そのサービスの展開意義を考えてみたいと思います。

銀行系Pay

まずはこの銀行系Payの解説からいきます。

銀行系Payは名前の通り、メガバンクや地銀を中心に、銀行が主体となって提供しているQRコード決済のサービスとなります。大きく分けて銀行系Payには3つのグループが存在しています。

「銀行Pay」
「Bank Pay」
「J-Coin Pay」

基本的には銀行系Payとなるので、どのサービスも銀行口座があれば連携することができ、クレジットカードがなくても利用を開始することができます。

イメージとして、即時口座引き落としサービスである、デビットカードがスマホアプリになったと理解ください。

銀行Pay

「銀行Pay」は、GMOペイメントゲートウェイが提供する金融機関向けスマホ決済サービスを共通基盤に使ったQRコード決済システムです。

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現在、GMOのHPには10社の導入銀行が記載されています。

横浜銀行→はまPay
ゆうちょ銀行→ゆうちょPay
北陸銀行→ほくほくPay
北海道銀行→ほくほくPay
沖縄銀行→Oki Pay
広島銀行→こいPay
福岡銀行・熊本銀行・親和銀行→YOKA Pay

また「銀行Pay」の特徴として、マルチバンク決済機能という銀行間の相互乗り入れの機能も備えている。つまり、はまPayユーザはゆうちょPay導入店舗でもはまPayを使えるということのようだ。これは非常に便利に感じる。

Bank Pay

「Bank Pay」は、日本電子決済推進機構が提供を予定しているQRコード決済サービスです。「Bank Pay」と「銀行Pay」は名前は似ていますが、加盟銀行も提供組織も違う、全く異なる取り組みです。

日本電子決済機構とは、J-Debitです。このロゴマーク見おぼえありますよね。1999年に富士銀行が代表幹事となり、NTTデータ・ジェイティービー・郵便貯金・大垣共立銀行・東京相和銀行などと共同で日本デビットカード推進協議会が設立された、日本を代表するデビットサービスブランドと言えるでしょう。

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既にデビット自身は、かなりの数の銀行で採用されているので、アプリと銀行口座を紐づけることで利用はできるのですが、加盟店の存在が全く確認とれませんし、見たこともありません。このロゴのようですが、見かけて事ある方いらっしゃいますか?

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J-Coin Pay

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「J-Coin Pay」は、みずほ銀行がサービスを提供するスマホ決済サービスです。2019年3月1日よりサービスが開始されています。

J-Coin Payは上記2サービスとは異なり、銀行口座からの直接引き落としではなく、銀行口座からスマホアプリにチャージするイメージとなりますので、PayPayやLINE PAYと同じプリペイド型のサービスに近いでしょう。

既にみずほ銀行+70行近い全国地銀が加盟しており、利用できる店舗数も大分増えてきているようです。

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今後、普及する可能性はあるのだろうか

かなり前置きが長くなってしまいましたが、銀行系Payは普及するのだろうか?

個人的には口座からの即時引き落としは魅力的に映る。キャッシュレス反対派の多くの人は、クレジットカード等による使い過ぎを恐れている人が多い。そのため、即時引き落としであれば使い過ぎは無縁となる。また、いちいちアプリにチャージする必要も無いので、レジ前でもたつく必要もなく、スマートなお支払いが可能だ。

しかし、普及の壁として大きく2点あると思っている。

①ドコモ口座事件を発端に、銀行サービスの安全神話が崩壊した

②営業力の無さによる利用店舗の少なさ

はっきり言って、鶏と卵の話にはなってしまうが、利用店舗が増えない限りユーザも広がることはない。

PayPayや他の民間事業者のように、普及期において利益度外視で営業費用を投下しなければならないが、果たして銀行さんがそのようなチャレンジを試みるだろうか。

結びに

孫正義率いるPayPayはじめとする、民間事業者に銀行はどうすれば立ち向かえるのか。やはり銀行業界全体が一枚岩となって、推し進めなければならないはずなのに、それがまったくできておらず、あっちこっちで好き勝手○○Payを始めているのが現状だ。

本音のところ、この銀行系Payはもはや不要なサービスでしかないと思っている自分もいる。果たして誰が使うサービスなのだろうか?と。

登録ユーザ数や、月次や日次の処理件数も公開情報が見当たらないので残念ではあるが、先行企業と比較したときにその差は恐らく歴然で自分であれば戦意喪失し、即時撤退を進言するだろう。


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