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Cinema 4Dを用いたモーションスケッチについて

はじめに

今年の春頃から 個人でSNSで不定期でアップしているC4Dを用いたモーションスケッチについて、何を考えて製作しているのかを年末の頭の整理として書き残しておきたいと思います。
この記事は所属しているPYが行なっている PY - PARTY TECH STUDIO Advent Calendar 2024 にも参加しています。


Cinema 4D

Cinema 4D(C4D)は、MAXON社が開発しているプロフェッショナル向けの3Dモデリング、アニメーション、シミュレーション、レンダリングソフトウェアです。
C4Dは、 私にとって特別なツールです。最初に触れたのはR11 (2008年発売)。当時、紙媒体のグラフィックデザイナーだったのですが表現の幅を広げるために手触りのいいツールを探してC4Dの体験版に辿り着き、その後に自費でBroadcastを購入したのが始まり。それ以来、仕事でもプライベートでも使い続けています。もちろん、After EffectsやUnreal Engine(UE)など他のツールも使いますが、C4Dのシンプルで直感的な操作性は、いつ触れても心地よいものがあります。

初めての手にしたC4Dのパッケージ。
サブスクが当たり前になった昨今ですがパッケージには良さが詰まってます。

『使えるツールは多い方が良い』のか?


『使えるツールは多い方が良い』という話をよく耳にします。
自分自身もそこに疑いはないですが、毎日のように新しいツールが生まれ、すぐに消えていく昨今の様子に少し虚しさを感じていました。
生成AIの代表されるような、既存の製作プロセスを大幅に短縮し、突然最終アウトプットに辿り着いてしまう制作手法にもなんだか馴染めずにいましたた。

それとは逆に憧れるのは、例えるなら職人がお気に入りの道具を日々手入れして、手になじませていくような、そういうツールとの向き合い方です。
映像制作分野においても、2010年代頃にVimeoに多く上がっていた数々の Behind the scene のような、作者の試行錯誤がみえるものを見るのが好きでした。本来、制作プロセスは工夫し実験し楽しいものであるはずなのだ。
そんな思いが有り、何か個人制作をやりたくなったのです。

私のキャリアにおいてはC4Dが多くの時間を共に過ごしてきた信頼のおけるツールの一つで、今一度このツールについて深く知りたいと思ったのもこのプロジェクトを始めた理由でもあります。愛用の道具を手入れするような、シンプルな形で向き合ってみたい。 
最終成果物というよりは、過程を感じられるスケッチのようなものしたい。
そう思ってこの製作物の制約を、ビューポート、デフォルトキューブ、アイソメトリックカメラと決めました。
『kskee_sketches』としてinstagramのアカウントを作り、Xと並行して製作物をアップすることにした。
https://www.instagram.com/kskee_sketches/

3DCGを触ったことがある人なら見慣れたキューブ。
これを基本形にモーションスケッチすることにした

C4Dが広げる表現の可能性

C4Dは、どこまでも自由なツールです。特にMoGraphやダイナミクスのような機能は、少し設定をいじるだけで思いもよらない結果を生み出してくれます。たとえば、ランダムエフェクターで試行錯誤しているときに偶然できた形や動きが、全く新しいアイデアの起点になることもあります。計画通りに進めるより、「とりあえず作ってみる」くらいの方が楽しい。C4Dは、その自由さを許してくれるツールだと思います。

さらに、2024年のアップデートでは、新しいパーティクルシステムが導入され、表現の幅が大きく広がりました。これまで以上に複雑でダイナミックな動きを作れるようになったのが印象的です。また、高速化された物理演算も、制作の自由度をさらに押し上げてくれています。
こうした技術的な進化があるからこそ、ツールを触るたびに新しい発見があり、制作を続ける意欲が湧いてきます。

気がつけばこれだけの数になっていた製作物
キューブから脱線している物も数多くあるがその自由度もC4Dならでは。?

制作を通じて見つけた工夫と成長

短い映像を何本も作る中で、前述した新機能を改めて触れられたことは大きな収穫でした。
同じツールを長く使っていると、ある種の手癖のように決まった機能しか使わないとか、想像の範囲内でしか機能を利用しないことが増えていきます。前述した新機能を触り実験し遊んでいくことで、そういった”手癖”を解していくことができたと思います。


継続する楽しさと未来への期待

制作を続けていると、思いがけない反響をもらうことがあります。SNSでは、数々の質問や、「チュートリアル作ってくれ」などなど特に海外のユーザーを中心に感想をいただくことも。そして、『80 Level』で紹介されたこともありました。
嬉しくもあり、ただのスケッチなのにすみません、という気持ちもあり、、

ただ、こうして作り続けることで、新しい可能性に出会えるのが何よりの楽しみです。業務ではアウトプットをクライアントや他者の意向や評価、スケジュールや予算などに多かれ少なかれ影響を受けます。
そういったものとは別に、個人の責任において小さく発表していく作業は、個の力を高め、精度を上げる作業として有用なのではないかと思います。
一つ一つの製作は塵のようなものですが、その塵の中から生まれる何かもあると信じて。これからも自分なりの「実験」を続けていきたいと思います。



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