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ぼやけているから

月がぼやけた夜だった。

はっきりと見える空が好きで、
はっきりと見える星が好きで、
はっきりと見える月が好きなのに、

ぼやけているから好きだと感じることがある。
それが、今夜、この時間だった。

私の中にぐるぐる回る考えそのものが、とてもぼやけていて。
それは、抽象的で大まかにしか考えることができていないという証拠かもしれない。

『私は「これ」について、はっきりとした考えを持っている』と思っていたことも、
いざそれについて述べようとした時に、上手く言葉にできないことが多々ある。
そんなときに、こうして文で書いていくと、
はっきりとした部分とそうでない部分が、徐々に浮き上がってくる。

はっきりと見える空が好きで、
はっきりと見える星が好きで、
はっきりと見える月が好きだ。
分かりやすく存在していて、安心するから。

でも、
はっきりしていない、ぼやけている考えを持っている自分自身を受け入れてもらいたくて、
それでも大丈夫だよと抱きしめてあげたくて、
たまに、ぼやけているから好きになる。

今夜はそんな夜だった。
はっきりしていなくてもいいよと。
ぼやけているから私らしいよと。

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