恋バナの第6ラウンド
「もうさ、人というワンコだよね。」
会うたびに違う男の話をする彼女、次は3歳年下の彼氏ができたらしい。
「わたしのなかでは男の子なんだよなぁ…」
イカを箸でつまむ彼女は、もはや違和感の関係を楽しんでいるように見える。
「でもべつに、別れるってほどでもないんだよ」
そう言って担々麺をすすり、スープを見つめた。
「最近、ときめいたことがあってさ。」
金木犀なんちゃらとかいう、キラキラした飲みもののストローをくるくるさせて。
「あーごはんとか行けたらなぁ。」
無駄におしゃれなイスをゆらゆらさせて。
「彼女はいないと思うんだよね…」
今日イチの、かわいい顔して。
「もう別れたほうがいいのかなぁ〜」
5回ほど繰り返したところで店員さんが水を置く。思わず、心の中で親指を立てた。
「でもね、いい人なんだよ。」
その親指をそっとしまった。どうやら第6ラウンドがはじまるらしい。
わたしにはもう、ひとつしか言えることがない。
「うん、もう、なるようになるよ。」
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