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ヒアリングとは ”聞く” のではなく ”観察” するもの~エスノグラフィーの有効性~

先日、企画メンバーの方と
「ヒアリングとは聞くのではなく観察するもの」
だという話になりました。
とてもよいディスカッションで、私も観察の大切さを再認識。

皆さんにもシェアしたいと思います。


|企画にはヒアリングが不可欠


企画は現場を見るのが大切
顧客に近い人へのヒアリングが大切


と私は普段からお伝えしています。

企画のヒントは「顧客の声の行間」にあり、
ヒアリングはそのヒントを探し出すために
とても不可欠な重要なステップです。


顧客は答えを持っていない
だからヒアリングではその企画のヒントを見つけよう

というのが私の信条。

|ヒアリングは聞くのではなく観察すること


このヒアリングについて先日ひとつの”気づき”がありました。

それは
「ヒアリングとは聞くのではなく観察するもの」
ということ。

ヒアリングというと「相手の話を聞く」ことと思われがちですが
実は同時に「相手を観察する」ことを意味しています。

私も、もともとヒアリングと言う言葉を
無意識のうちに ”観察” の意味合いを含めて使っていたのですが、
あらためて「ヒアリングとは観察すること」と言葉にしてみると
ヒアリングの持つ本来の意味合いの輪郭がはっきりしたように感じました。

企画のヒントを見つけるー
これは単に相手の話を聞くだけでなく、相手を “観察" することによって
はじめて可能になります。

|エスノグラフィーとは


この 「"観察" すること」を
マーケティング用語では、こう言います。

“エスノグラフィー"

勉強になりました。

もう少し詳しくみていきます。

エスノグラフィー(ethnography)
もともとは、ギリシア語の
ethnos(民族)graphein(記述)
をつなげたワードです。

民族学、文化人類学などで使われている研究手法で
民族などの生活に入り込み、生活や行動、文化を観察し
その詳細を記録していきます。

この手法が
「市場の観察や顧客観察」
と似ていることから
このエスノグラフィーという用語がマーケティングにも使われています。

|”観察” が活きたヒアリングの成功事例


私の昔話(20代?)になりますが
オーディオカセットテープの商品企画で
主力商品をモデルチェンジしたときのこと。

上司からの「絶対に失敗するな!」というプレッシャーの中
デザイナーと新宿の某量販店の店頭で
お客様の行動を午後一から夕方まで"観察"し、
その後居酒屋で作戦会議?を3日間行った
のが懐かしいです。

その時のモデル「HF」がこちらです。



年輩の方の中には、お使いいただいた方もいらっしゃるかと思います。
思い出のモデルです。


さて、当時のカセットテープでは
・英語表記(かっこいいから?)
・音の良さを訴求
しているものがほとんどでした。


担当のデザイナーと3日間にわたる店頭観察を行ったところ

お客様の中には
英語表記だと何を基準にカセットテープを選んだらよいか分からない
という声が聞かれました。

また、音の良さよりも
録音したい音源や媒体がちゃんとそのテープの長さの中に収まるか
を知りたいというニーズがあることもわかりました。

そこで、居酒屋作戦会議で
とにかく"選びやすい"ことをコンセプトとして
企画を具体化していきました。


その結果

・日本語表記
・分数ごとのカラーバリエーション
・選びやすいようにガイドを記載

などなど、これでもかと言うくらい
徹底的に選びやすさにこだわりました。

さて、自分たちとしては「これは行ける!」
と自信をもって挑んだ企画会議でしたが、
販売会社の社長から
「こんな日本語のモデルは絶対売れない」とダメ出し。

販売会社がNGなものは事業部長も当然NGです。

さらに
「コストアップはどうするんだ?お前の給料から払うのか?」
などのお言葉をいただきました。

今ならパワハラに近いですよね。(笑)
(こうやって鍛えられてきました)

超大反対の渦の中、デザイナーとひとつひとつ説得し、
なんとか発売にこぎつけたのを覚えています。

お陰様で、超ロングセラーとなりました。
このモデルはこれ以降モデルチェンジはされておらず、
会社にもそうとう利益貢献することができました。

一方で、販売が好調なのは営業さんの手柄!
その頃は、私は次のモデルの企画でひーひー状態でした。
企画ってそんなものですね。

これが私にはとても良い経験になり、
新企画のときは現場の "観察" を大事にしています。

|エスノグラフィー=観察 を大事に


それ以後もいろいろと経験しました。

監視カメラの技術マーケティングを統括していた時も
技術パートナーエンジニアのテスト現場や
システムインテグレーターの現場など、
チャンスをつくっては現場に足を運び、
生の声を聞き、観察をしました。

そこから様々なアイデアにつなげていきました。

エスノグラフィー=観察

あらためて企画において観察の大切さを痛感しています。


企画のネタ発見、アイデア出しに困ったら、
是非現場に足を運んで観察してみてください。

必ず何かのヒントの種の種くらいは見つかるはずです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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