「働き方改革」/政府が出来ること・出来ないこと(第1章)

《1.政府は市民に「働きやすさ」を保障することは出来るが、「働きがい」を提供することは出来ない》・《2.「働きがい」は働く個人と企業が力を合わせて創り出すものである》という私の考えについて、シリーズで投稿します。まず、私がこのテーマについて考え始めたきっかけとなった新聞記事と、それについてのnote記事の紹介から始めます。

第1章/このテーマについて考え始めたきっかけ


個人的にも職業的にも日本の「働き方改革」に関心があり注視してきましたが、「政府が出来ること・出来ないこと」という切り口で考え始めたきっかけは、2022年5月1日付の日本経済新聞の記事と、それに関連した 馬越 美香 さんのnote記事です。

日本経済新聞の記事はこちら(以下、【日経】と略記)

馬越 美香 さんの記事はこちら(以下、【馬越さん】と略記)

【日経】は、次のように言います。

政府が16年に働き方改革を打ち出して、「働きやすさ」の面では改善が進んだ。だが、働きがいの面では改善がみられない。働きがいを感じる社員の割合は日本が56%と、世界平均を10ポイント下回る。23カ国中、最下位が過去6年続く。〔抜粋。太字部は、楠瀬が太字化〕

この記事に対して、馬越さんは、次の問題提起をします。

個人的には、「ちょっと待って、働き方改革って労働条件を改善しようって話だったよね」と思っちゃったわけです。厚生労働省のホームぺージに行って確認したところ、やはり働き方改革の骨子は長時間労働の是正、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、柔軟な働き方がしやすい環境整備・・・といった、まさに「働きやすさ」の実現であって、それって「働きがい」とは無関係とは言わないものの、別の話だよねと再確認した次第です。
〔抜粋。太字部は楠瀬が太字化〕

私が首相官邸ホームページでみつけた「働き方改革」の説明スライドから関連部分を切り出して添付します。

日本の労働制度と働き方課題

上記3つの課題について、馬越さんは次のように述べていて、この解釈に私は100パーセント同意します。

「正当な処遇」、「長時間労働」は「働きやすさ」を構成する要件です。「キャリアパス」は、「働きやすさ」の構成要件でもあり、「働きがい」の構成要件でもあります
〔引用。太字部は、楠瀬が太字化〕

ここで注目すべきなのは、馬越さんが「働きやすさ」を実現する要件と「働きがい」を実現する要件は別のものだとしていることです。
この区別は、マネジメントに関する実証研究に基づくものです。「キャリアパス」のように「働きやすさ」側と「働きがい」側の両方に登場する要件もありますが、人の働き方と職場環境にかかわる事象の多くは、かなりハッキリと、どちらかの側に仕分けることができます。

ここで、この区別があることが、「政府が出来ること・出来ないこと」を見極めることと密接に結びつくことになります。ここはとても大切なポイントなので、次回、改めて章を設けて説明することにします。


ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

『「働き方改革」/政府が出来ること・出来ないこと(第1章)』おわり

第2章につづく








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