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「苦尽甘来」

最近、教員をしていた頃のことをよく思い出す。
思い出すというより、思い出したくなる。
それは、学校との関わりが減った焦燥からなのか、未練からなのか…

2年間という短い期間だったが、暗くも明るく、濃い教員生活の中に、
特に忘れられない期間がある。
私はそれを、「魔の2週間」と呼んでいる。

2年目に小2(皆が認める、やんちゃなクラス)の担任を受け持った。
同年11月、学生たちと「通じ合わない」2週間があった。

学生たちからすれば「怒ってばかりの先生」。
私からすると「言うことを聞かない学生たち」。
お互いの言動を理解できなくて、荒れる日々。

「落ちるとこまで落ちたら、あとは上がっていくだけ」という言葉はあながち間違いではなく、
学生たちの「全てを受け入れる」ことが出来た日に、「魔の2週間」は終わった。
学生たちの全てを抱きしめてあげることができたとき、
学生たちも私を抱きしめてくれた。

私は年間を通して学生たちに、「苦尽甘来」という四字熟語を説いてきた。
いまだに彼らがこの言葉を使っているらしく、感無量だ。
お互いがこの2週間を通して「苦尽甘来」を味わったなぁと、今になって思う。

相手の「全てを受け入れる」大切さを学生たちから学んだ「魔の2週間」は、
今ではかけがえのない「真の2週間」である。


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